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平成16年 新たな基本構想に関する全員説明会−07月28日-目次
平成16年 新たな基本構想に関する全員説明会-07月28日-01号

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  1. 川崎市議会 2004-07-28
    平成16年 新たな基本構想に関する全員説明会-07月28日-01号


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    平成16年 新たな基本構想に関する全員説明会-07月28日-01号平成16年 新たな基本構想に関する全員説明会 新たな基本構想に関する全員説明会記録 日程  1 新たな基本構想について 出席議員 (60名)  前田絹子  佐藤喜美子  飯田 満  三宅隆介  堀添 健  織田勝久  伊藤久史  浜田昌利  河野忠正  吉岡俊祐  山崎直史  吉沢章子  林 浩美
     尾作 均  佐野仁昭  井口真美  石川建二  西 譲治  青山圭一  粕谷葉子  東 正則  猪股美恵  山田晴彦  岡村テル子  沼沢和明  松原成文  石田康博  廣田健一  大島 明  浅野文直  石田和子  西村英二  飯塚正良  潮田智信  雨笠裕治  玉井信重  花輪孝一  菅原 進  後藤晶一  岩崎善幸  鏑木茂哉  佐藤光一  伊藤 弘  嶋崎嘉夫  長瀬政義  市古映美  竹間幸一  佐藤 忠  菅原敬子  立野千秋  栄居義則  佐藤忠次  本間悦雄  小林貴美子  平子瀧夫  志村 勝  矢沢博孝  坂本 茂  原 修一  野村敏行 欠席議員 (2名)  佐々木由美子  徳竹喜義 出席理事者  市長        阿部孝夫  副市長       東山芳孝  副市長       鈴木真生  収入役       石野 厚  総務局長      砂田慎治  総合企画局長    北條秀衛  財政局長      楜澤孝夫  市民局長      髙阪光男  経済局長      植松 了  環境局長      石井二郎  健康福祉局長    井野久明  まちづくり局長   木下 真  建設局長      脇領成明  港湾局長      永野幸三  川崎区長      君嶋武胤  幸区長       平山南見子  中原区長      持田一成  高津区長      手島好子  宮前区長      河原 茂  多摩区長      金作幸男  麻生区長      斉藤 隆  水道局長      入江髙一  交通局長      小玉孝夫  消防局長      山口仁臣  市民オンブズマン事務局長            隅元淳雄  教育長       河野和子  外関係理事者 出席事務局職員  事務局長      松川欣起  次長        井澤正勝  庶務課長      大木重雄  議事課長      安藤 勲  調査課長      春日啓志  議事係長      石塚秀和  記録係長      中根美保  議事課主査     窪井直樹  外関係職員                 午前10時1分開会 ○坂本茂 議長 ただいまから、新たな基本構想に関する全員説明会を開会いたします。(資料編1ページ参照)  説明を受ける前に、まず傍聴につきましてお諮りをさせていただきます。本日の全員説明会につきましては、傍聴を許可したいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○坂本茂 議長 御異議ないものと認めます。よって、傍聴を許可することに決定いたしました。  次に、出席理事者についてでありますが、市長、各副市長、収入役のほか、お手元に配付してあります席次表のとおりでありますので、よろしくお願い申し上げます。(資料編2ページ参照)  それでは、新たな基本構想につきまして説明を受けます。市長及び総合企画局長から、それぞれ説明をお願いいたします。 ◎阿部孝夫 市長 新総合計画の基本構想素案の御説明をさせていただくに当たりまして、議員の皆様には、大変お忙しい中、御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  本市は、先人のたゆまぬ努力と積み重ねの歴史の上に、この7月1日に市制80周年を迎え、新たな時代に向けた一歩を踏み出したところでございます。社会経済環境が大きく変化している中で、右肩上がりの成長を前提とする社会の終えんや、少子高齢化の進行を初めとする、今まで私たちの経験したことのない環境変化は、多くの市民の価値観や発想に大きな影響を及ぼしているものと考えております。こうした変化に的確に対応するために、私は、就任以来、市民が求める質の高いサービスを、効率的かつ多様に享受できる環境をつくり上げることを目標に、行財政改革に全力を挙げて取り組んでまいりましたが、見直すべきは見直し、進めるべきは進めることにより、未来に向けて着実に歩み続けていくことが、今を生きる私たちに課せられた使命であると考えております。
     本日、お示しさせていただきます新総合計画の基本構想素案につきましては、大きな時代の流れの中にあっても、市民が日々の暮らしの中で生きがいと幸せを感じることのできる社会を将来にわたって持続させていくために、新たな市政運営の基本方針となるよう取りまとめを行ったものでございます。また、本格的な人口減少過程に移行する前の今後10年程度の間で、未来に向けた礎をしっかりと築くためにも、新たな総合計画の持つ意味合いは大変重要なものであると考えております。  そうしたことから、このたびの基本構想素案におきましては、市民と行政が協働して取り組むまちづくりの基本目標を、「誰もがいきいきと心豊かに暮らせる持続可能な市民都市かわさき」を目指すことを掲げたところでございます。これは、川崎というまちを、そこに暮らすすべての人々が活力と潤いのある生活を送ることができるまちへと発展させるための目指すべき目標を掲げたものでございます。その実現は決して容易なものではございませんけれども、市民生活の安全の確保を初めとした、行政としての責務をしっかりと果たしていくとともに、自治基本条例の制定を初めとした、市民本位の自治のまちづくりを推進するための仕組みづくりや、長い歴史の積み重ねを踏まえた上で、川崎の持つ特徴や長所を最大限に生かし、持続可能な都市として再生させるための取り組み、自助・共助・公助のバランスのとれた地域社会の実現への取り組みなどを進めることにより、市民のだれもが生きがいと幸せを感じられるようなまちづくりを推進してまいりたいと考えております。  そのために、新たな総合計画におきましては、従来型の新規・拡充施策の推進計画ではなく、川崎というまちをどう育て、運営していくかという、地域経営の視点を重視してまいりたいと思います。また、厳しい財政状況を前提とした上で、計画期間を今後10年程度とすることによりまして、具体性を持ち、確実に成果を上げることのできる計画として策定してまいりたいと考えております。  よりよい川崎をつくり上げ、次世代に胸を張って引き継いでいくためにも、今後、この素案をもとに、議会の皆様を初め多くの市民の方々と率直な議論を積み重ね、より具体的に川崎の将来像を描く計画として策定してまいりたいと考えております。  それでは、新総合計画基本構想素案につきまして御説明申し上げます。なお、お手元に新総合計画基本構想素案の冊子を配付いたしておりますが、本日はパワーポイントを使って御説明させていただきます。また、スクリーンと同じものを印刷配付いたしておりますので、後ほど御参照いただきたいと存じます。               〔パワーポイント使用〕  それでは、御説明いたしますので、スクリーンをごらんいただきたいと思います。  初めに、お手元の基本構想素案の冊子の1ページにおける、計画策定の趣旨でございますが、川崎市では、1992年に21世紀の第1四半世紀を見据えた長期構想として、川崎市基本構想を定めるとともに、1993年にはこの構想に基づく基本計画である川崎新時代2010プランを策定いたしました。この計画は、新しい時代状況の変化に対応しながら、21世紀における川崎市の都市像とそこに至る道筋を明らかにしたものであり、計画策定以降、この計画にのっとって施策を推進してきたところでございます。  しかし、計画策定の時期を境にいわゆるバブル経済が崩壊、それ以降景気低迷が長期化したことにより、本市の財政状況の逼迫を招くとともに、計画事業の実行性を確保することが困難になってまいりました。また、低成長経済への移行や少子高齢化の急速な進行、さらに将来的に予測される人口減少過程への移行など、大変大きな社会の転換期を迎える中、今までの成長を前提とする社会経済の仕組みを、持続型の仕組みへと根本的に見直していくことが必要になっているところでございます。  こうしたことから、行財政改革の断行により、一刻も早く確かな財政基盤を確立し、市民生活の維持向上を図ることを目的に、2002年に川崎市行財政改革プランを策定して、川崎再生に向けた取り組みに着手することにより、川崎新時代2010プランに掲げる計画事業につきましては、執行計画の根本的な見直しを行ってきたところでございます。今後予測される社会経済環境の変化に適切に対応するためには、引き続き行財政改革を着実に進めていくことが求められておりますが、このような状況の中で、新たな総合計画は、改革によって目指す川崎再生の姿を具体的に示すとともに、それに向けた新たな市政運営の基本方針として策定するものでございます。  次に、新たな総合計画の役割についてでございますが、これまでの社会全般を通じた枠組みや、私たちの判断と行動の基底には、成長という規範が大きな役割を占めてまいりました。しかし、今や時代状況や社会環境が大きく変化しておりますので、新たな時代においてよりどころとなる基本的な考え方や価値観を見出し、共有化するとともに、新たな価値観をもとに社会を支えるしっかりとした土台をつくり上げる必要があると考えております。川崎市におきましても、今までの総合計画は、右肩上がりの経済成長や税収増を背景とした新規・拡充施策の推進計画としての性格が強いものでございましたが、新たな計画は、こうした、「何を増やし、何をつくる」という従来の発想を転換して、「活力とうるおいのあるまちをどのように育て、運営していくか」という視点から、地域経営のプランと言うべきものである必要がございます。  また、地方分権改革が本格化し、市民生活における地方の重要性が増すとともに、よりよいまちづくりや暮らしの安心につながる地域レベルの活動が活発に行われ、市民参加や協働の取り組みが進められる中、行政の取り組みについて、「市民の安心で快適な暮らしにどのように貢献したか」、「よりよいまちづくりにどのように役立ったか」といった視点から、その成果を評価・公表し、行政が説明責任を果たすとともに、その結果をこれからの施策に生かすことが求められております。このようなことから、今回の計画は、行政が主体となって取り組む、あるいは一定の役割を担うすべての施策を対象とするとともに、施策の執行によって達成、実現を目指す成果目標を可能な限り具体的にお示しし、さらにこれを執行するに当たっては、施策や事務事業の評価と連携することによって、効果的な施策執行と課題解決を図る、計画・実行・評価・改善の仕組みをつくり上げてまいりたいと思います。  次に、新たな総合計画の構成でございますけれども、新たな総合計画は、今後の急速な社会経済環境の変化の中におきましても、その変化に適切に対応し、計画の実行性を確保する必要がございます。そのために、新たな計画では現行の計画に比べて計画期間を短期に設定することといたします。さらに、計画の構造につきましては、現行の計画は基本構想、基本計画、実施計画の3層構造となっておりますが、新たな計画では基本構想、実行計画の2層構造といたします。基本構想は、これから川崎市が進めるまちづくりの基本方針として、市政運営や政策の基本方向を掲げる具体性を持った10年程度の計画とし、実行計画は、基本構想に基づく施策の具体的な取り組み内容及び成果目標を明示した3カ年の計画といたしたいと思います。  次に、新たな総合計画におけるまちづくりの基本目標でございますけれども、これまでの多くの英知と努力によって育てられてきたこの川崎市を、さらにさまざまな課題を解決しながら、川崎に暮らす人々が活力と潤いのある生活を送ることができるまちへと発展させていくために、新たな時代に向けたまちづくりの基本目標を、「誰もがいきいきと心豊かに暮らせる持続可能な市民都市かわさき」をめざして、と掲げたいと思います。これは、民主主義のもとでの人権の尊重と平和への貢献を、構想を貫く根本的な理念とした上で、市民本位の自治のまちづくりを進めることを基本方針としながら、人々の地球市民としての責任ある諸活動のもと、川崎というまちが都市としての自立と持続可能性を確かなものにするとともに、自助・共助・公助のバランスのとれた地域社会の中で、川崎市民のだれもが生きがいと幸せを感じられるような取り組みを推進するという考えを示したものでございます。  この基本目標を達成するために、市民・地域・企業・行政が力を合わせて取り組むまちづくりの3つの基本方向を次のとおり掲げております。1つには、「協働と協調をもとに、いきいきとすこやかに暮らせるまちをつくる」ということでございまして、市民・地域・企業・行政のパートナーシップに基づく協働の取り組みを進めるとともに、市域内にとどまらず、広域的な視点を大切に、近隣自治体等との協調や機能分担・補完を適切に行いながらまちづくりを進め、その成果を分かち合い、市民が生き生きと健やかに暮らせるまちづくりを進めてまいりたいと思います。  2つには、「川崎の特徴や長所を活かし、持続型社会の実現に貢献する」ということでございます。川崎には、我が国有数の産業集積や豊かな人材、首都圏に位置する地理的条件など、数多くの特徴や長所がありますけれども、こうした川崎の財産をしっかりと認識するとともに、それぞれの主体が率先してその力を発揮し、我が国や世界が目指す、将来にわたる生活の基盤となる、環境の保全と経済や社会の発展とが両立できるような持続型社会の実現に貢献することによりまして、国際的に存在感のあるまちづくりを進め、また、市民の自立的な活動が持続的、安定的に行われることを目指したいと思っております。  3つには、「自治と分権を進め、愛着と誇りを共有できるまちをつくる」ということでございまして、地域が主体となって、地域の課題解決や身近なまちづくりをわかりやすい仕組みで進め、地域の力によって地域の魅力や個性を引き出すとともに、川崎を代表する魅力を大きく育てることにより、市民が愛着と誇りを共有できるまちづくりを進めてまいりたいと思います。  次に、お手元の基本構想素案の冊子では、6ページにおける、基本政策を定めるに当たって前提となる諸条件の分析でございます。  初めに、人口の動向についてでございますが、2004年に130万人を超えた川崎市の人口は、その後2010年には137万8,000人、2015年には138万9,000人と漸増を続けることが見込まれます。しかし、その後は2020年には138万2,000人、2030年には134万3,000人と、長期的な人口減少傾向に転換することが予想されるところでございます。  次に、産業・経済の状況についてでございますが、かつてほぼ一貫して成長を続けてまいりました川崎市の産業・経済も、バブル経済崩壊以降の景気低迷の影響を受けて長期的な縮小過程にありまして、市内総生産は1996年をピークに減少傾向を続けております。産業分野別構成では、かつては第2次産業、とりわけ製造業が大きな割合を占めていたものの、サービス経済化の進行などにより、産業構造が大きく変化をしており、こうした産業構造の変化や、サービス経済化の傾向は今後とも続くものと考えられます。  次に、お手元の基本構想素案の冊子では9ページにおける、現状と主要課題に対する認識についてでございます。本計画の計画期間であります、今後おおむね10年間の川崎市を展望するに当たって、我が国や川崎市を取り巻く社会経済情勢の動向や、こうした中で生じる解決すべき課題を整理いたします。  初めに、社会経済環境の変化に対する認識についてでございますけれども、本格的な少子高齢社会への突入と、今後予想される長期的な人口減少過程への移行に伴い、今まで進めてまいりました市民生活を支える社会資本の整備・充実や行政サービス提供のあり方につきまして、根本的な見直しが求められております。こうした環境変化の中では、今までの発想の転換なくしては社会資本の整備・充実や行政サービスの提供を続けていくことができなくなると思います。また、これまでの仕組みは、その時代の社会情勢の中における価値観によってつくられ、受け入れられたものでありますため、人口の総数や年齢構成が大きく変化し、いわゆる「支える人」と「支えられる人」とのバランスが変わる中では、こうした仕組みについて、新しい時代において受け入れられる、新たな公平感や社会通念に基づくものかどうかを見直し、少子高齢社会に対応した地域社会の備えをつくり上げていく必要がございます。  さらに、発想や手法を根本的に転換しながら、市民の安心や快適を実感できるようなまちづくりを着実に進めるためには、今まで行政が主体的な役割を担ってきた部分につきまして、民間部門や地域の団体などとのパートナーシップを築きながらその機能をゆだねていくことや、IT活用を進めることなどによって、多様なサービスニーズに適切にこたえていくことなども必要となってきております。このようなことから、これからの10年間は、これまでとは大きく社会経済のシステムが変わる時代を迎えるための「踊り場の10年」であると言えるのではないかと思います。10年間の課題に適切に対応しつつ、それ以降に迎える極めて大きな変化にも備えていくことが大切になると考えられます。  次に、地球環境配慮循環型社会への転換についてでございますが、地球温暖化やオゾン層の破壊など、さまざまな環境問題が世界じゅうで顕在化する中、地球環境を守るためには、特に都市部において環境に負荷をかけない市民の生活様式や産業活動を選択し、実践することが重要になってきております。環境配慮と都市の活動が共存する社会を実現していくためには、市民生活の分野では、持続可能な社会の構築に向けて、一人一人が生活習慣や価値観及び社会的な枠組みを循環型社会にふさわしいものに変えていくことや、産業分野では、その活動における環境負荷削減の取り組みや環境調和型産業の振興などが求められているところでございます。  次に、地方分権の進展と地域主権についてでございますが、2000年に地方分権一括法が施行され、地方への権限移譲を進める地方分権改革が現実のものとして進んでおります。これからのまちづくりを考える際には、地方分権を大きな前提として、国、県、市のそれぞれが果たす役割をしっかりと整理した上で、必要な領域につきましては、適切な協調・連携を志向しながら、効率的・効果的な施策を展開することが必要でございます。  一方、都市型の生活様式が広がる中、従来の地縁を中心とする相互扶助や助け合いの機能が弱まる一方で、身近な課題に対応するためにNPOなどによる活動が広がりを見せております。こうした、よりよいまちづくりや暮らしの安全につながる活動が活発に行われる中、身近な課題を地域で解決し、地域が主体性を発揮できる地域主権の仕組みをつくり上げていくために、市民・地域・行政の関係や役割につきまして、しっかりと整理・再構築しておくとともに、それぞれの部門による協働の取り組みが、今後重要性を増すことを認識しておくことが必要であると思います。  次に、お手元の基本構想素案の冊子では20ページにおける、政策に反映すべき基本的視点でございますけれども、川崎市を取り巻く現状や課題などを踏まえた上で、まちづくりの基本目標を実現するため、主に行政が中心となって取り組む政策につきまして、共通的に配慮しておくべき4つの基本的視点を次のとおり掲げております。  1つには、「新たな時代にふさわしい価値観の創造と先駆的な取組を進める」ということでございます。少子高齢化の進行や人口減少過程への移行、経済の低成長など社会経済環境が変化する中、成長を前提とするこれまでの考え方から脱却して、新たな時代にふさわしい価値観や行動規範を創造し、これを認め合うことが重要になると思います。少子高齢社会にあっても高齢者が地域の主役として活躍できる仕組みづくりに取り組むことや、地球環境に貢献する新たな環境技術を開発し、これを産業モデルとして普及させることなど、目指すべき持続型社会にふさわしい価値観に基づく取り組みを推進していくことが求められているところでございます。川崎には、活発な市民活動や地域活動、我が国有数の企業の集積など、さまざまな特徴や長所があるわけでございます。こうした川崎の特徴や長所を存分に発揮しながら、主体的で先駆的な取り組みを積み重ね、社会の持続可能性を確保する原動力の役割を果たしてまいりたいと思います。  2つには、「首都圏の好位置にある川崎としての個性を活かす」ということでございます。川崎は首都圏の中心部に位置し、しかも東京と横浜という巨大消費地に隣接しているという、極めて有利な地理的条件を備えております。こうした交通の利便性や潜在的な集客力などを含む優位性を十分に生かして、首都圏における位置づけや果たしている役割をしっかりと認識し、近隣自治体も含めた広域的・総合的な視点から施策を展開することにより、自立性を保ちつつ、広域的に調和のとれたまちづくりを進めたいと思います。  3つには、「相互信頼に基づき自立と自己決定を尊重する」ということでございます。少子高齢化の急速な進行や人口減少過程への移行など、社会構造が従来とは大きく変化する一方で、地域のさまざまな課題解決に向けて市民活動が活発化するなど、まちづくりにおいて行政が主体となって担ってきた領域に変化が生まれてきております。このような中で、市民、地域、企業と行政との相互信頼に基づいて、しっかりとしたパートナーシップを確立し、市民や地域の自立に向けた活動を促進し、自己決定を尊重する取り組みを進めていきたいと思います。  4つには、「市民が実感できる効果的な政策を経営的視点に立って創造する」ということでございます。今後も厳しい財政状況が続くことが予想される中、限られた財源により、行政が取り組む施策の厳選が求められております。こうしたことから、行政が執行する施策の効果を市民が実感できるかどうかということが重要なポイントとなります。そのために、施策展開の着眼点を画一性重視から多様性重視へと転換しながら、身近な日常生活圏における課題解決に向けて、きめ細やかな取り組みを進めたいと思います。さらに、こうした施策を進めるに当たりましては、地域における既存のさまざまな資源や財産を有効に活用したり、行政サービスの顧客として市民は何を望んでいるのか、解決すべき課題に対して施策が有効に機能しているかなど、顧客志向を重視してまいります。また、施策の効果を最大限に発揮するために必要な、多種多様な事業主体や事業手法の適切な選択も心がけてまいりたいと思います。このような経営的視点に立った施策展開により、市民が実感できる効果的な政策を実現してまいりたいと存じます。  次に、お手元の基本構想素案の冊子では23ページになりますが、新たな総合計画では、まちづくりの基本目標を実現するための基本政策といたしまして、1つには、「安全で快適に暮らすまちづくり」、2つには、「幸せな暮らしを共に支えるまちづくり」、3つには、「人を育て心を育むまちづくり」、4つには、「環境を守り自然と調和したまちづくり」、5つには、「活力にあふれ躍動するまちづくり」、6つには、「個性と魅力が輝くまちづくり」、7つには、「参加と協働による市民自治のまちづくり」の7つを掲げております。  次に、お手元の基本構想素案の冊子では98ページにおける、構想の実現に向けまして取り組む課題といたしまして、次の3点を掲げております。1つには、「分権の推進と市民自治の拡充」でございます。地方分権の大きな流れの中で、分権時代にふさわしい新たな自治の仕組みづくりと市民と行政による協働のまちづくりを推進し、市民本位の行政運営の確立を図ります。2つには、「新たな時代にふさわしい行財政システムの構築」でございます。構想に掲げる政策の実施を通じて新たな川崎の姿をつくり上げていくためには、新たな時代にふさわしい行政の姿や役割を整理し、効率的で効果的な行財政システムを目指した改革を推進いたします。3つには、「地域経営の確立」でございます。さまざまな環境変化や諸課題に適切に対応しながら、安定的な市民福祉と持続可能な行政運営を確保していくために、自助・共助・公助のバランスを重視した地域経営の確立を図りたいと思います。  次に、今後の進め方についてでございますけれども、今回お示しいたしました素案をもとに、議会の皆様からの御意見を初め、タウンミーティングなどさまざまな手法によりまして、広く市民の御意見をお伺いしながら、計画策定作業を進めてまいりたいと思います。  なお、詳細につきましては、総合企画局長から説明させますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。 ◎北條秀衛 総合企画局長 それでは、引き続き、新総合計画基本構想素案につきまして、御説明申し上げます。  初めに、基本構想素案の6ページにおける、基本政策を定めるに当たっての前提となる諸条件の分析でございますが、まず年齢3区分別の人口動向についてでございますが、14歳以下の年少人口につきましては、2010年まで微増を続けるものの、それ以降は出生率の低下の影響から減少していくことが予想されます。また、15歳から64歳の生産年齢人口につきましては、2005年以降減少過程に入ることが予想されます。その一方で、65歳以上の老年人口は大幅な増加が見込まれ、老年人口における75歳以上の後期高齢者の占める割合につきましても、2003年には38.8%であったものが、2015年には45.2%へと急速に高まることが予想されます。地域的には、多摩区及び麻生区が2020年まで人口増加を続けるのに対しまして、川崎区及び幸区は全市動向よりも早く、2010年を境に人口減少過程に移行し、その後の人口減少の速度も他区に比べて早くなることが予想されます。  次に、産業構造の転換についてでございますが、1980年には市内総生産全体のうち55.5%の割合を占めておりました製造業は、金額面では1990年をピークに減少を続け、2001年ではピーク時の53.5%にまで落ち込んでおります。一方で、第3次産業はサービス業が中心となって増加を続け、2001年では第2次産業の約2.2倍、市内総生産全体の69.0%を占めているところでございます。  次に、現状と主要課題の認識についてでございますが、初めに、経済情勢の面では、かつてのような成長経済が終えんし、これに引き続く低成長経済への移行が進んでおります。こうした中で、人々は物質的な豊かさから質的な充足感を求めるようになり、また、今後は従来のような右肩上がりの成長が望めないことから、行財政運営の面では財源投入の効果や成果をしっかりと見きわめるなど、経営的視点持続可能性を重視した取り組みが求められております。また、企業活動の国際化や生産拠点の海外移転などを初めとして経済活動のグローバル化が進み、地球規模でのネットワークが広がる中、私たちの生活は世界全体の共同体としての営みによって支えられている一方で、こういった環境の中で発生する問題は広範な影響を及ぼすということをしっかりと自覚することが必要でございます。  次に、川崎市の地域特性と抱える課題についてでございますが、まず「首都圏の好位置にある優位性」ということで、川崎市は首都圏の中心部に位置するとともに、東京と横浜という巨大消費地に接し、交通アクセスにも大変すぐれております。さらに、羽田空港の再拡張・国際化に伴って、空港に隣接することの地理的優位性や利便性が一層高まることが予想されます。  次に、「産業構造の転換と研究開発型産業の集積」についてでございますが、臨海部は京浜工業地帯の中核として日本の産業を支えてまいりましたが、産業構造の転換や経済活動のグローバル化による生産機能の海外移転などによって、既存産業の空洞化が進んでおります。また、川崎市のものづくり機能を支えてきた中小企業も、同様に厳しい環境に置かれております。その一方で、川崎市には、情報通信分野などを中心に、我が国を代表する先端技術産業が集積しており、さらに研究開発機関が数多く立地し、学術研究機関に働く人の割合は大都市の中で1位となっております。また最近では、臨海部を中心に環境分野における新産業や先端科学技術の研究開発拠点形成の動きも生まれているところでございます。  次に、「細長い地形と多様な地域の個性」についてでございますが、川崎市は、多摩川に沿って南北に細長く立地し、南部は海に接し、北部は多摩丘陵や生田緑地などの豊かな緑に囲まれております。また、東京のベッドタウンとしての住宅地や、南武線沿線のものづくり機能や研究開発機能の集積、臨海部における工業や物流拠点機能など、地域それぞれが多様な個性を持っております。  次に、「多摩川や多摩丘陵の豊かな自然」についてでございますが、川崎市の北部には緑豊かな多摩丘陵が広がり、その一角の生田緑地には教育・文化施設が点在し、市民の憩いの場となっております。また、市域に沿って流れる多摩川には豊かな自然が残されております。こうした環境は、都市部における貴重な自然資源となっており、その保全と活用が課題になっております。  次に、「商業・集客資源の課題」についてでございますが、川崎市は、隣接都市に巨大な商業・集客施設が豊富に存在するため、購買力の市外流出が続いております。また、商店数、従業者数も減少傾向にありましたが、近年、川崎駅周辺には民間の商業・集客施設やミューザ川崎シンフォニーホールなどがオープンし、にぎわいを見せております。こうした資源を核とした商業・集客機能の強化が課題となっております。  次に、「市域縦軸の交通網の課題」でございますが、川崎市は、東京から放射状に伸びる鉄道路線・幹線道路が多数整備され、鉄道系・道路系ともに市を横断する交通機能が発達しております。これに比べて、市を縦に連絡する交通機能が弱く、臨海部地区、川崎駅周辺の都心地区、北部住居地区等の縦貫方向の結びつきが十分ではありません。  次に、「まちづくりに対する市民の意識」についてでございますが、市民がこれからのまちづくりに当たって重要と考えている点といたしまして、少子高齢社会にふさわしい福祉施策の展開や、暮らしやすい、きめ細やかな地域環境の整備、都市の安全性の確保など、日常生活における身近な安心や快適さの向上に対する関心が高いことが「川崎市政及び区政に関する市民1万人アンケート」の結果からわかります。  次に、「川崎市を取り巻く厳しい財政状況」についてでございますが、バブル経済が崩壊し、それ以降景気低迷が続く中、川崎市の財政状況は厳しさを増しております。歳入面での長期にわたる税収の伸び悩みに加えて、歳出面では、高齢化の進行や景気低迷の影響を受けまして、生活保護費等の扶助費が増大を続けております。さらに、景気低迷の状態を打開するために実施してまいりました景気対策が十分にはその効果を発揮せず、その結果、市債残高を増嵩させ、一層の財政の逼迫を招く要因となっております。こうした厳しい財政状況の原因は、景気変動に伴う単なる一時的な税収減によるものではなく、構造的な経済問題とともに、長年継続してきた行政運営の仕組みの制度疲労や、少子高齢化の進行という根本的なところにあるものと考えられます。  次に、都市構造の考え方についてでございますが、初めに背景でございますが、首都圏におきましては、現在の東京中心部への都市機能の一極集中の状況から、自立性の高い地域がバランスよく配置され、それらが連携・交流し、首都圏全体の機能を高める「分散型ネットワーク構造」への転換を目指しておりますが、その中で川崎市は拠点都市の一つとして、自立性の高い都市機能の形成や隣接都市との連携の強化、広域都市機能を支える交通ネットワークの強化などの役割を担っているところでございます。一方、市民の生活行動は、川崎市を横断する首都圏の放射状の鉄道沿線に沿って、市域を越えて展開しているとともに、また地域における多様なコミュニティー活動も進展しております。  次に、持続型社会を形成する「広域調和・地域連携型」都市構造への考え方でございます。初めに、「広域調和に基づくまちづくり」についてでございますが、都市拠点の整備に当たりましては、市民の生活行動圏を踏まえまして、市外の隣接都市拠点との役割や機能の適切な分担、補完を図りつつ、個性と魅力ある拠点整備を進めることにより、首都圏における本市の拠点性と都市機能の向上を目指す、広域調和型のまちづくりに取り組んでいくことが求められるところでございます。  次に、「地域連携に基づくまちづくり」でございますが、地域コミュニティーのつながりや機能の連携によりまして、地域生活ゾーンの形成が考えられますが、都市構造からまちづくりを考える上では、この地域生活ゾーンの自立と相互の連携を推進し、都市の一体性と機能性の向上を図っていくことが重要となります。このためには、地域生活ゾーンにおけるターミナル駅周辺地区などでの生活拠点の育成や、地域生活ゾーン間の交通ネットワークの強化などを図る地域連携型のまちづくりを進めることが求められるところでございます。  次に、「広域調和・地域連携型都市構造の展開に向けて」でございますが、こうした考え方に基づき、広域的視点を踏まえた各拠点の魅力の創出を目指す広域調和型のまちづくりと、市内各地域の自立と連携を目指す地域連携型のまちづくりをバランスよく進め、「広域調和・地域連携型都市構造」の構築を目指します。  それでは引き続き、お手元の基本構想素案の冊子では23ページになりますが、基本政策体系につきまして御説明申し上げます。新たな総合計画では、まちづくりの基本目標を実現するために、「安全で快適に暮らすまちづくり」を初めとした7つの基本政策を設定するとともに、施策全体の枠組みを30の政策の基本方向として掲げております。  それでは、各基本政策につきまして順次御説明いたします。まず、基本政策Ⅰの「安全で快適に暮らすまちづくり」でございますが、この基本政策におきましては、市民の日々の生活は、個人の生命や財産などの安全が保障されることを基礎として成り立っていますが、近年こうした安全が脅かされるような出来事が増加していることから、市民の身近な暮らしの安全を確保するとともに、防災体制を強化し、災害に強いまちづくりを推進します。また、都市の成熟化や少子高齢化によって、市民の価値観や地域を取り巻く環境に変化が生じており、より快適で暮らしやすい地域環境の創造を目指し、市民協働による地域課題の解決や、日常生活での利便性向上に向けた取り組みにより、市民がいつまでも地域に住み続けたいと思えるような環境づくりを進めてまいります。この基本政策は、5つの政策の基本方向で構成されております。  初めに、政策の基本方向1の「暮らしの安全を守る」についてでございますが、こちらでは、市民の生命や生活の安全を守るため、地域で発生する犯罪、交通事故、消費生活被害の防止や救急体制の充実に向けた取り組みを進めるとともに、食品などの生活衛生環境の確保を図ります。施策の展開につきましては、防犯・交通安全など安全な地域社会の確立などによる、身近な安全の確保。救急救命士の養成と高度な救急体制の整備などによる、救急体制の強化。食品衛生など安全な生活の確保などによる、良好な生活衛生環境の確保の3点でございます。  政策の基本方向2の「災害や危機に備える」についてでございますが、こちらでは、かけがえのない市民の生命、財産を守るため、危機管理体制の整備を図るとともに、自然災害や都市型災害への対策の推進、消防力の強化などに取り組みます。施策の展開につきましては、的確かつ迅速な初動体制の確立による、危機事象への的確な対応。耐震補強など被害の軽減に向けた取り組みなどによる、防災対策の推進。消防署所の適正配置と防災拠点としての整備などによる、消防力の強化。雨水の適正な処理による、浸水対策の推進などによる、治水・雨水対策の推進の4点でございます。  政策の基本方向3の「身近な住環境を整える」についてでございますが、こちらでは、市民が暮らしやすい潤いある住環境の整備に向けて、景観施策の推進や狭隘道路対策などにより、良好な市街地の形成を促進するとともに、良質な住宅ストックの形成や市民主体のまちづくりへの支援などに取り組みます。施策の展開につきましては、地域特性を生かした良好な街並みづくりの推進などによる、良好な都市景観形成の推進。狭隘道路対策などによる、住宅・住環境の整備の推進。地域の声を生かしたまちづくりの推進などによる、市民の提案や自主性が生きるまちづくりの推進の3点でございます。  政策の基本方向4の「快適な地域交通環境をつくる」についてでございますが、こちらでは、身近な地域で安全・快適に生活できるように、駅周辺などにおけるバリアフリー化の推進やバス交通の利便性向上、生活道路の安全対策、さらには自転車の利用環境整備など、地域の交通環境の改善を推進します。施策の展開につきましては、バリアフリー化の推進などによる、身近な地域交通環境の整備。安全で安心な身近な道路づくりなどによる、地域の生活基盤となる道路整備の推進。市バス事業の効率的な経営とサービスの向上などによる、バス輸送サービスの充実。商業施設等を対象とする駐輪場の附置義務制度などによる、自転車等の利用環境整備の推進などによる、総合的自転車対策の推進の4点でございます。  政策の基本方向5の「安定した供給・循環機能を提供する」についてでございますが、こちらでは市民生活に必要なライフラインとして、水源水質の保全などにより、安全な飲み水を確実に提供するとともに、下水の処理・浄化を推進し、快適な都市環境の確保を図ります。施策の展開につきましては、安定給水の確保と安全性の向上、震災時の飲み水の確保などによる、良質な水の安定供給。下水道施設の整備と適切な維持管理などによる、良好な下水道環境の形成の2点でございます。  次に、基本政策Ⅱの「幸せな暮らしを共に支えるまちづくり」でございますが、この基本政策におきましては、高齢社会にあっても、住みなれた地域で個人としての自立と尊厳を確保した上で、生涯にわたり生き生きと健やかに暮らせるように、市民一人一人がみずからにかかわることはみずからの責任と選択で決定することができるための取り組みを促進します。また、自立した生活を送る上で必要な支援については、地域で活動するさまざまな担い手による、地域社会での支え合いや課題解決の取り組みを進めるとともに、行政の責務として必要なセーフティーネットはしっかりと維持・提供することによって、市民生活を支援する効果的できめ細やかな施策を展開してまいります。こうした自助・共助・公助の適切なバランスを保ちながら、市民の安心を保障する持続型の地域福祉社会の構築を進めてまいります。この基本政策は、5つの政策の基本方向で構成されております。  政策の基本方向1の「超高齢社会を見据えた安心のしくみを育てる」についてでございますが、こちらでは、高齢者を初めとするすべての市民が、地域でいつまでも自立した生活を送ることができるよう、保健・医療・福祉の分野で活動するさまざまな主体が相互に信頼し、連携する仕組みづくりを進め、安心な市民生活を支える地域での助け合いを促進いたします。施策の展開につきましては、地域福祉を支える担い手づくりなどによる、地域でともに支え合う福祉の推進。高齢者の積極的な社会活動の促進などによる、健康で生きがいを持てる地域づくり。効果的な介護予防の仕組みづくりなどによる、介護予防の推進。介護保険サービスの提供などによる、介護サービスの充実の4点でございます。  政策の基本方向2の「障害のある人が地域で共に暮らせる社会をつくる」についてでございますが、こちらでは、障害者が地域の中でともに暮らすことのできる社会の実現を目指し、市民、ボランティア、福祉産業、行政などの連携による支え合いの仕組みを構築し、自立と社会参加を促進するとともに、就労に向けた機会の確保を図ります。施策の展開につきましては、障害を正しく理解するための啓発促進などによる、障害への理解と支え合いの促進。在宅サービスの充実などによる、障害者の地域生活支援の充実。障害特性に応じた専門的支援と相談機能の提供などによる、障害者の自立と社会参加の促進の3点でございます。  政策の基本方向3の「安心な暮らしを保障する」についてでございますが、こちらでは、失業や病気などにより、生活の維持が困難になった人に対し、生活保護などの社会保障制度を初めとしたセーフティーネットをしっかりと維持し、市民の安心な暮らしを保障します。施策の展開につきましては、生活保護制度の適正な実施と自立の促進などによる、自立生活に向けた取り組みの推進。国民健康保険制度の安定した運営などによる、確かな安心を支える給付制度の運営の維持の2点でございます。  政策の基本方向4の「すこやかで健全に暮らす」についてでございますが、こちらでは、日々の健康増進を通じて、健康で活力のある暮らしを維持することができるよう、市民みずからが生涯にわたり積極的に健康づくりに取り組み、生活の質の向上が図れるような環境を整備します。施策の展開につきましては、市民の生涯を通じた健康自己管理への支援などによる、市民の健康づくりの推進。市民が主体の健康づくりへの支援などによる、地域での健康づくりのネットワーク化の推進の2点でございます。  政策の基本方向5の「地域での確かな医療を供給する」についてでございますが、こちらでは、地域における医療機関相互の機能分担と連携により、良質かつ適切な医療を効果的に提供できる体制整備を進め、すべての市民の健やかで自立した生活を支えます。施策の展開につきましては、地域における医療機関の連携の推進などによる、医療供給体制の確保。医療の質及び患者サービスの向上などによる、信頼される市立病院の運営の2点でございます。  次に、基本政策Ⅲの「人を育て心を育むまちづくり」でございますが、この基本政策におきましては、地域で人を育て、人が地域を育てるという新たな価値観により、子どもから大人に至るまでの、教わる、教える、育ち、育てるといった取り組みを、地域と行政との協働と相互信頼に基づきながら総合的に展開することにより、未来を担う子どもたちがたくましく生きる力を身につけ、健やかに成長する姿を市民が実感できるような地域社会をつくります。また、市民が生涯を通じて生き生きと学び、活動することを支援し、多様な市民の経験や能力が地域の中で生かされるような環境づくりを進めるとともに、人権が尊重され、だれもがともに生きていける社会の構築を進めてまいります。この基本政策は、5つの政策の基本方向で構成されております。  初めに、政策の基本方向1の「子育てを地域社会全体で支える」についてでございますが、こちらでは、子育ての不安を解消し、安心して子どもを産み、育てることができる社会を目指し、総合的な子育て支援体制を確立し、多様な子育てサービスを選択、利用することのできる環境づくりを進めます。また、地域において子どもたちがさまざまな体験をする機会を提供することにより、個々の子どもが持つ特性に応じて、伸び伸び育つことのできる健全な環境をつくります。施策の展開につきましては、地域における子育ての支援と拠点づくりなどによる、安心して子育てできる環境づくり。児童の健全な育成と居場所づくりなどによる、子どもが健やかに育つ環境づくり。児童に関する総合的な相談・支援体制の確立などによる、子どもの育成を支援する体制づくりの3点でございます。  政策の基本方向2の「子どもが生きる力を身につける」についてでございますが、こちらでは、子どもが生きる力を身につけるために、家庭・学校・地域の多様な人々とのつながりの中で、子どもたちの人権を尊重しながら、確かな学力の定着、豊かな人間性の育成、たくましく生きるための健康・体力の向上を目指す教育を進めます。施策の展開につきましては、確かな学力の育成などによる、子どもの健やかな成長の保障と学校の教育力向上。義務教育施設等の計画的整備などによる教育環境の整備。地域に開かれた学校づくりと特色ある教育活動の展開などによる、地域に根差した特色ある学校づくりの3点でございます。  政策の基本方向3の「生涯を通じて学び成長する」についてでございますが、こちらでは、市民の学習や活動がより豊かに行われ、学習の成果が地域社会へ還元されるとともに、相互に学び合える環境づくりに向け、市民の主体的で多様な学習活動を支援します。施策の展開につきましては、みずから学び、活動する市民のための支援などによる、生き生きと学び、活動するための環境づくり。スポーツ・レクリエーションへの参加の機会の拡充などによる、地域のスポーツ・レクリエーション活動の支援の2点でございます。  政策の基本方向4の「地域人材の多様な能力を活かす」についてでございますが、こちらでは、生涯にわたる生きがいの創出や地域社会の活性化を図るために、シニアや若者など、さまざまな世代の市民が持つ多様な能力を発揮することができる場を広げるとともに、大学などを地域で生かす仕組みづくりの推進や若者の社会参加への支援を行います。施策の展開につきましては、シニア世代が地域社会で能力を発揮するための支援などによる、シニア世代の豊かな経験を生かす仕組みづくり。大学などの高等教育機関との連携の推進などによる、大学などを地域で生かす仕組みづくりと若者の社会参加への支援の2点でございます。  政策の基本方向5の「人権を尊重し共に生きる社会をつくる」についてでございますが、こちらでは、すべての市民が人間としての尊厳や人権が尊重され、それぞれの違いを認め合い、ともに生きることのできる地域社会の実現と平和への貢献に向けた取り組みを進めます。施策の展開につきましては、人権にかかわる教育・啓発の推進などによる人権・共生施策の推進。男女がともに仕事と家庭を両立できる職場づくりの推進などによる、男女共同参画社会の形成へ向けた施策の推進。核兵器廃絶平和都市宣言の理念に基づく平和施策の推進の3点でございます。  次に、基本政策Ⅳの「環境を守り自然と調和したまちづくり」でございますが、この基本政策におきましては、持続型社会を実現し、人々の暮らしを確かなものにしていくための地球環境配慮の考え方を基本的な価値観としながら、快適な市民生活を守るための地域の環境対策に取り組むとともに、廃棄物の抑制やリサイクルなど、循環型社会の構築を目指した、市民・事業者・行政それぞれの責任ある行動を推進します。また、生活に潤いと安らぎをもたらす市民共有の貴重な財産である緑を次世代に継承していくために、適切な保全と育成を図るほか、市民が憩い親しむことのできる緑環境を、市民・事業者・行政の協働の取り組みにより、つくり出してまいります。この基本政策は、3つの政策の基本方向で構成されております。  政策の基本方向1の「環境に配慮し循環型のしくみをつくる」についてでございますが、こちらでは、持続可能な社会の形成に向けて、市民・事業者・行政が、ともに地球環境に配慮した責任ある行動の主体として、地域レベルから地球温暖化防止等に取り組むほか、廃棄物の発生・排出抑制やリサイクルの推進など、循環型の仕組みづくりを進めます。施策の展開につきましては、地球環境に配慮した行動の促進などによる、地球温暖化防止の取り組み。市民、事業者のごみの減量・リサイクル活動の推進などによる、ごみをつくらない社会の構築とリサイクルの推進。環境教育、環境学習の推進などによる、環境配慮型社会の形成に向けた取り組みの3点でございます。  政策の基本方向2の「生活環境を守る」についてでございますが、こちらでは、市民の快適な生活環境の創造に向けて、市民生活に密接に関係する大気や水、自動車排出ガスなどの環境対策を着実に行うとともに、ダイオキシン類などの化学物質等についても対策を推進します。さらに、資源にならないごみについては、環境への影響をできる限り抑制する観点から、適正な処理を進めます。施策の展開につきましては、大気、水などの環境対策の推進などによる、地域環境対策の推進。市街地の美化対策の推進などによる、廃棄物対策の推進の2点でございます。  政策の基本方向3の「緑豊かな環境をつくりだす」についてでございますが、こちらでは、良好な自然環境を次世代に継承していくため、多摩丘陵などの貴重な緑の保全と育成に取り組みます。また、憩いと潤いの場をつくり出すため、公園緑地の整備や、市民・事業者・行政の協働による身近な緑の創出、育成を推進するとともに、貴重な環境資源である都市農地の保全に向けた取り組みを進めます。施策の展開につきましては、斜面緑地の保全などによる、多摩丘陵の緑の保全と育成。地域特性を生かした公園緑地の整備などによる、魅力ある公園緑地の整備。工場の緑化や街角の花壇づくりなど花と緑の潤いのあるまちづくりの促進などによる、市民・事業者・行政の協働による緑の創出と育成。農業公園づくりなどによる都市農地の保全と活用などによる、都市農地の多面的な機能の活用の4点でございます。  次に、基本政策Ⅴの「活力にあふれ躍動するまちづくり」でございますが、この基本政策におきましては、環境と産業が調和した持続可能な社会を目指して、首都圏における川崎の地理的優位性や我が国を代表する先端技術産業の集積、数多くの研究開発機関の立地などを生かして、活力ある産業の創出や臨海部の再生、さらには環境や福祉を初めとした新産業の創造・育成など、国際競争力の強化と国際社会への貢献に向けた取り組みを推進します。また、都市拠点や基幹的な交通網などについては、首都圏における川崎の位置づけや役割を認識し、市民の行動範囲の広域化や近隣都市との機能分担、さらには地域生活圏相互の連携を踏まえた、広域調和・地域連携型のまちづくりを基本に、民間活力との連携を図りながら総合的、効果的な整備を進めてまいります。この基本政策は、6つの政策の基本方向で構成されております。  政策の基本方向1の「川崎を支える産業を振興する」についてでございますが、こちらでは、活力ある地域社会と豊かな市民生活の実現に向けて、産業集積の形成、産業立地の誘導、ものづくり機能の高度化などを通じて、確かな川崎の産業基盤を築くとともに、地域に根差した中小企業の育成・支援、魅力ある地域商業や都市農業の振興などを図ります。施策の展開につきましては、操業環境の向上と工業用水の安定供給などによる、産業の競争力強化と活力ある産業集積の形成。ものづくり基盤技術の高度化支援などによる、ものづくり産業の高度化、複合化の推進。魅力ある商業拠点の形成とコミュニティーの核としての地域商業の振興などによる、まちづくりと連動した商業の振興。中小企業の経営環境の整備。安定した農業経営の基盤づくりと地産地消の推進などによる、都市農業の振興の5点でございます。  政策の基本方向2の「新たな産業を創り育てる」についてでございますが、こちらでは、地域経済に新たな活力を吹き込む産業の創出を目指して、新分野に挑戦する起業、創業の支援や暮らしに貢献する福祉産業、環境関連産業などの振興を図るとともに、科学技術を生かした新たな産業の創出・育成に向けた基盤整備を推進します。施策の展開につきましては、ベンチャー支援と創業支援などによる、新事業創出の仕組みづくり。福祉・生活文化産業の振興などによる、市民生活を支援する新たな産業の育成。自然エネルギー等の活用を図る新エネルギー産業の育成。先端科学技術分野の研究開発の促進などによる、科学技術を生かした研究開発基盤の強化の4点でございます。  政策の基本方向3の「就業を支援し勤労者福祉を推進する」についてでございますが、こちらでは、意欲ある人がみずからの能力や個性を生かして働くことができるよう、人材育成や多様な就業機会の確保に向けた支援を促進するとともに、勤労者福祉の推進や技術・技能の奨励、継承のための施策に取り組みます。施策の展開につきましては、産業人材の育成と活用などによる、人材を生かす仕組みづくり。勤労者や技術技能者、自営業者などの福祉の充実などによる、勤労者施策の推進の2点でございます。  政策の基本方向4の「川崎臨海部の機能を高める」についてでございますが、こちらでは、臨海部の産業再生・都市再生・環境再生を目指す国際環境特別区構想の実現に向けて、首都圏における優位性を生かした国際競争力の強化を図るとともに、環境技術を活用した国際貢献や先端的な研究開発拠点の形成促進、さらには、川崎港の機能強化とあわせた陸・海・空の物流拠点の形成などを推進します。施策の展開につきましては、資源循環型産業構造と研究開発拠点の形成促進などによる、臨海部の産業再生の推進。川崎殿町・大師河原地域及び浜川崎駅周辺地域の拠点整備などによる、臨海部の都市再生の推進。羽田連絡路の整備と神奈川口構想への取り組みなどによる、羽田空港再拡張・国際化に対応した基盤づくり。総合的な港湾物流機能の高度化と港湾機能の充実などによる、広域連携による港湾物流拠点の形成。魅力ある緑地・親水空間の形成などによる、市民に開かれた安全で快適な臨海部の環境再生の5点でございます。  政策の基本方向5の「都市の拠点機能を整備する」についてでございますが、こちらでは、活力にあふれた都市づくりを目指し、市民の行動圏の広域化を踏まえ、隣接都市拠点との機能分担を考慮した魅力ある広域調和型の拠点整備を推進するとともに、市内主要ターミナル駅周辺を中心とした、利便性の高い生活拠点の形成と連携による地域連携型のまちづくりを進めます。施策の展開につきましては、川崎駅周辺地区の整備などによる、民間活力を生かした魅力ある広域拠点の形成。新川崎・鹿島田駅周辺地区など、駅を中心とした生活拠点の整備などによる、個性ある利便性の高い地域生活拠点の整備の2点でございます。  政策の基本方向6の「基幹的な交通体系を構築する」についてでございますが、こちらでは、都市機能の向上を図るため、首都圏における川崎の位置や役割を踏まえ、基幹的な広域交通幹線網の整備を進めるとともに、市内交通の円滑化と市民の利便性向上を図る市域の交通幹線網の整備を推進します。施策の展開につきましては、川崎縦貫道路Ⅰ期など首都圏の基幹的道路ネットワークを踏まえた広域幹線道路網の整備などによる、広域的な交通幹線網の整備。尻手黒川線や東京丸子横浜線など重点的な幹線道路網の整備などによる、市域の交通幹線網の整備の2点でございます。  次に、基本政策Ⅵの「個性と魅力が輝くまちづくり」でございますが、この基本政策におきましては、地域の歴史や文化に根差した川崎らしさを大切にするとともに、さらに新しい魅力を創造し、それらが互いに融合しながら変貌を遂げる川崎の姿を発信することにより、都市イメージの向上と、多くの人々が集う、にぎわいのあるまちづくりを進めます。また、市民がみずから暮らすまちに、いつまでも愛着と誇りが持てるよう、市民の文化・芸術活動を支援するとともに、個性にあふれ国際性に富んだ多様な文化の振興や地域間交流を推進するほか、多摩川を初めとした貴重な地域資源を生かすことにより、川崎の魅力として育ててまいります。この基本政策は3つの政策の基本方向で構成されております。  政策の基本方向1の「川崎の魅力を育て発信する」についてでございますが、こちらでは、市民が愛着と誇りを持てるまちづくりを目指し、音楽やスポーツなど川崎を代表する魅力を大きく育てるとともに、歴史・文化にはぐくまれた産業施設や観光資源などに光を当て発信することにより、まちのにぎわいを創出し、都市イメージの向上を図ります。施策の展開につきましては、魅力ある集客拠点の形成などによる、新たな観光の振興。音楽のまち・かわさきの推進。ホームタウンスポーツの振興。各区の個性を生かした魅力あるまちづくりの推進などによる、地域資源を生かした魅力づくり。多様な媒体を活用した戦略的な広報の展開などによる、都市イメージの向上の5点でございます。  政策の基本方向2の「文化・芸術を振興し地域間交流を進める」についてでございますが、こちらでは、豊かで潤いのある市民生活と個性ある地域づくりを目指し、多様な文化・芸術資源を生かしながら、市民による文化・芸術活動を振興するとともに、姉妹友好都市等との国際交流や地域間交流を推進します。施策の展開につきましては、仮称文化芸術振興条例に基づく市民の文化・芸術活動の振興。地域性・国際性豊かな文化施策の推進などによる、個性ある多様な文化の振興。姉妹友好都市との交流の推進などによる、国際交流の推進。市民主体の地域間交流の推進の4点でございます。  政策の基本方向3の「多摩川などの水辺空間を活かす」についてでございますが、こちらでは、多くの市民が楽しみ憩える環境の創出を目指し、多摩川や二ヶ領用水などの貴重な資源を有効に活用し、市民活動団体やNPO、国などとの協働・協調の取り組みにより、魅力ある水辺空間づくりを推進します。施策の展開につきましては、水辺などの自然環境の保全などによる、多摩川の魅力を育てる総合的な取り組み。二ヶ領用水などの快適な水辺空間の創出などによる、水との触れ合いの場づくりの2点でございます。  次に、基本政策Ⅶの「参加と協働による市民自治のまちづくり」でございますが、この基本政策におきましては、本格的な地方分権時代を迎える中で、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現に向けて、新たな自治の仕組みをつくり、市民本位の行政運営を推進するとともに、地域課題の解決や新たな公共サービス提供のための環境を整備し、市民と行政の協働によるまちづくりを推進します。また、市民参画による地域主体のまちづくりに向けて、地域の課題を解決できる区役所の機能を整えるほか、迅速で的確な総合相談サービスの提供や情報環境の整備を進め、市民満足度の高い行政サービスを提供してまいります。この基本政策は3つの政策の基本方向で構成されております。  政策の基本方向1の「自治と協働のしくみをつくる」についてでございますが、こちらでは、本格的な少子高齢社会の到来などに伴う、市民の価値観の変化と市民ニーズの多様化に的確に対応し、個性豊かで活力に満ちた地域社会を形成するため、分権時代にふさわしい新たな自治の仕組みづくりと、市民と行政による協働のまちづくりを推進します。施策の展開につきましては、仮称自治基本条例に基づく市民自治の推進などによる、分権時代の新たな自治の仕組みづくり。地域コミュニティー施策の推進などによる、協働のまちづくりの推進の2点でございます。  政策の基本方向2の「市民と協働して地域課題を解決する」についてでございますが、こちらでは、市民参画による地域主体のまちづくりを進めるため、地域の課題を発見し、解決できる区役所づくりを推進いたします。また、便利で快適なサービスが効率的・効果的に提供できるよう区役所の整備を進めます。施策の展開につきましては、区役所を地域のまちづくり拠点として整備などによる、区における地域課題への的確な対応。区における市民活動支援施策の推進。利便性の高い快適な窓口サービスの提供などによる、便利で快適な区役所サービスの効率的・効果的な提供。区民会議の設置などによる、市民参加による区行政の推進の4点でございます。  政策の基本方向3の「市民満足度の高い行政サービスを提供する」についてでございますが、こちらでは、情報化による効果的な行政サービスの提供や情報共有の仕組みづくりを進めるとともに、さまざまな問い合わせや相談に迅速で適切な対応を図るための総合的な体制を整備し、市民満足度の高い行政サービスを提供します。施策の展開につきましては、申請の電子化推進など利便性を実感できる電子行政サービスの充実などによる、市民本位の情報環境の整備。迅速で的確な総合相談サービスの提供の2点でございます。  また、お手元の資料の巻末でございますが、100ページに、基本構想素案におけるまちづくりの基本目標と基本政策体系を一覧に示したもの、102ページに、総合計画策定スケジュール、104ページに、新たな総合計画策定の考え方、106ページ以降に、策定検討委員会、市民会議、庁内における議論の経過を掲載しておりますので、後ほど御参照いただきたいと存じます。  以上をもちまして、新総合計画基本構想素案の説明を終わらせていただきます。 ○坂本茂 議長 以上で、説明は終わりました。  それでは、ただいまの説明に対する各会派代表による質疑、意見等をお受けしたいと思いますが、発言順序につきましては、前議会の発言順序に倣って御指名申し上げます。  それでは、発言を願います。 ◆浅野文直 議員 私は、自由民主党川崎市議団を代表いたしまして、ただいま御説明をいただきました新総合計画素案に対しまして、質疑をさせていただきます。  新総合計画について伺うに当たり、まず2010プランの総括について伺います。昭和58年に策定した2001かわさきプランの実行途中において、本市を取り巻く環境条件の変化に適合すべく、平成5年に2010プランが策定されました。当時も専門家や市民から多くの意見を伺い、さらに各区での市民討議や懇談会などで検討いただいた上で策定されました。単に社会情勢を理由に新プランを策定したというのではなく、当時御協力いただいた方々のためにも、2010プランが、基本理念に基づき、どの程度課題を解決してきたのか、どこまで進捗してきたのか示すべきであります。そうしたことから新プランへ生かすべき点も見えてくると考えます。2010プランは策定当時から財源の提示がありませんでしたので、より評価を難しくしていますが、だからこそ明確にすべきであります。2010プランの検証と評価について伺います。  次に、策定の根拠となる基本指標について伺います。これまでのプランは構想期間が長期であり、さらに社会環境が大きく変化する中で、人口や税収などの見通しは根底から覆されてしまったわけであります。そうしたことから、構想期間の短縮は理解できますが、人口動向や社会情勢分析には一層の厳しさが求められます。そこで、2010プランでは本市独自の資料に基づき策定した結果、その見通しの甘さからプランの修正をせざるを得ない状況に至ったわけですが、新総合計画を策定する上で同じ結果を繰り返さないためにも、民間のシンクタンク等の多角的分析を利用するなど、より慎重な検討が必要であると思います。  そこで伺いますが、新総合計画を策定する上で、情勢分析と将来推計をどのように検討されたのか伺います。また、基本指標が示すとおり、本市の財政状況がこれからもまだまだ厳しいのは事実であります。また、市民と行政の責務が明確になるにつれ、行政サービスの提供も変わりつつあります。こうした中で、行政自体の厳しい改革が求められていることも周知のとおりであります。そこで、先に示され、実行されてきた行財政改革プランですが、本体の基本となる新総合計画を示すに当たっては、密接に関係するこの行財政改革プランをさらにどう発展させていくのか、市長の決意を伺います。  次に、財政計画について伺います。川崎縦貫高速鉄道線事業や羽田空港神奈川口構想、そして国の財政改革の動向など、現時点における新総合計画の財政の裏づけは変動する要素が多くあります。しかし、少なくとも本市事業についての判断は下した上で、現法体系のもとでの計画に向けた財源を示すべきであります。同時に、計画に合わせた収支見通しと財政改革の目標を示すべきと考えますが、新総合計画における財政計画のあり方について伺います。また、新計画の実行には総額でどの程度の財源を必要とするのか伺います。あわせて、各施策の優先順位をどの時点で公表されるのか伺います。  次に、行政の説明責任と、評価の施策への反映について伺います。この素案では、計画・実行・評価・改善の仕組みをつくり上げ、効果的な施策執行と課題解決を図るとしていますが、これこそ実効性を担保するための最も重要な仕組みであると理解します。そこで伺いますが、チェックはだれがどのような方法で行うのか、見解を伺います。また、行政の説明責任はどのように果たしていくのか、そのシステムについて伺います。
     各拠点整備と並んで広域交通幹線網の整備は、東京都や横浜市に産業振興でおくれをとらないためにも、さらには、南北に細長い川崎市内を人と物がスムーズに行き来する、活力あるまちとするためにも、なくてはなりません。大型プロジェクトの中でも大幅におくれを来している川崎縦貫道の整備を、どう位置づけ、推進していくのか伺います。  また、凍結している川崎縦貫高速鉄道線事業については、財政面や他の施策との関連からも、はっきりとした位置づけは当然であり、これまでの代表質問等でも我が党は指摘を続けてきました。川崎縦貫高速鉄道線事業の市長の政策判断及び新総合計画での位置づけを伺います。  また、快適な地域交通環境をつくるとして、バス輸送サービスの充実が挙げられていますが、バス事業の今後は、川崎縦貫高速鉄道の有無により大きく変わるわけであります。さらには、他都市の例に漏れず、管理運営面でも大きな岐路に立っていると言えます。本市のバス輸送サービスの充実とはどういった姿を描かれているのか、市長に伺います。  また、今後の都市構造のあり方として最も重要な点が広域交通ネットワークの強化であります。本市の機能強化、隣接都市との連携など、最重要課題に対する市長の見解もあわせて伺います。  次に、基本政策のⅡ「幸せな暮らしを共に支えるまちづくり」としてまとめられた福祉施策について伺います。新たな時代にふさわしい福祉の理念への転換と、それに伴う社会サービスの提供と選択について、具体的な展開方法を伺います。素案の中で自助・共助・公助の適切なバランスを保つとしていますが、どのような構図になるのか伺います。改正された社会福祉法では、施す福祉から選択の福祉、措置型から契約型へと大きく転換をされました。しかし、現実には、ニーズの多様化と表現されている福祉サービスへの要求も、自助の領域から一挙に公助へと転換しているケースも見受けられます。こうした社会現象の中で、市民合意が得られる福祉社会の構築をどのような方法で積み上げていくのか、また、自助の領域をシビルミニマムとして構築する考えがあるのかも伺います。  次に、超高齢化社会が予測される今後、安心を約束する介護施策の充実について伺います。介護予防の観点から考えられる施策について、具体案をお示しください。また、きめ細やかな介護サービスの充実を図るため、地域福祉は必須条件でありますが、地域福祉を支える担い手不足が指摘されています。育成、供給についての見解を伺います。さらに、もはや特別養護老人ホームをつくるのみでは、多様な介護ニーズにはこたえられません。むしろ、在宅支援など地域福祉の充実を図るべきと考えます。住みなれた地域で安心して介護サービスが受けられる方策の一つとして、例えば、最低限中学校区に1つのグループホームの設置などが考えられるわけでありますが、見解を伺います。また、介護現場の声など、実態に即した要望こそ現実的な施策構築のかぎになると考えますが、意見集約とその反映方法について見解を伺います。  次に、基本政策Ⅲ「人を育て心を育むまちづくり」について伺います。国、地方自治体を問わず、子育て支援の進んでいるところでは出生率が高いというデータが出されています。少子化対策とは、安心して子どもを産み、育てる環境を、行政がいかに責任を持って整えられるかにあります。本市の対応について伺います。また、すべての子育てを支援する、次世代育成支援行動計画の策定に当たり、市として最も重要と考える基本施策は何か伺います。また、多様な子育てニーズに対応するためのハード、ソフト両面における施策の展開についての考え方と具体策を伺います。また、教育環境の整備について、素案にはかわさき教育プランについての言及がありません。当然リンクするわけですが、整合性について見解を伺います。さらに、学校適正規模・適正配置を目指すとありますが、学区の撤廃は選択肢にあるのか、見解を伺います。さらに、地域と共生する開かれた学校を目指す今後、施設開放、スポーツ振興を視野に入れた学校施設の活用のあり方などについて見解を伺います。  次に、地域に開かれた、魅力あふれる特色ある学校を目指すために、さまざまな施策展開例が挙げられていますが、教育現場で最も求められるのは「人」の魅力、教員の質であります。教職員の資質向上の取り組みについて具体案をお示しください。また、適正な評価とその反省がフィードバックするシステムの構築と実行こそが、施策の遂行を担保できるものでありますが、教育委員会の指導力も含め、評価のあり方についての見解を伺います。  子どもへの施策の充実を図るとともに重要なのが、高齢化時代、シニア世代の経験を生かす仕組みづくりであります。豊富な知識と経験をお持ちのシニアの方々が、いかに生きがいを持って地域で活躍していただけるか、市民協働の担い手として、今後どのような働きの場を提供できるのか、本市の見解を伺います。また、あらゆる世代がコミュニケーションを持つことは、地域の交流が希薄な都市部において、地域主権を目指す上でも重要であると考えますが、世代間交流を進める具体策をお示しください。  次に、目指すべき循環型社会について伺います。近年の異常気象や環境破壊が進む中、循環型社会の構築は急がれるところであります。本市では、日本初となるゼロ・エミッション工業団地など、行政と事業者が協力して成果を出し始めたものもあります。新総合計画で描く循環型社会では、行政・市民・事業者の責任をどのように定めた上で、具体的にどういった施策を展開されるのか伺います。  次に、緑の保全と創出について伺います。まず、都市農地の多面的な機能の活用についてでありますが、本市内の農地及び農業振興地域を含む市街化調整区域のほとんどが民有地であり、その多くが農業従事者の所有地であります。しかしながら、本市を初めとする都市農業従事世帯の現状は大変厳しく、特に市街化調整区域においての営農基盤は大変脆弱なものとなっております。こうした現状から、耕作放棄や不法建築物の増加等、良好な農地としての緑地供給がなされていない現状もあります。そうした現状を踏まえ、新総合計画案及び実行計画を策定する上で、具体的にどのように施策を展開していくのか伺います。  次に、市民・事業者・行政の協働による緑の創出と育成についてでありますが、去る6月11日、国会において、都市緑地保全法等の一部を改正する法案が可決され、新たに都市緑地法として生まれ変わりました。この法律は、地区計画区域において緑化率規制の制度を設けることができるなどを規定したものであります。こうしたことを踏まえ、多摩丘陵の緑保全と並行し、本市内の再緑地化、特に、本市南部地域の再緑地化及び緑の創出について、条例改正も含めた施策の展開について伺います。  続けて、多摩川の魅力を育てる総合的な取り組みについて伺います。長年にわたる治水事業については理解をいたしますが、川崎市に沿って流れる多摩川の現状は、近くに住む人にとっても親水性のある水辺とはなっていません。交通量の多い多摩沿線道路が横たわり、横断するのに危険や不便があり、視覚的にも水辺を感じられず、その存在は実際の距離よりもずっと遠くに感じます。縦長な地形により、共通のふるさと観が希薄な川崎市民共通のふるさととして、質の高い親水性緑地として、また、地域によってはまちの活性化の原動力ともなり得る多摩川の価値ははかり知れません。国土交通省の法的な規制緩和も含めた今後の可能性について、さらに多摩川全体の具体的な構想について見解を伺います。  次に、今回素案の大きなテーマであります、市民協働・自治・分権にかかわる項目「参加と協働による市民自治のまちづくり」について伺います。基本構想素案「計画の役割」の中に、地域経営のプランが必要であるとうたわれています。その実現項目として、「分権時代の新たな自治のしくみづくり」が急務であるとの認識をされていますが、市民協働の新たな自治の仕組みとはどのようなものを想定しているのか伺います。また、自治法改正により設置が可能となった、区地域協議会を活用しての区民会議について、来年度試行したいとのことですが、具体案はあるのか伺います。また、2010プランでは各区ごとの地域整備の基本方向が示されていましたが、新計画での位置づけについて伺います。さらに、分権を強化していくとともに、さまざまな事象がグローバル化している現在においては、周辺自治体との広域連携もまた重要であると考えますが、広域連携のあり方についての見解を伺います。  以上で質問を終わりますが、答弁によりまして、再質問させていただきます。以上です。 ◎阿部孝夫 市長 それでは、私から、ただいまの自民党を代表されました浅野議員の御質問にお答えいたします。  まず、2010プランの検証と評価についてのお尋ねでございますが、2010プランは、21世紀を迎えようとする中で、新たな世紀における川崎市の都市像とそこに至る道筋を示したものであり、それ以降の総合的、計画的な視点からの市政執行の指針として、一定の成果を上げてきたものと考えているところでございます。しかしながら、計画策定の時期を境に、いわゆるバブル経済が崩壊し、それ以降景気低迷が長期化する中、計画事業の実行性を確保することが困難になり、また時代状況や社会環境が大きく変化することによって、計画事業を含めたすべての施策のあり方について根本的な見直しを行う必要が出てまいりました。こうしたことから、2010プランを含めたこれまでの市政執行の方針から転換し、厳しい財政状況の中にあっても市民生活の維持・向上を図ることを目的に、行財政改革プランを策定したわけでございます。  2010プランは、本格的な高齢社会に向けた福祉社会づくりや、国際化の時代にふさわしい世界に開かれた地域社会づくりなど、その時点における課題に対応した計画でありましたが、基本となる時代認識は、いわゆる右肩上がりの経済成長や人口増加を前提とするものでございました。計画策定以降のさまざまな社会経済環境の変化は、当時ではだれもが想定し得ない極めて大きなものであったと認識しておりますけれども、現実として、根本的な前提条件が大きく転換する中、時代状況の変化への対応が喫緊の課題となっております。  私が市長就任以来、一貫して取り組んでおります行財政改革の断行は、こうした問題認識によるものでありまして、さらに2010プランを含め、これまでの行財政運営から根本的に転換して、「誰もがいきいきと心豊かに暮らせる持続可能な市民都市」に向けて川崎の再生を進めていくための基本方針として、新たな総合計画を策定するものでございます。新たな総合計画は、こうした2010プランの検証を踏まえて、今後予想される急速な環境変化の中にあっても計画の実行性を確保するために、計画期間を2010プランと比べて短期間に設定すること。新規・拡充施策の推進計画としてではなく、すべての施策・事業を対象とする地域経営のプランを目指すこと。また、実行計画については、計画期間内の財政収支の見通しを踏まえながら、施策の具体的な取り組み内容や成果目標を明示し、さらにこれに基づく、計画・実行・評価・改善の仕組みをつくり上げることによって、効果的な施策執行に向けた継続的見直しを行うことなど、新たな考え方を取り入れているところでございます。  次に、行財政改革プランの今後の展開についてのお尋ねでございますが、私は、平成14年9月に行財政改革プランを策定いたしまして、行政体制の再整備、公共公益施設・都市基盤整備の見直し、市民サービスの再構築の3つを柱に、これまで改革に取り組んでまいりました。この間、計画に掲げた目標を上回る財政的効果を上げるなど、改革プランに沿って着実な成果を上げることができたものと認識いたしております。しかしながら、歳入の根幹であります市税収入が、プランを策定した平成14年度と比較いたしまして、平成16年度予算で100億円近い減収となることや、国の三位一体改革の影響などにより、本市を取り巻く行財政環境は依然として厳しく、かつ先行き不透明な状況にございます。したがいまして、平成17年度以降の行財政改革につきましても、新たな総合計画の構想実現に向けて、実行計画と一体のものとして、限られた財源や資源を最大限活用し、公平で効率的かつ社会経済環境の変化に適切に対応した諸施策の再構築を図るといった観点から、進めるべきものは進め、見直すべきものは徹底して見直すという基本的な考え方に立って、策定作業を進めてまいりたいと考えております。  次に、財政計画等についてのお尋ねでございますが、初めに、財政計画につきまして、今回の基本構想素案は、10年程度の市政運営や施策の基本方向にかかわるものでございまして、財政収支見通しについてはお示しをしておりませんけれども、今後の基本構想案の公表とあわせ、それを明らかにしてまいりたいと考えております。現在、本市におきましては、財政計画に基づき、全庁を挙げた行財政改革を実施しているところでございますが、これらの取り組みを着実に進めますとともに、限られた財源を有効に活用するため、工夫を凝らしながら効果的、効率的な事業選択を行うことなどにより、事業を計画する必要があるものと考えているところです。  次に、財源と優先順位についてでございますが、今回お示ししております基本構想素案では、政策の基本方向とその政策ごとの施策の展開例を掲げておりますけれども、今後、事業効果や優先度を勘案しながら、充当可能な財源との整合性を図ることにより、年度内の策定に向けた取り組みの中で具体的な事業の絞り込みを行い、実行計画や重点戦略プランという形で明らかにしてまいりたいと考えております。  次に、川崎縦貫高速鉄道線事業についてのお尋ねでございますが、川崎縦貫高速鉄道線は、基幹的な広域交通幹線網の整備を進める中で、本市における縦貫方向の交通機能を強化するための交通軸として重要であると認識いたしております。一方、本市の財政状況は依然厳しく、国における三位一体の改革等の動向が不透明な状況であることは、昨年6月の判断時と変わっていないところでございます。こうした中で、事業再評価におきましては、新総合計画での位置づけが重要な評価視点となってまいります。これらの点や本市の長期的な財政見通し等を総合的に勘案し、実行計画での位置づけを判断してまいりたいと考えております。  次に、バス輸送サービスの充実についてのお尋ねでございますが、バス輸送は、交通結節点である駅を中心とした公共交通機関のネットワークを形成するものでございます。この中で、市バス事業は、交通不便地域や公共施設への足として大きな役割を果たすとともに、ノンステップバスの導入などバリアフリー対策や利用者サービスの向上策などにも積極的に対応してきております。こうした市バス事業の役割を引き続き果たすため、川崎市バス事業経営問題検討会を設置し、その提言をいただいた上で、コスト削減等による経営改善を推進し、効率的な経営を進めてまいりたいと存じます。また、バリアフリー化や環境に優しいバスの導入を進めるほか、運行情報の提供など利用者サービスの充実を図るとともに、駅前広場の整備などバス走行環境の改善についても引き続き努めてまいります。  次に、広域交通ネットワークについてのお尋ねでございますが、本市の目指すべき都市構造といたしましては、広域的な観点と市民の身近な活動などをとらえて、「広域調和・地域連携型都市構造」、そういった概念をお示しいたしたところでございます。この中で、広域的な観点からは、市外の隣接する都市拠点との機能の適切な分担と本市の地理的優位性などを踏まえた自立性の高い都市拠点の整備育成が重要であると考えております。あわせて、これを支える広域交通ネットワークとして、新宿、渋谷、品川などの東京都心部の各拠点や立川、八王子などの多摩方面、横浜都心部、さらには羽田空港など隣接拠点との連携を強化し、川崎、小杉、新百合ヶ丘などの市内広域拠点の集客力の向上を図ることが必要なことと考えております。したがいまして、広域交通ネットワークの整備は大変重要な課題であると考えており、本市における基幹的な交通網の整備や民営鉄道の複々線化など、既存鉄道の輸送力増強と利便性の向上など、本市のポテンシャルをより一層高めていくという観点での施策展開を図ってまいりたいと考えております。  次に、市民協働の新たな自治の仕組みづくりについてのお尋ねでございますが、本格的な地方分権時代を迎える中で、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現に向けて、新たな自治の仕組みをつくり、市民本位の行政運営を推進することは、大変重要なことだと考えているところです。現在、検討を進めております自治基本条例におきましても、このような基本的な考え方に立って、市民の市政への積極的な参加と協働によるまちづくりを推進するための制度や、施策の拡充に向けた基本的な枠組みを定めてまいりたいと考えております。また、市民との協働による市民主体のまちづくりを具体的に進めるため、区役所を地域のまちづくりや子育ての総合的な支援拠点として整備していくことや、区における市民活動支援体制を整備していくこと、あるいは市民参加による区行政を推進していくために区民会議を設置するなどの取り組みを着実に推進してまいりたいと考えております。こうした取り組みを進め、市民・議会・行政がそれぞれの役割と責任のもとでお互いを尊重し、協力して、地域の課題解決を図りながら、分権時代にふさわしい協働のまちづくりを推進してまいりたいと考えているところでございます。以上でございます。 ◎河野和子 教育長 教育委員会関係の御質問にお答え申し上げます。  初めに、教育環境の整備についての御質問でございますが、初めに、新総合計画との整合性についてでございますが、新総合計画及び教育プランの策定に当たりましては、総合企画局と教育委員会事務局が連携し、策定委員会などに相互に参加し、調整を図るとともに、随時協議を行っているところでございます。今後、新総合計画と教育プランの策定に向けましては、施策体系や諸事業の展開など、具体的な部分につきましても、引き続き調整を図ってまいりたいと考えております。  次に、学校の適正規模・適正配置についてでございますが、学校の適正規模・適正配置の目的は、子どもたちのよりよい教育環境を目指すものであり、その手法としまして、通学区域の変更や学校の統合による方法を検討しているところでございます。現在、通学区域、いわゆる学区につきましては、学校教育法施行令第5条第2項に基づきまして教育委員会が指定することとなっております。通学区域につきましては、教育改革の一環としての学区の自由化や学校選択制度などの議論がございます。教育委員会といたしましては、子どもたちのよりよい教育環境づくりという視点から検討すべき課題として認識しておりますが、まずは保護者や地域の方々の御意見をお聞きすることが大切であると考えております。  次に、学校施設の活用についてでございますが、学校施設の活用につきましては、地域と共生する開かれた学校づくりが大切なことと認識しております。現在、各学校ごとに学校施設開放運営委員会を設置しまして、図書室、音楽室、体育館などを開放し、市民の自主的な学習・文化・スポーツ活動の振興を図っているところでございます。さらに本年7月からは、土曜日及び夏季・冬季休業中の一部に図書館パートナーを7校の学校図書館に配置しまして、児童生徒や保護者及び地域の方々に対しまして、自由な読書活動や読書指導の場を提供する新たな活用に取り組んできております。また、高津中学校区等で総合型地域スポーツクラブの設立を目指している準備会と連携しまして、地域のスポーツ振興を図るための学校施設の活用について、検討を進めているところでございます。今後は、それぞれの地域にふさわしい新たな管理主体の導入などを検討する中で、児童生徒が使用しない夜間や土日を中心に、学校施設をより一層有効活用してまいりたいと考えております。  次に、地域に開かれた、魅力あふれる特色ある学校についての御質問でございますが、初めに、教職員の資質向上についてでございますが、かわさき教育プランの中間報告におきましては、教職員の力を伸ばすことを重点施策の一つとしているところでございます。子どもたちが確かな学力を獲得し、豊かな心をはぐくむとともに、毎日の学校生活を楽しく過ごすことができるよう、教職員のライフステージに応じた研修や人事評価制度の導入など、教職員の研修、支援、評価の仕組みを構築し、指導力の向上を図ってまいりたいと考えております。  次に、評価のあり方についてでございますが、各学校におきましては、子ども、保護者、市民の希望や期待にこたえ、地域課題を踏まえた夢をはぐくむ学校づくりが重要でございます。そのためには、地域に根差し、開かれた学校づくりを目指す学校評価システムを構築することが必要であると思っております。教育委員会といたしましても、今後、各学校におきまして、学校運営のあらゆる場面において、計画―Plan、実践―Do、評価―Check、改善―Actionというマネジメントサイクルを導入しまして、さらに学校の内部評価とともに、学校みずからの情報を公表、公開し、外部からの評価を得ることで、客観性を持った評価を行うことが大切であると考えているところでございます。学校評価システムの構築により、地域や保護者から高い信頼と支持が得られる学校運営が実現できるものと思っております。  次に、シニア世代の経験を生かす仕組みづくりについての御質問でございますが、シニア世代につきましては、今後20年の間に大幅に増加することが予想されており、シニア世代の方々が高齢者として地域で暮らすことにとどまらず、長年にわたり培ってきた経験、知識や能力を地域社会に十分に発揮することが、地域社会の課題解決やシニア自身の生きがいの創出につながるものと考えております。シニアの方々が地域で生き生きと活動できる仕組みとしまして、平成16年度より、シニア能力地域活用システム構想事業を始めたところでございます。現在、公募された37名の市民の方々が、ワークショップ形式により、シニア世代の豊富な知識と経験を地域の中でどのように生かしていくことができるのか、検討を進めているところでございます。シニア世代の能力を生かす地域活動につきましては、少子高齢化や情報化など、市民の今日的ニーズに対応する多様なシステムを構築することが必要であると考えております。例えば、子育て、配食、IT技術支援などのサービスを、ボランティア、NPO、またはコミュニティービジネスなどの活動として、地域社会に提供することなどが想定されるところでございます。地域におけるさまざまな課題を地域の中で解決するために、シニア世代の能力が大いに発揮される仕組みを構築してまいりたいと考えております。  次に、世代間交流の推進についての御質問でございますが、都市化の進展に伴い、地域社会における多様な人間関係、世代間の交流が希薄化し、子どもや高齢者が地域社会の中で孤立するような状況が生じてきていることから、地域型コミュニティーの活性化が求められている一方、テーマ型コミュニティーの必要性が高まっているなど、世代間をつなぐ新たな時代にふさわしいコミュニティーの創造が求められております。こうした中、子どもの健全育成や地域の教育課題をテーマに、市民と行政の協働を目指す組織として、中学校区と行政区に地域教育会議が設けられておりまして、また、地域スポーツをテーマとした総合型地域スポーツクラブの創設など、幾つかの取り組みを始めているところでございます。地域教育会議には、学校関係者はもとより、地域の子ども会、町内会、老人クラブ、スポーツ団体等の活動をしている多様な方々が参加して、相互に交流をしております。また、総合型地域スポーツクラブにおきましても、幼児から高齢者までを対象として、スポーツを通し交流しながら、人づくり、まちづくりに取り組んできているところでございます。今後、行政区などにおいて、地域の方々が自主的、自立的に地域教育会議や総合型地域スポーツクラブ等を運営することにより、世代間のコミュニケーションを図る活動が一層活発に展開されるよう、具体的な検討をしてまいりたいと考えております。以上でございます。 ◎北條秀衛 総合企画局長 総合企画局関係の御質問にお答え申し上げます。  初めに、新総合計画の情勢分析と将来推計についての御質問でございますが、各施策分野における情勢分析につきましては、社会経済環境が急速に変化している現状や今後におきましては、市民生活を取り巻くさまざまな分野において、市内統計、国や各調査機関における各種の統計とその解析結果などにより、現在までの動向を的確に把握するとともに、総合計画策定検討委員会における学識経験者などの専門的な御意見を踏まえて、政策分野の情勢分析を行い、これらをもとに施策展開の方向性の検討を行ってまいりました。また、将来推計につきましては、将来人口の予測がさまざまな施策展開の基本的な指標となることから、民間シンクタンクを活用しながら、予測手法や条件の設定について詳細な検討を行い、人口推計を実施しております。推計手法につきましては、国における将来人口推計や他の自治体においても実績のある予測手法を選定した上で、今後の開発動向なども予測に反映するなど、推計の精度を高めるような配慮を行ってきたところでございます。  次に、行政の説明責任と評価の施策への反映についての御質問でございますが、総合計画の実行性を確保するために、現在、庁内において事務事業評価として取り組んでいる、川崎再生ACTIONシステムを土台として、新たな施策体系に沿った評価システムを構築してまいりたいと考えております。計画・実行・評価・改善という一連の流れの中で課題を発見し、解決を図るチェックの仕組みをまず確立することが重要であると考えております。その中で、専門家を含む評価のあり方につきましても検討してまいりたいと存じます。また、行政の説明責任を果たすための仕組みといたしましては、評価の要点である目標や成果指標等を可能な限り具体的に設定し、評価結果を議会に報告するとともに、市民に公表し、御意見をいただくなど、市民にわかりやすい評価制度の構築を目指してまいります。  次に、多摩川の総合的な取り組みについての御質問でございますが、多摩川は川崎の母なる川として、古くより人々に多くの恵みを与え続けるとともに、市民に親しまれてきた貴重な環境資源でございます。高度成長期には、都市化の進展に伴い水質の悪化が深刻であった時期もございましたが、下水道の整備などにより、近年、多くのアユが遡上するまでに水質が改善してきております。  現在、多摩川は、市民の憩いの場、活動の場、学習の場として多方面から活用されており、市街地に近接した貴重な自然空間として、また広域避難場所として、市民にとって身近で大きな存在となっていると認識しております。河川法につきましても、当初目的の「治水」から「利水」が加えられ、さらに「環境」が加わり、環境保全や地域の意見を反映した河川整備計画策定の導入などの改正が行われてきております。また、本年4月には、地域再生計画で国の支援措置の一つに河川占用許可の弾力化が示され、新たな施策の展開も期待されるところでございます。さらに、せせらぎ館の完成や多摩川エコミュージアムプランの推進などによりまして、水辺の楽校など、市民を中心とした活動も一層活発に行われております。  こうした状況を踏まえ、多摩川の豊かな自然環境の保全、活発化する市民活動への対応や運動施設・駐車場などの市民が利用しやすい環境の整備、市街地からのアクセス性の向上、さらには河川管理者である国や流域自治体との連携など、総合的な取り組みを進めていく必要があると考えており、総合計画の中にしっかりと位置づけ、多くの市民が多摩川に親しめる環境づくりを目指したいと考えております。  次に、区民会議についての御質問でございますが、地域住民の総意に基づく自治を実践する区役所を目指す上で、区民の日常生活における課題などについて、地域に身近な区役所が区民の意向を踏まえて、課題の把握・解決に向けて主体的に取り組むためには、地域を代表する方々が、地域課題の解決に向けてみずから検討する機関が必要であると考えております。この区民会議につきましては、本年5月に取りまとめられました区行政改革検討委員会の報告書におきまして、区民みずからが地域課題の解決に向けて、区政に関する方針、区に関する諸計画、区の予算に関することなど、区における重要事項について審議する場として提言されているところでございます。その設置に向けましては、今後、既存組織である区政推進会議やまちづくり推進組織との関係の整理とともに、職務・権限や構成員等の制度設計について具体的に検討を進め、来年度、試行をスタートさせてまいりたいと考えております。  次に、各区の地域整備の基本方向についての御質問でございますが、区を中心に身近なまちづくりを進め、地域の課題解決を図ることは大変重要であると考えておりますので、新総合計画におきましては、実行計画の策定段階において、都市計画マスタープランの区別構想の策定に向けた区民提案や、まちづくり推進組織などからいただいた御意見、今後、各区で順次開催を予定しておりますタウンミーティングにおける御意見などを受けとめ、各区における課題に対応する具体的な事業について、優先順位を勘案しながら、関係局区と調整を図り、計画を策定したいと考えております。  次に、広域連携のあり方についての御質問でございますが、市民の行動圏は、市域を越えて展開するとともに、環境、防災、防犯など、一自治体の取り組みでは十分対応できない課題が数多くございます。今後、広域的に調和のとれたまちづくりに向けて、自動車排ガス規制等の環境問題への関係自治体の連携した取り組みや、交通基盤整備に当たっての広域的視点に基づく事業展開、さらには地震発災時における帰宅困難者対策など、近隣自治体との役割や機能の適切な分担、補完を図りながら、より一層の連携を深め、協調した取り組みを進めてまいります。以上でございます。 ◎植松了 経済局長 経済局関係の御質問にお答え申し上げます。  都市農地の多面的な機能の活用についての御質問でございますが、都市農地は、農産物を市民に供給する経済的機能にとどまらず、洪水の防止、水源の涵養、景観の創出、防災空間の提供、生物の多様性の保全など、市民生活に不可欠な環境資源として認識しているところでございます。特に、市街化調整区域、とりわけ麻生区内の農業振興地域は、本市の農業と緑の拠点として大変重要であると考えております。本市といたしましては、何よりも農業従事者の方々の意見や意向を伺いながら、農家の方々が安定的な収入の確保ができるよう、市民ニーズにこたえ、付加価値のある都市型農業経営への転換を支援してまいりたいと考えております。  具体的には、地元農家を含む多くの市民の方々の理解、協力を得るとともに、緑政部門など庁内関係局との連携強化を図り、農ある風景の保全、農業公園づくりなど農地の保全と活用を連動させながら、直売所の拡充、レクリエーション農園の拡大、農イベントの定期的開催、援農市民の育成と活用など、農業振興地域の活性化施策を進めてまいりたいと考えております。また、次世代が意欲と自信を持って農業経営が引き継げるよう、新世代ファーマー育成事業など、農業後継者育成のための支援策を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。 ◎石井二郎 環境局長 環境局関係の御質問にお答えを申し上げます。  初めに、循環型社会の考え方についての御質問でございますが、循環型社会を実現していく上では、市・市民・事業者という各主体の環境への配慮を基本とする責任ある行動が不可欠でございます。この基本構想素案でも、こうした視点に立ち、行政施策の主体としての市の役割、生活行動の主体としての市民の役割、さらには事業活動の主体としての事業者の役割を、それぞれ果たしていくことが重要なことと位置づけているところでございます。その具体的な取り組みについてでございますが、まず行政の視点からは、ごみをつくらない社会の構築とリサイクルの推進に向け、廃棄物の発生・排出抑制、資源物の分別収集の推進、普及啓発事業など具体的な施策とともに、市民、事業者と協働し、持続可能な循環型社会の実現に向けた環境行政の総合的なコーディネーターとしての役割が求められております。また、市民生活の視点からは、循環型社会を常に意識した生活習慣や価値観を築くことが求められており、省エネ型生活行動を初めとするライフスタイルの見直しを行うこと、さらに事業者の視点からは、その活動に伴うエネルギー消費の抑制やリサイクル技術の向上に努めるなど、環境負荷の低減に向けた取り組みを進めることが必要とされております。いずれにいたしましても、こうした取り組みの積み重ねが、循環型社会の実現に向け、要請されているものと考えております。  次に、緑の創出と育成についての御質問でございますが、都市の緑は、環境の向上、自然生態系の保全、良好な景観形成など、さまざまな機能を有しております。特に本市のように市域の88%が市街化区域という状況にありましては、身近な緑の創出と育成は、豊かで潤いのある環境づくりのために大変重要であると考えております。こうした観点から、特に市街地におきましては、街路樹の植栽や公園緑地の整備など行政による施策のほか、市民・事業者・行政が一体となって、工場の緑化や街角の花壇づくり、さらには屋上緑化や壁面緑化などを推進し、緑豊かなまちづくりに努めてきたところでございます。そうした中で、このたび、都市緑地保全法等の一部を改正する法律によりまして、都市緑地保全法が都市緑地法に改められ、国を挙げて緑の保全と創出を図っていくための体制が整備されたところでございます。同法の改正に伴い、新たに緑化率の最低限度などを定めることができるようになりましたことから、南部地域におきましても、再開発計画等の機会をとらえ、緑化率の引き上げも可能となるものと考えております。あわせて、事業所の緑化地等、民有緑地の保全施策や街角の花壇づくり、庭やベランダの緑化等、身近な緑の創出につきましても、さらなる充実を図ることにより、都市緑化の一層の推進に努めてまいります。以上でございます。 ◎井野久明 健康福祉局長 健康福祉局関係の御質問にお答え申し上げます。  初めに、新たな時代にふさわしい福祉等についての御質問でございますが、新たな時代にふさわしい福祉の理念についてでございますが、社会福祉法の改正により、措置制度から利用者がみずから福祉サービスを選択できるようになったことに伴い、社会福祉の理念として、1つには、個人が尊厳を持ってその人らしい自立した生活が送れるように支えること。2つには、地域住民や社会福祉活動を行う者は互いに協力し、あらゆる分野での活動に参加できるように努めること。3つには、地域の課題については地域みずからが解決する、ということが挙げられます。こうした理念を踏まえ、新たな地域福祉社会のあり方といたしましては、地域が主体となってみずからの課題解決や身近なまちづくりを進めることが重要であり、これまでの行政主導による直接的な福祉サービスの提供から、市民、ボランティア、NPO、企業等及び行政がそれぞれの役割を果たす中で、新たな協働、協調としてのパートナーシップを構築することが求められております。  次に、自助・共助・公助の基本的な考え方についてでございますが、市民の個人としての尊厳を最大限に尊重し、市民自身や地域コミュニティーなどの小さな単位でできることは、その単位での自助・共助にゆだね、自治体や国などが介入すべきではなく、小さな単位では解決できないものや非効率的なものを公助として自治体や国などの大きな単位で行うべきであるという役割分担を示しております。したがいまして、行政の役割と責任による、公助としてのセーフティーネットとともに、市民みずからの自立や地域の連帯による自助・共助を基本に築かれる、新たな市民主体の地域福祉を進めてまいりたいと考えております。  次に、福祉社会の構築等についての御質問でございますが、初めに、福祉社会の構築についてでございますが、多様化、複雑化、高度化する福祉ニーズにきめ細かく対応するためには、これまでの行政主導による直接的なサービス提供から、市民みずからが参加する市民活動、ボランティア活動、NPO活動や企業等が、それぞれの役割分担に基づいて福祉活動に積極的に参画する仕組みが必要となっております。また、利用者が必要な福祉サービスを的確に、総合的に利用できるよう、それぞれ福祉サービス供給主体のネットワーク化を図っていくことも重要と考えております。さらに、市民が積極的に地域福祉の担い手となれるよう、地域福祉の情報を収集し、その情報を提供する拠点づくりを支援してまいりたいと考えております。  次に、自助の領域とシビルミニマムについてでございますが、シビルミニマムは、自治体が市民に対して保障する最低限度の福祉や生活環境基準として使用されてきたものと存じます。自助・共助・公助が担うべき範囲と領域につきましては、それぞれの適切なあり方を、実行計画を進めていく中で、新たなパートナーシップも含め、見定めていきたいと考えております。  次に、介護予防施策等についての御質問でございますが、初めに、介護予防の施策についてでございますが、高齢者の閉じこもり防止のための、わたしの町のすこやか活動支援事業や、高齢者の筋力を回復する、高齢者パワーリハビリテーション推進事業を中心として、低栄養予防事業やフットケアなど、さまざまな事業を複合的に提供し、効果的な介護予防プログラムの普及推進に努めてまいりたいと存じます。  次に、地域福祉の担い手の育成・供給についてでございますが、きめ細やかな介護サービスを提供するためには、地域人材の活用や民間活力との協働により、地域の中で支え合いの仕組みをつくり上げるとともに、介護支援専門員、訪問介護員、訪問看護師等の育成及び研修を促進し、サービスの量的、質的な向上を図っていくことが重要であると考えております。とりわけ、痴呆性高齢者が増加する傾向から、痴呆介護実務者研修や、地域のひとり暮らしや虚弱な高齢者を支援するボランティアの養成についても、引き続き充実を図ってまいります。  次に、痴呆性高齢者グループホームの整備についてでございますが、施設サービスの基盤整備につきましては、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの整備に加え、ケアハウスや痴呆性高齢者グループホームなどの居住系サービスの推進、さらには高齢者が住みなれた地域の中で、通い、訪問、泊まり、入居等の多機能なサービスを、状態の変化に応じて利用することができる、いわゆる小規模多機能サービス等の充実を図るとともに、利用者の幅広い選択が可能となるよう、介護サービス全体の中で施策の充実を図ってまいりたいと存じます。痴呆性高齢者グループホームにつきましては、増加傾向にある痴呆性高齢者への対応といたしまして、また地域とのつながりを重視するという観点から、大変重要と考えておりますので、その拡充に努めてまいりたいと存じます。具体的な目標につきましては、新総合計画の基本構想に基づく3カ年の実行計画、さらには平成17年度に策定する、第3期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画で位置づけてまいりたいと存じます。  次に、介護現場の意見集約とその反映につきましては、これまでも特別養護老人ホームや介護老人保健施設の施設長会のほか、介護支援専門員連絡会、在宅介護支援センター連絡会での意見などを把握し、サービスの充実及び改善に取り組んでまいりました。また、昨年から実施いたしました介護相談員派遣事業においては、介護相談員が介護保険施設を訪問し、利用者と施設、双方の意見を聴取し集約して、サービスの質の向上を図っております。今後とも、各関係団体や介護従事者などの現場の声をいただく機会を可能な限り広く設け、具体的な施策に反映してまいりたいと考えております。  次に、少子化対策についての御質問でございますが、初めに、安心して子どもを育てる環境づくりについてでございますが、本市におきましては、平成10年にかわさき子ども総合プランを策定し、すべての子どもと家庭を対象とした総合的な子育て支援策の推進を図っているところでございます。また、国におきましては、次代の社会を担う子どもが健やかに育成される環境を形成するため、昨年7月に次世代育成支援対策推進法を制定し、各地方公共団体に行動計画の策定を義務づけております。本市におきましても、現在、かわさき子ども総合プランの実施状況や子育て環境の変化などを踏まえ、行動計画の策定に取り組んでいるところでございます。  次に、最も重要と考える基本施策についてでございますが、子育ての基本は家庭にあるという認識のもとに、安心して子どもを産み、育て、子育てに喜びが実感できるよう、社会全体で支援することが重要と考えております。  次に、施策の展開についてでございますが、「安心して子育てできる環境づくり」、「子どもが健やかに育つ環境づくり」、「子どもの育成を支援する体制づくり」を基本に、子育て環境の整備を目指して、新総合計画の実行計画及び次世代育成支援対策行動計画の中に位置づけてまいりたいと存じます。以上でございます。 ◎脇領成明 建設局長 建設局関係の御質問にお答え申し上げます。  川崎縦貫道路についての御質問でございますが、本市を活力あるまちとするためには、御指摘のとおり、地域の発展の基盤となる社会資本整備として、市内幹線道路網を着実に整備することが極めて重要なことと認識しているところでございます。川崎縦貫道路は、本市の都市構造を支え、あわせて首都圏における広域ネットワークを形成するための重要な幹線道路でございます。  Ⅰ期区間につきましては、浮島から殿町までの約3.5キロメートルの区間を平成14年4月に供用開始をし、現在、殿町から大師ジャンクションまでの整備に取り組んでいるところでございますが、今後とも事業の着実な推進を図ってまいります。  また、Ⅱ期計画につきましては、平成4年に計画案を公表して以来、本計画を取り巻く環境が大きく変容してきたことなどから、現在、公表したルート、構造等について、川崎縦貫道路計画調整協議会の場において、見直しの議論をしているところでございます。したがいまして、こうした議論を踏まえ、将来の都市構造の方向性を見定めながら、引き続き重要な政策として新総合計画に位置づけ、推進してまいりたいと考えております。以上でございます。 ◆浅野文直 議員 すべて答弁いただきました。あえて1点に絞りまして、市長に再度伺いたいと思います。  財政計画についての答弁では、基本構想案の公表とあわせ、財政収支見通しを明らかにするとのことです。また、川崎縦貫高速鉄道線事業についての答弁では、長期的な財政見通し等を総合的に勘案し、実行計画での位置づけを判断するとのことです。  川崎縦貫高速鉄道線事業は、一事業というには余りにも財政の影響が大きいがゆえに、凍結となっているわけでもあります。しかるに、当事業の判断なくして財政収支計画もあり得ないはずであります。また、答弁でも触れられています当事業の事業再評価においても、新総合計画での位置づけが重要な評価視点とされており、我々自民党にも、国からの厳しい判断基準が連日伝わってきています。川崎市の都市像をイメージさせる象徴的事業であり、判断なくして新総合計画の骨組みはなし得ないとさえ言えます。こうしたことからも、11月の基本構想案提示に合わせた政策判断がしかるべきと考えますが、市長に伺います。 ◎阿部孝夫 市長 川崎縦貫高速鉄道線事業についてのお尋ねでございますが、川崎縦貫高速鉄道線は基幹的な交通軸であり、新総合計画での位置づけも重要であると認識いたしております。しかしながら、整備のためには多額の投資が必要となりますので、現在、さらなる建設費や運営面でのコスト縮減を検討しているところであり、これらの結果や本市財政に与える影響を考慮する必要がございます。また、三位一体の改革の動向もいまだ不透明であり、本市の財政運営も厳しい状況にございます。したがって、これらの動向を見定める必要がありまして、的確な判断をするためには、いましばらくの時間を要するものと考えているところでございます。以上でございます。 ◆浅野文直 議員 意見要望をさせていただきたいと思います。  川崎縦貫高速鉄道線事業を新総合計画に位置づけるに当たっての難しさ、不確定要素、こういった点は十分理解できます。ただ、今後、短期間で国からの税源移譲があるにしろ、おくれるにしろ、大幅な税収増が見込めない中で、限られた財源を原資として行う本市の行政サービス、都市基盤整備には、川崎縦貫高速鉄道線事業の判断なくして語れないのではないでしょうか。川崎市のこれからの計画を示す以上、スタート段階から不透明、不明確な無責任なものにしてはならないわけであります。また我々は、責任政党として、国とのかかわりの中で、この川崎市の地下鉄事業に対する国の認識が、時間の経過とともに大変厳しいものになってきていることに強い危機感を抱いています。市長を初め市側にも、時のアセス以前に、この新総合計画での位置づけが注視されていること、場合によっては国の方針転換を促しかねないことなどは伝わっているはずであります。市長が率先して取り組んでこられた川崎市行財政改革プランも、スタートから間もなく2年が経過します。変わらぬ厳しい状況ながらも、成果の認められるものもあり、市長なりに何らかの感触はつかんでいることと思います。答弁にある、いましばらくの時間、これがあとわずかしかないことを指摘し、さらに計画案として議会に諮るまでには、当事業の的確な判断とその影響を考慮した上での諸施策の提示を強く要望しておきます。  また、施策展開における優先順位についてですが、答弁では、これまでの区民提案やさまざまな組織からの意見などと今後のタウンミーティングでの意見などをもとに、重点戦略プランや実行計画という形で示していくとのことです。ということは、行財政改革プランで位置づけられた各事業の優先順位の見直しも一緒に図られるわけであります。行財政改革プランの優先順位の決定に際しては、「唐突過ぎる」、「市民意見が反映されていない」などの声もありました。その後も各事業への陳情などは後を絶ちませんでした。今後10年間のまちづくり、当面3年間の実行計画へ向けて、計画策定を目前に控え、今までのタウンミーティング等とは違って、市民意見の最も大きくなる時期と思われます。今後、順次開催予定のタウンミーティングで多くの市民意見を受けられるように、開催の周知徹底等、今まで以上に幅広く力を入れられるよう強く要望いたします。  また、バブル崩壊後、行政の施策、サービス提供のあり方等、行政スタイルの変革が叫ばれて久しく、景気動向もようやく明るい兆しが見えてきたばかりです。そうした中、先行して実行してきた行財政改革プランに続き、総合計画が示されることによって、ある意味では、ここからが阿部市政の始まりとも言えます。厳しい時代だからこそ、新たな総合計画に寄せる市民の期待も大きく、立案への責務も大きくなります。我々自民党は、一昨年の骨太の方針の提言を初め、その都度市長に提言をし、警鐘も鳴らしてまいりました。このたびの計画策定についても、新総合計画完成のぎりぎりまで、市民の視点に立って、さらに、将来の子や孫に有益な計画とすべく精査するとともに、提言などを重ねてまいりますことを申し添えまして、質問を終わります。 ○坂本茂 議長 お諮りいたします。暫時休憩いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○坂本茂 議長 御異議ないものと認めます。およそ1時間休憩いたします。                 午後0時8分休憩                 午後1時11分再開 ○佐藤忠 副議長 ただいまから全員説明会を再開いたします。  休憩前に引き続き、各会派代表による質疑を行います。  発言を願います。 ◆菅原敬子 議員 民主・市民連合を代表し、市新総合計画の基本構想素案について、幾つか質問をさせていただきます。  まちづくりの基本について伺います。7月1日、ミューザ川崎のこけら落としと合わせて、市制80周年記念式典が盛大に開催されたところであります。川崎市は、それぞれの時代に合った、2001プランあるいは2010プランに基づき、市政が展開され、今日があると認識をしているところであります。さらには、その時代時代のプランは、行政、市民、そして議会でも討議がなされ、決定されたものであり、市政の根幹をなし、市政は継続・持続されてきたと思いますが、その認識について、市長に伺います。  また、まちづくりの基本目標には、「誰もがいきいきと心豊かに暮らせる持続可能な市民都市かわさき」と示されています。ここで言う「持続可能」とは何を意味するのか。また「持続型社会」あるいは「持続的」、あるいは「持続可能性」など、多くの表現がそこここにありますが、それぞれの持つ意味は同じなのか伺います。持続社会とは、地球規模で次世代に対して環境を残していく、そのためには産業のあり方を変えていくなど、グローバルな概念に対して使われていると考えますが、「持続可能」とは、何と何との比較なのかも伺います。また、「持続型社会」あるいは「持続可能」な社会の形成を求める市民の声や意見があったのか、この考え方の提示はどこから出されたのかについても伺います。  また、「市民・地域・企業・行政のパートナーシップに基づく協働の取り組みを進める」とのことでありますが、これは何を指すものなのかについても伺います。  先ほども述べましたとおり、まちづくりの基本目標は、「誰もがいきいきと心豊かに暮らせる」と「持続可能な市民都市」の2つのフレーズが混在しており、果たしてこの基本目標が何を目指そうとしているのか、見えなくなってしまっているのではないでしょうか。すなわち「誰もがいきいきと心豊かに暮らせるかわさき」は到達目標であり、「持続可能な市民都市」は方法論ではないでしょうか。基本目標の本文の中で、「自助・共助・公助のバランスのとれた地域社会の中で、川崎市民の誰もが生きがいと幸せを感じられるような取組を推進する」と述べています。果たして、自助・共助の比率を従来より引き上げていくことが、だれもが生きがいを感じられるでしょうか。  今回の基本計画は、その方法論を具体的に示すべきと考えます。まず、自助・共助・公助のバランスのとれた地域社会とはいかなる社会なのか。次に、公助とは行政責任をどこまで設定しているのか。次に、自助と共助の境界はどの辺なのかについても伺います。  次に、基本指標の「人口」について幾つか伺います。人口の推移をどのようにとらえるかは、そのことが施策に直結する要件だけに極めて重要であると考えます。基本構想素案では、11年後の2015年の138万9,000人をピークに、2030年には134万3,000人と、長期的な人口減少傾向に転落すると予測しています。しかし、同時にその数値は、今回出されている新総合計画の計画期間10年間においては、継続して人口増加が続くこと、26年後の2030年においても、2004年の現時点よりはるかに高い人口レベルにあることなどを示しています。長期的な人口減少傾向への転換を予想して、あらかじめ市民へのサービス提供を抑える施策展開を考えるのか、あるいは、計画期間中は人口増が続くことから、その現実にこたえ得る施策展開を図るのか。基本構想・実行計画策定に当たっての人口推計のとらえ方と、 それに基づいて、いかなる施策を構築するのかについて、基本的考え方を伺います。次に、人口の推移は地域的にも差異が生じますが、これらの行政区ごとの地域差に基づく政策的な対応は考えなかったのか伺います。  次に、新総合計画での「市民」のとらえ方について、改めて「市民」をどのようにとらえているのか伺います。具体的には、新総合計画の中で、市民を「顧客」という言葉で表現しています。新総合計画を進める上で、市民という概念のとらえ方を全職員に周知徹底する必要があると思いますが、どのように周知し、また、市民へのPRはどのように考えているのか伺います。  次に、既存計画との関係について伺います。今現在、実行されている計画や策定されているプランがありますが、新総合計画の策定に当たって、基本政策の要件である基本指標、特に主要課題の認識や都市構造の考え方は、既存計画策定時には考えていないものが挙げられています。現行の進んでいるこのような計画に対する整合性をとらなければなりませんが、見直しをかける既存の計画と見直す理由について、明確に示してください。  また、つい先日の7月22日になって初めて基本政策のさまざまな考え方が示されたわけであります。この素案公表以前に幾つかのプランが、策定のために市民意見を聞いていると思いますが、市民説明の内容に整合性が担保されていたのか。また、整合性がとれていないとすれば、説明会などを再度行う必要があると考えますが、その考え方を伺います。  次に、政策を執行し、課題を解決するための施策の推進について、具体的に評価制度の内容とその体制について明らかにしてください。  次に、産業に関連する政策について伺います。基本政策の要件の中で、第1次産業の課題が認識されていません。生産高は低いとはいえ、川崎の農業も立派な産業と考えます。この要件の中で課題認識をきちんとする必要があると思いますが、伺います。さらに、都市農業の振興に欠かすことのできないファーマー育成と同時に、今まで農業にかかわりのなかった市民やシニアパワーの有効活用など、どのように進めていくのか伺います。  次に、第2次産業、とりわけ製造業の復活に向けての施策についてであります。物すごいスピードで技術革新が行われている中で、既存の産業はもちろんのこと、新たな産業をつくり育てることこそが本市の課題であると考えます。このような産業構造が大きく変化することが予想される中で、行政としての行うべき施策をどのようにとらえているのか伺います。  次に、アジア起業家村構想を初め各企業のグローバル化が進んでいく中で、産業を振興して活力あるまちとしていくために、外国人労働者が市内に通勤する、住むケースがふえると考えますが、行政の対応をどのように進めていくのか伺います。  次に、政策の基本方向の中に、「就業を支援し勤労者福祉を推進する」とありますが、生産年齢人口、とりわけ18歳から30歳代前半の若年勤労者の川崎定住施策などを含め、諸施策が重要と考えますが、増加傾向にあると言われている若年労働者やフリーターへの対応をどのようにしていくと考えているのか伺います。あわせて、総合計画における位置づけについても伺います。  次に、基本構想と実行計画の位置づけについて伺います。今回の計画では、3層構造から2層構造となったこと、そして具体性を持たせるため、目標年次が30年から10年へと短縮された点が大きく変わった点でありますが、そうであるならば、「具体性を持った10年程度の計画」として位置づけられている基本構想において、10年後の本市の姿を具体的に示す必要があります。今回の計画では、計画・実行・評価・改善のサイクルによる施策・事務事業の評価が重視されていますが、そのためにも、目標像を具体的に示すことがなければ、評価自体が不可能であります。いわゆる三位一体改革の内容がいまだ具体的に示されていない中、10年後の姿を具体的に描くことの困難性も理解するところではありますが、重要なのは、本市としてどのような自治体にしていこうとするのかであり、そのために、どのように地方分権の推進を働きかけていくのか、という問題設定が本来のあり方であります。具体像は実行計画で示されるとのことですが、実行計画の積み重ねとして基本構想があるのではなく、基本構想を実現するための年次計画として実行計画を定めるのでありますから、基本構想において、10年後の姿をできるだけ具体的に、施策・事務事業の評価ができる形で規定することが必要だと考えますが、市長のお考えを伺います。  また、事業の実施を踏まえ、実行計画や基本構想の見直し時期をどのように想定しているのか、あわせてお考えを伺います。  次に、新総合計画の基本構想に区別計画を策定しない理由について伺います。市長は、区を中心に身近なまちづくりを進め、地域の課題解決を図ることが重要と、再三発言されております。区別の年齢構成や地形が大きく異なる本市の特徴からも、インフラ等基盤整備に限らず、行政サービスというソフト面での区ごとの市民要望、ニーズが異なっているのは明白であります。総合計画の策定に合わせて、自治基本条例の策定や区行政改革の取り組みを進めている現状からも、本当に不可解であります。  さらに、川崎市都市計画マスタープランと新総合計画の観点からも不可思議であります。平成10年に素案が公表され、以降、各区ごとに区別構想が策定中であります。この区別提案は、地域の生活者の視点で区民から見た問題点を抽出して、都市計画との整合性を図ってきました。都市計画マスタープランの区別構想の関連から見ても、市民に身近な区別計画はどうしても必要と考えますが、伺います。
     次に、市民意見集約とその反映について伺います。これからの総合計画策定のスケジュールでは、市民の方々とのタウンミーティングを9月、10月に予定をしておりますが、ここでの市民意見の集約をどのように考えているのか。また、どのようにその意見を基本構想に反映していくのか、具体的に伺います。さらに、タウンミーティングの際、各施策の数値目標をわかりやすく示す資料を市民に提示することにより、基本構想に対する理解が深まり、具体的イメージを描きやすくなると思います。そこで、目標数値を示した資料を市民に提示すべきと考えますが、見解を伺います。  以上について、市長を初め関係局長の御答弁をお願いをいたします。 ◎阿部孝夫 市長 それでは私から、ただいまの民主・市民連合を代表されました菅原議員の御質問にお答えいたします。  まず、2010プランなどについてのお尋ねでございますが、これまでの総合計画につきましては、それぞれの時代背景や当時の市民ニーズ、価値観に基づきながら、将来を展望して策定されたものと認識いたしております。2010プランにつきましても、市民の意識やニーズが多様化している中で、総合的な観点から施策を体系化するとともに、新たな世紀における川崎市の都市像とその道筋を示したものであり、それ以降の総合的、計画的な視点からの市政執行の指針として、一定の成果を上げてきたものと考えているところでございます。  しかしながら、計画策定の時期を境に、いわゆるバブル経済が崩壊し、それ以降、景気低迷が長期化する中、計画事業の実行性を確保することが困難になり、また、時代状況や社会環境が大きく変化することによって、計画事業を含めたすべての施策のあり方について、根本的な見直しを行う必要が出てきたわけでございます。こうしたことから、これまでの市政執行の方針から転換し、厳しい財政状況の中にあっても、市民生活の維持向上を図ることを目的に、行財政改革プランを策定し、2010プランに掲げた計画事業につきましても、継続すべきは継続し、見直すべきものは見直すなどの抜本的な対応を図り、川崎再生に向けた取り組みを鋭意進めているところでございます。  2010プランは、本格的な高齢社会に向けた福祉社会づくりや、国際化の時代にふさわしい世界に開かれた地域社会づくりなど、その時点における課題に対応した計画でありましたが、基本となる時代認識は、いわゆる右肩上がりの経済成長と人口増加を前提とするものであったわけであります。2010プラン策定以降のさまざまな社会経済環境の変化は、当時ではだれもが想定し得ない極めて大きなものであったと認識しておりますけれども、現実として根本的な前提条件が大きく転換する中、時代状況の変化への対応が喫緊の課題であることから、2010プランを含め、これまでの行財政運営から根本的に転換して、「誰もがいきいきと心豊かに暮らせる持続可能な市民都市」に向けて、川崎の再生を進めていくための基本方針として、新たな総合計画を策定してまいりたいと考えております。  次に、持続可能等の考え方に関するお尋ねでございますが、持続可能―サステーナブル、あるいは持続可能性―サステーナビリティーという言葉は、経済的・社会的発展と環境保護との調和、現在と将来の世代間の利害調整を適切に行うことを目指した概念でありまして、主に地球環境に配慮した諸活動をあらわす言葉から、現在ではより広く、社会のさまざまな仕組みや制度、あるいは存在そのものについて、諸環境の変化に対応して適切に見直していくことによって、その根本的な目的や意義を維持、持続していくという考え方として用いられているところであります。  基本構想素案の中でも、こうした意味合いから「持続」という言葉を用いているものでございまして、具体的には、地球環境を視野に入れた持続可能な環境の確保、経済・産業活動の持続的発展、安定的な市民サービスの維持、さらにはこれらを支える持続可能な財政基盤の確保など、市民の安心で快適な生活を支えるさまざまな施策などについて、それぞれの持続可能性を追求することによって、市民都市かわさきとしての存在を確かなものにしていくことが必要であり、そして、こうしてでき上がる社会が持続型社会であると、そのように考えているところでございます。  タウンミーティングや市民説明会、市民会議における市民の声といたしましては、身近な安全・安心、福祉の充実、緑の保全を初めとする環境対策や、経済成長が見込めない中にあっても雇用を含む産業の発展など、さまざまな御意見や御要望が出されております。こうした市民の声にこたえるためにも、右肩上がりの経済成長を背景としたものではなくて、成熟社会を背景とした考え方や価値観のもとに、安定的、持続的なものとして施策を推進していく必要があると考えております。  こうした点も踏まえまして、人々が地球市民としての責任ある諸活動のもと、身近な安全・安心の提供や安定的な市民福祉の確保、環境と産業活動の両立など、川崎が都市としての自立と持続可能性を確かなものにするということから、まちづくりの基本目標といたしまして、「誰もがいきいきと心豊かに暮らせる持続可能な市民都市かわさき」を掲げたものでございます。  次に、自助・共助・公助についてのお尋ねでございますけれども、自助・共助・公助の基本的な考え方は、市民の個人としての尊厳を最大限に尊重し、市民自身や地域コミュニティーなどの小さな単位でできることは、その単位での自助・共助にゆだね、自治体や国などが介入すべきではなく、小さな単位では解決できないものや、非効率的なものを公助として、自治体や国などの大きな単位で行うべきであるという役割分担を示すものでございます。今後の成熟社会において必要な施策を将来にわたって持続させていくためには、限られた財源や資源を最大限有効活用することはもとより、支える側と支えられる側という一面的なとらえ方ではなくて、相互に支え合うという力を十分に引き出して、生かしていく取り組みが大変重要になってくると考えております。  こうしたことから、これまで専ら行政が担ってきた部分についても、改めてその役割や意義を見直すとともに、市民が自己決定・自己責任のもとで、いつまでも自立した生活を送ることを基本として、共助に相当する地域での支え合いや、協働の取り組みが不可欠であると考えております。そのためには、町内会・自治会など従来からある組織に加え、市民活動団体やNPO、ボランティアなどの新たな担い手として期待されている地域人材の活用や協働を推進するとともに、公助に当たる行政の責務としてのセーフティーネットはしっかりと維持してまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、施策内容によりまして、自助・共助・公助それぞれの分担は異なるものと考えられ、一律の線引きはできませんけれども、こうした考え方のもとで、福祉を初め教育や防災、環境など、地域社会におけるさまざまな課題を、さまざまな主体の力でバランスよく解決できる仕組みを構築することにより、子どもから高齢者まで、一人一人の市民が、みずからの住む川崎に誇りと愛着を持って暮らせるような地域社会の実現を目指してまいりたいと考えているところでございます。  次に、新総合計画における「市民」のとらえ方についてのお尋ねでございますが、基本構想素案におきましては、まちづくりの基本目標として、「誰もがいきいきと心豊かに暮らせる持続可能な市民都市かわさき」の実現を掲げ、市民本位の自治のまちづくりを進めることを基本方針としながら、川崎市民のだれもが生きがいと幸せを感じられるような取り組みを推進していくことといたしております。こうした中で、「市民」につきましては、川崎に暮らし、働き、学び、活動している方々を対象に、幅広くとらえているところでございます。  一方、行政との関係から「市民」について考えてみますと、分権の時代にふさわしいパートナーシップの担い手としての市民、地域での自立的な活動の主役としての市民、行政サービスの受け手としての市民など、それぞれの場面において多様な側面を有しております。基本構想素案では、行政サービスの受け手としての市民という側面をとらえた場合に「顧客」という表現を用いておりまして、行政サービスの「顧客」としての市民の満足度や実感を重視した政策の実現を図ってまいりたいと考えております。このような「市民」のとらえ方につきましては、今後とも、新総合計画の策定を通じて職員の意識の共有化を図ってまいりますとともに、タウンミーティング等のさまざまな機会を通じて、広く市民の皆様の御理解をいただくよう努めてまいりたいと存じます。  次に、基本構想と実行計画の位置づけについてのお尋ねでございますが、今回の基本構想素案におきましては、川崎に暮らす人々が活力と潤いのある生活を送ることができるまちへと発展させていくために、川崎が都市としての自立と持続可能性を確かなものとしつつ、川崎市民のだれもが生きがいと幸せを感じられるまちを目指すという意味を込めまして、「誰もがいきいきと心豊かに暮らせる持続可能な市民都市かわさき」の実現を基本目標に掲げたものでございます。  また、そのための7つの基本政策と30の政策の基本方向、さらには政策の基本方向に基づく90の基本施策をあわせてお示ししたところでございます。基本目標を実現していくための具体的な取り組みにつきましては、原則として、すべての施策・事務事業を対象といたします3カ年の実行計画を策定してまいりますが、その策定に当たりましては、10年後の姿が見えるように、達成・実現を目指す成果目標を可能な限り具体的に設定するとともに、計画・実行・評価・改善の仕組みをつくり上げ、施策・事務事業の評価と連携した効果的な施策執行と課題解決を図ってまいりたいと考えております。  また、見直し時期についてでございますが、実行計画につきましては、事業の進捗状況を踏まえた的確な評価などを通じてローリングを行ってまいりたいと考えております。なお、基本構想の見直しにつきましては、大きな社会環境の変化などを十分に見きわめた上で、必要性などを検討してまいりたいと存じます。以上でございます。 ◎北條秀衛 総合企画局長 総合企画局関係の御質問にお答え申し上げます。  初めに、「市民・地域・企業・行政のパートナーシップに基づく協働」についての御質問でございますが、少子高齢化の急速な進行など社会経済環境が変化するとともに、本格的な分権社会を迎える中、市民本位のまちづくりを進めていくためには、市民や地域、あるいは地域に根差し活動している企業の知恵や力を生かす仕組みが不可欠になってまいります。こうしたことから、市民や地域が身近な地域の課題解決やまちづくりを進めていくことや、企業が環境の保全と経済の発展が両立できるような持続型社会の実現に貢献するなど、市民が生き生きと健やかに暮らせるまちづくりに向けて、市民・地域・企業・行政が相互理解と信頼のもとに、それぞれが持つ力を持ち寄り、協力していくことが必要であると考えております。  次に、人口推計のとらえ方などについての御質問でございますが、戦後一貫して増加してきた我が国の人口は、2006年をピークに長期的な減少期に転ずるとともに、本市の人口も2015年ごろを境に減少過程に推移するものと想定しており、基本構想の期間であるこの10年間は人口増加を続け、その後、減少過程へ移行するということで、「踊り場の10年」であると言えます。したがって、この10年間における課題に適切に対応しつつ、人口の減少など、それ以降に迎える極めて大きな変化にも的確に備えていくことが大切であると考えており、今までの成長を前提とした仕組みを、少子高齢化や安定成長経済などへ的確に対応する仕組みへと根本的に見直しを行い、持続可能な社会の実現に向けて、施策の再構築を推進してまいりたいと考えております。  次に、区ごとの政策的な対応についての御質問でございますが、本格的な地方分権時代を迎える中で、個性豊かな地域社会の実現に向けて、参加と協働による地域主体のまちづくりを進めていくことが重要であると考えております。このため、地域の課題を発見し、解決できる区役所づくりを推進することを政策の基本方向としております。  また、この基本方向を踏まえた施策の展開例といたしまして、例えば、区民みずからが地域課題の解決に向けて、区政に関する方針、区に関する諸計画、区の予算に関することなど、区における重要事項について審議する区民会議の設置等について、検討を進めているところでございます。本市は南北に細長い地形や、市民の生活圏の違いなどから、7つの区がそれぞれに異なる地域特性を持ち、人口の推移においても地域的な差異がございますが、このように地域課題を地域の方々がみずから解決を図る仕組みづくりを進めることなどにより、区によって異なる地域の特性を踏まえた課題解決が図られ、そうした取り組みの推進に伴い、区の実情に応じた施策展開が図られるものと考えております。  次に、既存計画との関係などについての御質問でございますが、総合計画では、市政運営の方針や政策の基本方向などを定めており、保育基本計画や住宅基本計画などの各分野別計画では、具体的な施策や事業の計画を定めているものでございます。新総合計画の策定に当たり、このたび基本構想素案を公表いたしましたが、その中で基本政策の要件として、「計画における基本指標」、「現状と主要課題の認識」、「都市構造の考え方」などをお示ししたところでございます。現行のさまざまな分野別計画は、基本的には2010プランに沿って策定されてきておりますので、今後は新総合計画の策定作業と連携しながら内容を検証し、新総合計画の基本方向と整合性を図る必要があるものにつきましては、今後、適宜見直しを行うことになると考えております。  次に、現在策定中の教育プランや農業振興プランなど分野別計画と新総合計画との整合性につきましては、これまでも新総合計画の策定作業と相互に連携を図ってまいりましたが、今後も十分に調整してまいりたいと考えております。  次に、評価制度についての御質問でございますが、評価制度につきましては、現在、庁内で取り組んでいる川崎再生ACTIONシステムを土台として、計画の的確な進行管理、評価が行えるよう、新たな施策体系に沿ったシステムとして構築してまいりたいと考えております。とりわけ評価の要点である目標や成果指標等を可能な限り具体的に設定し、評価結果を議会に報告するとともに、市民に公表し、御意見をいただくなど、市民にわかりやすい評価制度の構築を目指してまいります。  次に、区別の計画についての御質問でございますが、地域が主体となって地域の課題解決や身近なまちづくりに取り組んでいくことは大変重要であると考えております。都市計画マスタープランにつきましては、平成10年に全体構想素案を公表して以降、各区において、区別構想の策定に向けて、区民提案が順次作成されてきているところでございます。新総合計画におきましては、実行計画の策定段階におきまして、こうした構想の区民提案や各区のまちづくり推進組織などからいただいた御意見、今後、各区で開催を予定していますタウンミーティングにおける意見などを受けとめ、各区における課題に対応する具体的な事業について、優先順位を勘案し、関係局区と調整を図りながら、計画の中で、各区の課題に対応する具体的な施策提案や事業などをお示ししてまいりたいと考えております。  次に、市民意見集約とその反映についての御質問でございますが、基本構想素案に対し、多くの市民意見をいただくため、各区で計7回のタウンミーティングの開催を予定しているところでございまして、タウンミーティングでは、各会場において市民の皆様の御意見を直接伺う機会を設けるとともに、意見用紙に御意見を記入いただく方法なども取り入れてまいります。また、タウンミーティングのほかにも、お手紙、電子メール、ファクスにより御意見をいただくなど、より多くの市民意見を集約できるよう努めてまいりたいと考えております。こうしていただきました御意見につきましては、内容ごとに分類、精査した上、基本構想や実行計画に反映してまいりたいと考えております。  次に、タウンミーティングにおける説明資料についてでございますが、財政収支見通しと整合した各施策の具体的な数値目標につきましては、実行計画でお示ししてまいりたいと考えておりますが、各施策に関する方向性や基本的な取り組み内容について御理解いただけるよう、具体のデータや図面などをお示しするなど、説明の工夫をさせていただきたいと考えております。以上でございます。 ◎髙阪三男 市民局長 市民局関係の御質問にお答え申し上げます。  初めに、外国人市民への対応についての御質問でございますが、本市では、外国人市民は地域社会を構成するかけがえのない一員であり、ともに生き、ともにまちづくりを担うという視点で、外国人市民施策を推進しております。したがいまして、外国人市民への対応といたしましては、現在、本市が策定を進めております、仮称川崎市多文化共生社会推進指針に基づいて取り組んでまいりたいと考えております。  次に、勤労者施策についての御質問でございますが、本市では、勤労者の安定雇用に向けた支援対策として、円滑な就職や職域拡大を図る各種資格取得準備講座、求職者セミナー及び労働相談事業などを行うとともに、学校を卒業して新たに社会人となった方を対象に、企業への定着を図るため、雇用開発協会と連携して、新規学校卒業者歓迎激励事業を実施しているところでございます。国では就職希望者を対象に、企業との合同面接会の開催、トライアル雇用事業の実施、また、正規雇用を希望する若年者に職業カウンセリングや職業相談などを行っております。神奈川県におきましては、かながわ若者就職支援センターを開設して、いわゆるフリーターを含む若年者を対象に、就職情報の提供や就業体験研修を行っております。  本市といたしましては、これら関係機関と密接に連携して、啓発情報誌及び各種パンフレットなどを通じて、就労支援対策についての情報提供を積極的に行っていきたいと考えております。また、若年者を含めた勤労者施策の新総合計画における位置づけにつきましては、意欲ある人がみずからの能力や個性を生かして働くことができるよう、「人材を活かすしくみづくり」の中で推進してまいります。以上でございます。 ◎植松了 経済局長 経済局関係の御質問にお答え申し上げます。  初めに、農業の課題認識などについての御質問でございますが、川崎の農業につきましては、急速に都市化が進むという大変厳しい営農環境の中で、産地直売及び市場への出荷など、市内農産物の供給機能を果たし、本市の第1次産業を形成しているところでございます。このため、政策の基本方向におきまして、都市農地の多面的な機能の活用、都市農業の振興を掲げているものでございます。こうした施策体系のもとで、本市といたしましては、農業後継者の方々が意欲と自信を持って、安全・安心な農産物を供給すること、農体験の場や機会を提供することを通じまして、付加価値のある都市型農業経営に取り組んでいただくことを支援してまいりたいと考えております。また、多くの市民の方々が農業を知り、体験し、参加すること、地産地消を促進することなど、「農」に親しむ仕組みづくりに取り組んでまいりたいと考えております。  さらに、農家の方々と市民の方々の相互理解のもとに、援農ボランティア育成事業、市民農園リーダー養成講座事業などを通じまして、生きがいや社会参加を求める市民や、シニアパワーの活用を図ってまいりたいと考えているところでございます。  次に、製造業の振興と新たな産業の創出についての御質問でございますが、製造業は市内総生産額の25.7%を占め、大都市の中でも最も高い構成比であるなど、本市の活力や豊かな市民生活を支える基幹産業であると認識しているところでございます。製造業の振興に関する基本的方向は、高度な加工技術を有する中小企業の集積、研究開発機能の集積、大手ハイテク産業や臨海部の大企業の集積など、川崎の強みを生かして地域としての競争力を強めていくことであると考えております。  こうした立地上の優位性につきましては、まず事業者みずからが生かしていくことが当然でございますが、行政といたしましては、経営革新や創業・新分野進出を行おうとする事業者に対しまして、川崎の強みを踏まえまして、的確な情報提供、不足する経営資源に関する支援、事業環境の整備等を行うことが基本的な役割と考えております。今後は、これまでの施策に加え、操業環境の向上や産・学・公のネットワークの強化などにより、ものづくり機能全体の底上げを図るとともに、創業や中小企業の新分野進出の各段階に応じました多面的な支援施策をさらに充実強化し、産業構造の変化にも対応する適切な施策を展開してまいりたいと存じます。以上でございます。 ◆菅原敬子 議員 御答弁ありがとうございました。幾つか再質問をさせていただきたいと思います。  新たな時代に向けたまちづくりの基本目標は「誰もがいきいきと心豊かに暮らせる持続可能な市民都市かわさき」であるとし、持続可能型社会とは、地球環境、経済・産業と合わせて、具体的には安定的な市民サービスを維持することであるとしていますが、その示す内容について伺います。行政が市民に対して安定的なサービスを維持することは当然の役割であり、それが基本と考えますが、伺います。さらには、これらを支える持続可能な財政基盤の確保と述べられていますが、その意味についても伺います。また、成熟した社会を背景とした考え方や価値観のもとに、安定的、持続的なものとして施策を推進していく必要がある、と述べています。それは何を示しているのか伺います。  基本目標とは、川崎が目指す方向をしっかり市民に見え、わかるように示すものであり、10年間求め続ける川崎の方向や夢であります。市民にずっしりと感じられるものであってほしいと思います。3つの基本方向も考え、サブタイトルをつけるべきと思いますが、見解と検討に当たっての観点についても伺います。  次に、自助・共助・公助の基本的な考え方について、市長に伺います。どこまで自助・共助・公助の範囲なのかという質問に、一律の線引きはできないとのことであります。にもかかわらず、専ら行政が担ってきた部分を見直し、福祉を初め教育や防災、環境など、地域社会における課題を、さまざまな主体の力でバランスよく解決していく仕組みを構築すると、具体的な方向性を示されました。これはとどのつまり、行政責任をどう回避しようとするか、全く弁解のための論理としか伝わってきません。問題は、自助・共助・公助のうち、少なくとも公助に当たる行政の責務とは何なのか、具体的セーフティーネットの中身は何なのか伺います。  次に、人口推計に伴う施策のあり方について伺います。基本構想期間の10年間は人口増加が続きますので、その分施策の拡充は避けて通れません。一方、2015年ごろをピークに減少過程に入ることから、そのことも考慮する必要があるとのことであります。しかし、今後四半世紀以上にわたって現状より多い人口レベルが持続することに注目すれば、できるだけ早く現実にこたえ得る施策展開を図ることが必要と考えますが、伺います。特に、子育て支援や高齢者保健福祉サービスの基盤整備などを急ぐ必要があると思いますが、基本的考え方を伺います。  答弁では、「踊り場の10年」以降に迎える極めて大きな変化にも的確に備えていくことが大切、とされていますが、極めて大きな変化とは何を想定されているのか、変化そのものへの対応も含めて伺います。  次に、産業政策について再質問します。基本方向として、中小企業、研究開発機能、ハイテク産業など、本市の強みを生かしていくとの考え方が示されましたが、1980年代と今日の本市産業の置かれている状況には大きな開きがあります。その時々の経済状況の動向など、予想しがたい現象があったとはいえ、一方では、本市産業基盤の弱さもあったのではないかと考えるところであります。本市産業を取り巻く今日までの時代認識を改めて確認し、今回の基本構想に生かすべきと考えますが、伺います。  次に、実行計画の策定に当たっては、計画期間である3年間だけにとどまらず、10年後に向けた成果目標を可能な限り具体的に設定される、との積極的な御答弁をいただきました。施策・事務事業の評価に当たっては具体的な目標設定が不可欠でありますので、できる限り具体的に、10年後に向けた成果目標を設定していただきますよう要望しておきます。  また、基本構想の見直し時期に関しては、大きな社会環境の変化がなければ基本的に計画期間中は見直しを行わない、実行計画に関しては、3年ごとに策定された実行計画の進捗状況を踏まえ、次の期の実行計画策定段階で反映させる、というふうに理解してよいのか、再度お伺いいたします。  次に、区別計画に関連して伺います。先ほどの局長の答弁で、区別の計画を実行計画の中で示すとのことでありました。現行2010プランでは、地域整備の基本の中で、例えば川崎区は「新しい文化を創造する、海に開かれた区(まち)」といったように、行政区ごとにまちづくりの理念、方向性が示されています。本構想でも、それぞれの行政区ごとに本市のまちづくりの基本目標に即した基本方向を示し、区民にわかりやすいまちづくりのメッセージを発信すべきと考えますが、伺います。  次に、評価については、計画の的確な進行管理、評価が行われるような新たな施策体系に沿ったシステム、評価制度をつくるとの答弁でありました。ぜひ、成果目標に対するわかりやすい点数制などの評価制度も検討をお願いしたいと思います。また、効果的な施策執行と問題解決に向けた仕組みをつくるとありますが、例えば、市民が望む解決すべき課題とは、犯罪増加に対する抑止力、あるいは災害による危機管理体制の確立などが挙げられます。これらの施策も総合計画に積極的に示されるべきと考えます。問題把握も行っていると思いますけれども、問題解決の問題とは何か、具体的にお聞かせください。  さらに、市民参加による評価を議会に報告し、市民に公表し、意見をいただくとのことでありますが、市民の範囲や人数、意見集約はどのようにされるのか伺います。  以上についてお答えをお願いします。 ◎阿部孝夫 市長 持続可能などについてのお尋ねでございますけれども、少子高齢化の急速な進行や低成長経済への移行などによって、これまで維持してきたさまざまな制度に見直しが求められている状況にありますけれども、こうした中にあっても、自助・共助・公助のバランスのとれた地域社会の中で、公助の担い手としての役割をしっかりと果たし、安定的な市民サービスを提供することによって、市民の暮らしにおける安心を確かなものにしていくことが必要であると考えております。また、今後も右肩上がりの経済成長が見込めず、厳しい財政状況が続くことが予想される中で、効率的・効果的な施策執行に努めるとともに、既存の資源や財産を最大限に活用することなどによって、自治体として自主・自立的な行財政運営を確保することが、こうした安定的な市民サービス提供の条件になってまいります。  さらに、こうしたサービスを提供するための施策は、今後予想されるさまざまな環境変化の中においても、しっかりと維持持続できるものとして構築していくことが必要になると考えております。  なお、基本構想素案においてお示ししたまちづくりの基本目標は、構想において目指すまちの姿と、これによって実現を図る市民の安心で快適な暮らしをできる限りわかりやすい言葉で表現したものでございます。こうしたまちづくりの基本目標などを踏まえまして、新たな総合計画にふさわしいサブタイトルにつきましても、検討してまいりたいと存じます。  次に、自助・共助・公助についてのお尋ねでございますけれども、市民一人一人の価値観やライフスタイル、置かれている状況などが異なる中で、個人の自立と尊厳を尊重し、みずからにかかわることはみずからの責任と選択で決定できることを基礎とする、自助・共助・公助の考え方は、国から地方へ、画一性重視から多様性重視へ、措置制度から契約制度へ、保護救済型福祉から自立支援型福祉へといった社会の枠組みの変化とともに、本市はもとより分権時代における我が国全体の大きな潮流であると認識いたしております。さらに、多様化・複雑化する市民ニーズに的確に対応し、必要な施策を将来にわたって維持するとともに、市民が安心して生活を営むことができる地域社会をつくり上げていくためには、市民の自助自立や、地域の支え合いに対して過大な役割を負わせることも、行政の責任や介入をさらに肥大化させることも、いずれか一方に偏ることなく、こうした自助・共助・公助の適切なバランスを保っていくことが重要であると考えております。  こうした中で、市民が税金を納め、市の職員が人件費を差し引いた後の金額を市民サービスに支出するという公助に当たる行政の責務といたしましては、税収が減少ないし横ばいの状況の中で、自助・共助を側面から支援するための適切な情報提供や、相談機能、監視指導体制などの仕組みづくりのほか、いかなる時代状況にあろうとも、市民の生命や財産、生活を守る、安心と安定の最後のよりどころとしてのセーフティーネットをしっかりと維持、継続していくことではないかと考えております。  いずれにいたしましても、今後とも、市民生活の維持向上を最優先に、限られた税財源を効果的・効率的に配分していく中で、行政として必要なセーフティーネットは維持していくという基本的な考え方に立ち、個々の事業やサービス内容ごとに整理してまいりたいと考えております。  次に、基本構想と実行計画の見直しについてのお尋ねでございますが、基本構想素案につきましては、今後の10年間を展望したまちづくりの目標や基本政策をお示ししたところでございますので、見直しにつきましては、大きな社会環境の変化などを見きわめて対応してまいりたいと存じます。また、3カ年の実行計画につきましては、新たな施策体系に沿った計画・実行・評価・改善の仕組みを通じた具体的な施策・事業の進行管理及び評価を一体のものとして毎年度行うとともに、施策・事業の進捗状況を踏まえた評価結果を反映し、次期の実行計画を策定してまいりたいと考えております。  次に、行政区ごとの基本方向についてのお尋ねでございますけれども、今回お示しした基本構想素案につきましては、今後10年間のまちづくりの基本目標とともに、市政運営や政策の基本方向をお示ししたものでございます。各区における課題への対応につきましては、都市計画マスタープランの区別構想の策定に向けた区民提案や、まちづくり推進組織などからいただいた御意見などを踏まえて、基本構想に基づいて策定する実行計画の中でお示ししてまいりたいと存じます。  また、現在、地域主体のまちづくりを進めるための区行政改革や区民会議などの仕組みづくりに取り組んでおりますので、今後、各区においてビジョンや方向性が取りまとめられていくものと考えているところでございます。以上でございます。 ◎北條秀衛 総合企画局長 人口推計に伴う施策のあり方などについての御質問でございますが、基本構想の10年間におきましては、本市の人口は漸増するとともに、少子高齢化が一層進行してまいります。こうした動向に的確に対応するため、基本構想素案においては、高齢者福祉や子育て支援などへの的確な対応として、「子育てを地域社会全体で支える」や、「超高齢社会を見据えた安心のしくみを育てる」などの施策を位置づけたところでございます。  一方、その後本市においては、この少子高齢化の傾向がより急速に進展するとともに、人口総数そのものが減少過程に入るという大きな転換期を迎えます。そのためにも、この10年間においては、この変化に的確に対応するため、シニア能力活用など、新たな仕組みづくりを進めるとともに、川崎の活力をつくり出すまちづくりに取り組むことにより、持続可能なまちづくりを推進していくことが重要になるものと考えております。  次に、効果的な施策執行と問題解決に向けた仕組み等についての御質問でございますが、今回の計画におきましては、行政が主体となって取り組む、あるいは一定の役割を担うすべての施策を対象とするとともに、施策の執行に当たっては、事務事業の評価と連携することによって、計画・実行・評価・改善という一連の流れの中で、課題の発見、解決を図る仕組みづくりを考えております。  問題解決に当たっての課題といたしましては、例えば防犯、危機管理体制の確立につきましては、行政施策だけでは地域の安全や安心を図ることは困難であることから、市民や地域組織との協働による取り組みが必要となっており、そうした協働の仕組みをつくり上げることなどが課題として考えられます。  また、評価における意見集約などについてでございますが、評価につきましては、まず事業の所管部局において、個々の評価対象事業について日常的に寄せられた市民の皆さんの御意見も踏まえて評価を行い、次に、全体としての評価結果を取りまとめて公表して、インターネットを含めた多様な手法により、広範な御意見を伺い、その内容を施策に反映させることで、計画・実行・評価・改善の継続的なサイクルが確立されることになるものと考えております。また、こうしたサイクルに市民の皆さんの意見が反映されることにより、市政への市民参加が推進されることになるものと考えております。以上でございます。 ◎植松了 経済局長 産業政策における時代認識と今後の方向性についての御質問でございますが、本市の製造業は、これまで工業等制限法などによる工場の新増設規制に加え、宅地化の圧力、高い地価などの高コスト要因などにより、大手企業の市外移転が相次ぎ、中小企業にとりましては、これら企業に依存する部分が大きかったことから、受注の減少により、厳しい経営環境に直面してまいりました。  特に、経済のグローバル化や、情報化の急速な進展と低迷する経済の中で、生産機能の海外移転や中小企業の転廃業が進み、製造業の相対的な地位が低下してきたものと認識しております。しかしながら、製造業は市民生活を支える基幹産業であることには変わりなく、地域として競争力を強めていくことが重要であると改めて考えております。このため、規制緩和等をさらに進めるなど、操業環境の向上を目指し、活力ある産業集積の形成を図るとともに、ものづくりの産業の高度化や情報技術との融合化により、高付加価値製品の開発等への支援をより一層進めていくことが必要と考えております。  さらに、新分野に挑戦する企業や、創業を支援するほか、市民の暮らしに貢献する福祉産業、環境調和型産業等の創出育成にも、川崎の強みであるものづくり機能を生かしてまいりたいと考えております。以上でございます。 ◆菅原敬子 議員 御答弁ありがとうございました。  幾つかの要望を申し上げたいと思います。この基本構想は7つの基本政策と30の基本方向、90の基本施策が示されています。我が会派では、質問の時間が少なく、個々の施策等については、今後の機会において質問をし、意見を述べながら、市民の立場に立った、より実効性の高いものにしていきたいと考えております。しかし、この構想は、全事業、全施策を網羅し、バランスよく入れるという作業によってつくられたと伺っております。結果的にはとらえどころがないものとなり、10年間の本市の特徴的な姿が見えないものとなっています。  また、構想案のスタンスには、市民のための市政という基本が一部感じられないところもあるのが残念であります。新しい川崎が目指す方向が、市民一人一人に理解されることなしに、自助・共助・公助や、協働あるいはパートナーシップは築けないのではないでしょうか。  行政として必要なセーフティーネットは維持していくという、市長の考えは理解いたしました。しかし、公助という発想が、あくまでも自助・共助を側面から支援するということは、公的責任の回避にとどまらず、公的責任の放棄ではないでしょうか。今、国は生活保護費負担割合を地方に過剰に負わそうとしています。こうした責任放棄を許してはなりません。同様に地方自治体が守らなければならないのは、弱者の側に立ったセーフティーネットとしての公的責任ではないでしょうか。改めて公的責任の充実を求めたいと考えています。  新しい川崎が目指す方向が、市民一人一人に理解をされなければなりません。現在、行財政改革や施政方針、あるいは運営の改革など、次々と進められていることからも、市民の市政への不安は大きくなっております。市民の市政への信頼を得るためにも、今回示しますこの基本構想において、今後の10年が市民のための市政であることをしっかり位置づけ、それを示していく必要があると思います。しかし、持続可能な社会という言葉や、その持つ意味において、市民の十分な理解が得られるのか、一般市民にとって、この言葉はなじみのない目標であります。このなじみのない目標でいいのか、疑問を持つものであります。サブタイトルについては検討くださるということでの御答弁でしたので、だれもが理解でき、川崎の新しい市政のあり方が見えるものにしていただきたいと思います。  また、自助・共助・公助をバランスよく保つことが重要とのことでありますが、市民にとっては公助、そして自助・共助であり、生き生きと心豊かに暮らせることの土台骨は行政の役割であると理解をし、市民が期待をする、その市民感覚との乖離を感じます。タウンミーティングでの十分な説明が必要だと考えます。9月、10月に各区1カ所でタウンミーティングが行われるということであります。行財政改革プランの市民説明会には、行政の管理職者たちが会場の多くを占めておりましたが、参加するならば、管理職ではなくて一般職員に、またできるだけ市民がたくさん参加できるように、また、参加した市民がわかる説明と発言の機会をとっていただきたいと思います。  本日示された素案についても、市民説明会が5月7日から7月5日までの間、開催をされましたが、例えば麻生区を見てみますと、3名しか参加しておらず、実質内容の伴ったものとは言えないと思います。10年間のあり方について十分討議できるように、市民への広報に努めていただきたいと思います。そして、市民の声が構想素案に生かされ、12月の議会までには、もう少し見える基本構想として議会に提案されますことを期待をいたしまして、私の質問を終わります。 ◆岩崎善幸 議員 私は公明党川崎市議団を代表して、今回公表されました、川崎市新総合計画基本構想素案について伺います。  従来、計画などを立案するときに当然のように考えられていた、成長を基底とする視点は現在では通用せず、持続可能とする視点へ、社会全体が劇的に変化を来しております。長引く景気の低迷が続くとともに、急激な少子高齢化が進む中で、今後の10年を見通す基本構想素案が公表されました。ここで市長の素案に対する率直な見解と、新計画に込める思いをお答えください。  国の三位一体の改革ですが、いまだに全体像が見えません。国の取り扱い方によっては財政に相当な影響も考えられます。基本構想策定に当たってどのように対処するのか、市長に伺います。  行財政改革プランが発表され、3年が経過をいたしました。職員数の削減を初め、バス事業の改善、一般事業系ごみの有料化、敬老パス事業の見直しなど、相当な勢いで行財政改革を進め、結果を出してきたことは評価をするところであります。それにもかかわらず、財政が好転をしてきたとの実感はまだまだ得られておりません。財政状況について市長の率直な見解を伺います。  次に、基本構想素案の考え方について伺います。新計画は「「何を増やし、何をつくる」という従来の発想を転換して、「活力とうるおいのあるまちをどのように育て、運営していくか」という視点から、地域経営のプランと言うべきもの」と述べていますが、イメージがはっきりしません。市長に伺いますが、具体的に、例えば福祉の観点から、地域経営のプランをお示しください。  新計画を執行するに当たっては、効果的な施策執行と課題解決を図る仕組みを構築するとしております。計画は絵にかいたもちであってはなりません。実効性を高めるためにも、計画・実行・評価・改善の仕組みづくりは重要と考えます。具体的にどのような仕組みを想定しているのか、市長に伺います。また、どの段階で評価、改善が行われるのかも伺います。  次に、現行の2010プランは基本構想、基本計画、実施計画の3層構造になっておりますが、新計画では基本構想、実行計画の2層構造とすることが明らかになりましたが、その理由と現行計画の取り扱い、特に既に実行されている事業についての整合性を伺います。  基本政策体系ですが、中間報告は6項目であった基本政策が1項目ふえ、7項目の設定となっていますが、どのような経過で増加することとなったのかお示しください。また、基本政策の柱建ての重要性と優先度はどのように考えておられるのか、あわせて、川崎らしさを出していくと伺っていますが、どの点に川崎らしさを出したのか伺います。さらに、今後、施策を展開する中、実行計画での川崎らしさはどうつくっていくのかお答えください。  次に、実行計画でありますが、基本構想に基づく施策の具体的な取り組み内容及び成果目標を明示した3カ年の計画が実行計画となると伺いました。内容について、今後検討されていきますが、実行計画に盛り込まれる事業は、どの段階で、どのように選択されるのかお答えください。また、優先順位の決め方・ルールを伺います。当然、実行計画には成果目標を明示されるわけですが、数値目標として明確になるのか、市長に伺います。  次に、基本政策について伺います。まず、教育に関する課題であります。「子どもから大人に至るまでの、教わる、教える、育ち、育てるといった取組を、地域と行政との協働」で行うとしていますが、どのような内容を想定しているのか伺います。  次に、文化・芸術振興について伺います。21世紀に入り、物の豊かさだけでなく、心の豊かさも大切にする時代へと確実に向かっております。我が党は、国におきましても、文化芸術振興基本法の制定を初め、文化庁予算の増額、支援税制など、次々と推進し、文化・芸術に対する施策が年々拡充されてきております。  本市でも、音楽のまち・かわさきを合い言葉に、文化・芸術の振興を推進しており、我が党が提案をしてきた仮称文化振興条例の制定も間近と聞いております。文化・芸術は市民一人一人の心の中に育つものであり、心の豊かさを実感できる多くの市民を輩出するためにも、幅広い文化・芸術振興の環境をつくる必要があります。新総合計画では、市民・行政・企業の役割をどのように考え、川崎らしい文化・芸術の振興を進めていくのか伺います。  次に、基本政策の中の「参加と協働による市民自治のまちづくり」について、何点か伺います。まず、「区における地域課題への的確な対応」が掲げられておりますが、区への権限移譲について、その範囲と手順、時期について、予算面も含め具体的にお示しください。また、取り上げる地域課題の範囲についてですが、例えば新川崎地区の再開発や南武線の高架化、川崎駅周辺整備などのように、複数区にまたがる課題があります。このような場合、区別で取り組むのか、一緒に取り組むのか、取り扱いについて見解を伺います。  また、区課題の集約でありますが、意見収集など集約のあり方について、あわせて区民会議設置への検討・進捗状況を具体的に伺います。さらに、区長の総合調整機能強化を目指すとありますが、実現に向けての課題について伺います。また、区側から見た区長の所見を、川崎区長に伺います。  次に、川崎を支える産業の振興と新たな産業をつくり育てる施策について伺います。まず、福祉産業の集積・振興についてでありますが、介護福祉機器の開発を進める日本アビリティーズ社を川崎臨海部に誘致し、福祉機器のレンタルセンターが開設間近と聞いておりますが、本市に新たな福祉関連産業進出の見通しについて、何か新しい動きが出ているのか伺います。また、過去の公害の歴史的反省も含め、新たな先進的環境産業の誘致について、取り組みと見通しを具体的に明らかにしてください。  さらに、川崎らしい個性豊かな中小企業の育成についてでありますが、ケイスクエア・タウンキャンパスでの研究開発の成果を、市の連携により、中小産業の育成に結びつけた特異な実績効果があれば、具体的にお示しください。さらに、川崎のものづくりの技術を生かした産業起こしとしての新エネルギー政策についても伺います。  次に、少子化対策の観点から伺います。日本の合計特殊出生率は、2003年には1.29にまで低下してしまいました。本市における出生率の現状と今後の5年先、10年先の見通しをどのように把握しているのか、見解を伺います。今回の基本構想素案では、「子育てを地域社会全体で支える」として、「安心して子育てできる環境づくり」が掲げられておりますが、より積極的に、より前向きに、子育てに生きがいが感じられる環境づくり、子育てが楽しい環境づくりを掲げて取り組むべきと思いますが、見解を伺います。  次に、急速に進む高齢化対策について伺います。まず、高齢化対策を新総合計画の中では「幸せな暮らしを共に支えるまちづくり」としてカテゴリー区分しておりますが、現状の計画である、第2期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画との整合性について伺います。今後の高齢化の推移を見ると、元気な高齢者、生き生きと生活できるまちづくりが必須であることは論をまちません。この観点から、本市は、パワーリハビリテーションを初め、寝たきり高齢者の低減を目指して先進的な介護予防事業に取り組んでいますが、さらに充実を図り、新総合計画に位置づける必要があると考えますが、見解を伺います。また、在宅介護サービスの充実を図る観点から、新総合計画での位置づけについて伺います。同時に、特養ホームなど、施設介護サービス整備の基本指針についても明らかにしてください。一方で、これらの進捗状況を市民が実感していく上でも、目指す目標を掲げ、検証可能な施策とすべきであると考えますが、伺います。  次に、都市拠点機能の整備として、武蔵小杉駅に新幹線と横須賀線の停車駅をつくる川崎中央駅構想がありますが、新総合計画での位置づけと可能性、進捗状況を伺います。  羽田空港再拡張・国際化に対応した基盤づくり、いわゆる神奈川口構想ですが、多摩川横断道の具体的着工時期と工法、地域の都市計画についてお示しください。  次に、暮らしやすい住宅・住環境の整備に関して伺います。2010プランにおいて、住宅基本計画の目標を平成18年度とし、これに基づく公営住宅ストック総合活用計画が平成13年度から22年度の間として示されております。新総合計画の中でのストック総合活用計画と住宅基本計画の位置づけ及び今後の展開について、お答えください。また、ストック総合活用計画の中に「高齢者の居住に配慮した設備・機能の確保」とあります。平成12年7月時点で、市営住宅入居者の65歳以上の世帯主が37.7%となっており、住宅のバリアフリー化は喫緊の課題であると考えます。全面的改善、個別改善を含めた事業の進捗状況について伺います。  次に、「安全で快適に暮らすまちづくり」についてです。新総合計画は、今後急速に変化する社会環境の変化の中において、柔軟に対応でき、実行可能な計画とあります。地球温暖化の影響が原因の一つと言われている都市型災害、いわゆる局地的な集中豪雨についてでありますが、先日、梅雨前線の影響による集中豪雨が新潟県と福井県を中心に多大な被害を与えました。死者、行方不明者も合わせて21人に上り、そのほとんどが70代、80代の高齢者と聞き、まことに痛ましい限りです。被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。今回の集中豪雨は何十年、何百年に一度という大雨が局地的に降り、防災体制の想定をはるかに超える自然災害が発生してしまいました。この現象は本市にとって例外とは言えません。本市では、現在、新たなハザードマップと防災ハンドブックの改訂版を作成しておりますが、高齢者や障害者、子どもたちなど、いわゆる災害弱者をどう守っていくのか、また、安全で安心のまちづくりを進めるため、地域防災計画を新総合計画の中でどのように位置づけるのかお答えください。  さらに、治水・雨水対策の推進ですが、具体的に今回のような時間降雨量80ミリを超える集中豪雨を想定したシミュレーションは考えているのか、今後の対応も含め、お答えください。今回の災害では、避難勧告などの初期の伝達がスムーズにいかなかったとの報道もありましたが、風水害時の危機管理体制と情報伝達に関して、今回の総合計画の中でどのように盛り込んでいくのか伺います。あわせて、風水害時の避難場所の見直しや、水や食糧、毛布などの物資の備蓄について対応をお答えください。  最後に、この基本構想素案をもとにタウンミーティングが開催をされると伺っております。昨年の第1回のタウンミーティングを受け、反省、教訓も含め、今回はどのように開催していくのか、市民の参加しやすい開催日や時間を十分に考慮すべきと思いますが、広報の方法も含め、見解をお答えください。また、今後のスケジュールも伺います。  今回のタウンミーティングでは、素案だけでなく、自治基本条例策定への報告も一緒に行うと伺いました。限られた時間内に、十分な説明と意見要望を聞くことができるのかお答えください。タウンミーティングや市民説明会、そしてインターネットなどによって得られた貴重な市民の生の意見要望は基本構想にどのように反映されていくのか、具体的にお答えください。
     以上、明確な御答弁をお願いをいたします。 ◎阿部孝夫 市長 それでは私から、ただいまの公明党を代表されました岩崎議員の御質問にお答えいたします。  まず、基本構想素案についてのお尋ねでございますけれども、成長を前提とする社会の終えんや、少子高齢化の急速な進行など、かつて経験したことのない大きな社会経済環境の変化は、私たちの持つ従来の価値観や発想を大きく転換することを促しているものと認識しているところでございます。そうした大きな変化に的確に対応し、市民が日々の暮らしの中で生きがいと幸せを感じることができる社会を将来にわたって持続させることが、強く求められているところでございます。  また、長期的な人口減少過程へ移行すると予想されるおおむね10年後をにらみ、今から社会経済システムの変化に対応するための備えをつくり上げるとともに、市民が活力と潤いのある生活を安心して送ることができるまちづくりを進め、未来に向けた礎を築くためにも、時代の流れに対応した、新たな市政運営の基本方針をしっかりと定める必要があると考えております。そうしたことから、このたびの基本構想素案におきましては、市民と行政が協働して取り組むまちづくりの基本目標として、「誰もがいきいきと心豊かに暮らせる持続可能な市民都市かわさき」を目指すことを掲げたところでございます。これは、川崎というまちを、そこに暮らすすべての人々が活力と潤いのある生活を送ることができるまちへと発展させるための、目指すべき目標を掲げたものでございます。その実現は決して容易なものではございませんが、市民生活の安全の確保を初めとした、行政としての責務をしっかりと果たしていくとともに、自治基本条例の制定を初めとした、市民本位の自治のまちづくりを推進するための仕組みづくりや、長い歴史の積み重ねを踏まえた上で、川崎の持つ特徴や長所を最大限に生かし、持続可能な都市として再生させるための取り組み、自助・共助・公助のバランスのとれた地域社会の実現への取り組みなどを進めることにより、市民のだれもが生きがいと幸せを感じられるようなまちづくりを推進してまいりたいと考えております。  そのために、新たな総合計画におきましては、何をふやし、何をつくるという従来の発想を転換して、活力と潤いのあるまちをどのように育て、運営していくかという地域経営の視点を重視するとともに、厳しい財政状況の中でも、確実に成果を上げることのできる計画として策定してまいりたいと考えております。今後、この素案をもとに、議会の皆様を初め、多くの市民の方々と率直な議論を積み重ね、より具体的に川崎の将来像を描く計画として策定してまいりたいと考えております。  次に、三位一体の改革と基本構想についてのお尋ねでございますが、さきに閣議決定されました「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」におきまして、国は三位一体の改革の全体像を本年秋に明らかにし、年内に決定することとなっていることから、地方に与える今後の影響など、いまだ先行きが不透明な状況にございます。真の地方分権を推進していくためには、三位一体の改革により、国の関与を廃止・縮小し、国と地方の税源配分を見直しするなど、地方自治体の財政運営の自由度を高めていくことが、ぜひとも必要であると考えております。こうした中、基本構想素案におきましては、「誰もがいきいきと心豊かに暮らせる持続可能な市民都市かわさき」の実現を基本目標としておりまして、住民に身近な地方自治体が自主・自立的な行財政運営に責任を持てるようにする、住民のための改革である三位一体の改革の基本理念とは、方向性が一致しているものと認識いたしているところでございます。  したがいまして、今後とも、三位一体の改革につきましては、国の財政再建を優先するのではなく、地方自治体が安定的な行政サービスを提供できる地方税財政制度の確立が不可欠であると考えております。このような考え方のもとに、国などに対し、真の三位一体の改革の実現を働きかけるとともに、基本構想の策定に当たりましては、社会経済環境の変化を踏まえつつ、基本目標の達成に向け、適切な対応を図ってまいりたいと思います。  次に、財政状況についてのお尋ねでございますが、平成16年度予算におきましては、これまでの財源対策を講じるとともに、歳入・歳出全般にわたる見直しを行いまして、財政フレーム試算モデルにお示しいたしました目標額210億円に対しまして、232億円の見直しを図り、行財政改革プランを着実に推進しているところでございます。しかしながら、景気の低迷等により市税は減収し、さらに三位一体の改革による地方財政計画の圧縮に伴い、普通交付税は交付を見込めず、臨時財政対策債も大幅に減少するという状況にございます。したがいまして、最近の我が国経済に明るい兆しが見えてきてはいるものの、現在の収支が不足している状況に加え、地方税財政制度の動向がいまだ不透明なことから、楽観できるような状況ではなく、依然として厳しい財政状況にあるものと認識いたしております。  次に、地域経営のプランについてのお尋ねでございますけれども、新たな総合計画におきましては、さまざまな環境変化や諸課題に適切に対応しながら、安定的で持続可能な市民生活を確保していくために、効率的な行財政運営はもとより、既存の資源や財産を最大限に活用することや、施策や事業をどのように展開することが最大の効果を生み、目標とする成果を達成できるのかといった、地域経営の視点を重視した取り組みが一層重要になると考えております。  例えば福祉の分野におきましては、市民一人一人の状況や、価値観、生活様式等の違いにより、市民のニーズは多様化・複雑化してきておりますが、こうした状況の中でも、市民が住みなれた地域で自立して暮らし続けることができるように、市民、NPO、民間事業者など、地域で活動するさまざまな担い手による多様なサービスが提供される環境を整え、市民がそれぞれのニーズに応じて、みずから必要なサービスを選択し、決定できるようにするとともに、何でもかんでも納めた税金をもって公務員を雇い、公務員が人件費を差し引いた残りのサービスを行うことによる公助を強化するという考え方ではなくて、行政の責務として必要なセーフティーネットはしっかりと維持し、こうした地域における多様な主体の協働と連携による取り組みを通じて、中間的な経費を極力削減した中で、直接市民サービスが強化できるような、そういうような市民生活を支援する、効率的で効果的かつ公平な施策を展開することが重要であると考えております。  次に、実行計画についてのお尋ねでございますけれども、基本構想に基づく3カ年の実行計画につきましては、原則としてすべての施策・事業を対象としておりますので、新たな基本構想の策定作業と並行して、現在の事業の進捗状況や川崎再生ACTIONシステムによる点検結果等に基づき、効率的かつ効果的な事業選択の視点に立った優先順位づけを行うとともに、市民意見や財政収支見通し、行財政改革の取り組み状況等を勘案しながら、年度内の策定に向けて取り組んでまいりたいと存じます。また、3カ年の実行計画の中から、重点的かつ戦略的に取り組む施策・事業を抽出いたしまして、重点戦略プランとしてまとめてまいりたいと考えております。  次に、実行計画の評価の仕組みづくりについてでございますけれども、総合計画は、市民の実感できる実効性のある計画であることが重要であると考えております。こうした視点から実行計画の、計画・実行・評価・改善の仕組みづくりに当たりましては、現在取り組んでいる川崎再生ACTIONシステムを土台として、計画の的確な進行管理・評価が行えるよう、新たな施策体系に沿ったシステムとして構築してまいりたいと考えております。  とりわけ評価の要点であります目標や成果指標につきましては、可能な限り具体的な数値を設定し、評価結果を議会に報告するとともに、市民に公表し、御意見をいただくなど、市民にわかりやすい評価制度の構築を目指してまいります。また、評価を行う段階といたしましては、総合計画の進行管理及び評価を一体のものとして毎年度行うことによって、評価結果が施策展開に適切に反映できるような制度としてまいりたいと考えております。  次に、「安全で快適に暮らすまちづくり」についてのお尋ねでございますけれども、地震や風水害等の自然災害、都市型災害、あるいはテロ等を含めた危機事象における市民生活の安全確保を図るため、この素案において、基本政策の一つに「安全で快適に暮らすまちづくり」を掲げております。新潟・福島豪雨、あるいは福井豪雨で明らかになりました高齢者等の災害弱者の避難対策や情報伝達などにつきましては、今回の災害では避難勧告の発令のおくれなどが指摘されておりますが、本市では、危機管理室において24時間体制により、気象状況をリアルタイムで把握し、素早い初動体制をとり、市民の皆様に対しては防災行政無線やインターネットを通じ、防災情報を伝達できる体制を整えております。  また、避難所につきましては、市立の小中学校等公共施設に加え、町内会館などを指定し、浸水地域の状況により、柔軟かつ迅速に対応することといたしております。現在のところ、今回の災害の詳細な状況は不明でありますけれども、今後、被災地からの災害報告等の結果を踏まえまして、地域防災計画の所要の見直しを考えてまいります。いずれにいたしましても、今回の災害のように緊急対応が必要な状況では、行政の対応のみでは限界がありますことから、市民・企業・行政の協働による防災体制の充実を図っていくことが重要であると考えております。以上でございます。 ◎河野和子 教育長 教育委員会関係の御質問にお答え申し上げます。  地域と行政の協働についての御質問でございますが、子どもが全人格的に成長する過程においては、学校・家庭・地域がそれぞれの役割を果たしていくことが重要であると思っております。そのためには、保護者や地域の方々と広く意見を交換しながら、ネットワーク化を進め、子どもと大人がともに学び合い、活動する地域コミュニティーの形成を進めていくことが必要と考えております。以上でございます。 ◎北條秀衛 総合企画局長 総合企画局関係の御質問にお答え申し上げます。  初めに、計画の構造などについての御質問でございますが、新たな総合計画につきましては、社会経済環境の急速な変化に迅速かつ適切に対応するために、現行の3層構造から2層構造へと変更したものでございます。これにより、目標と施策の関連性が市民によりわかりやすいものとなるとともに、重点的・機動的な取り組みが推進できるものと考えております。また、既に実行されている事業などにつきましては、「まちづくりの基本目標」や「政策に反映すべき基本的な視点」に沿って、その有効性や効率性などを改めて検証し、施策に位置づけてまいりたいと考えております。  次に、基本政策の7項目への変更につきましては、中間報告でお示しした「地域の魅力が輝く自治と風格のまちづくり」について、総合計画策定検討委員会や市民会議の御意見などを踏まえまして、「個性と魅力が輝くまちづくり」と「参加と協働による市民自治のまちづくり」に整理し、それぞれ基本政策の柱に位置づけたものでございます。また、「安全で快適に暮らすまちづくり」や「人を育て心を育むまちづくり」などは、今日の社会環境に対応した政策として位置づけたものでございますが、7つの基本政策は、いずれも市民生活において重要な政策であると考えております。  次に、川崎らしさについてでございますが、例えば、高度成長時代から我が国の経済を牽引し、一方で、厳しい公害問題を克服してきた本市が取り組む、環境と産業が調和した社会を目指したまちづくりや、分権時代において市民自治の仕組みづくりや区役所機能の強化に取り組む「参加と協働による市民自治のまちづくり」などは、本市の独自性が強くあらわれた政策であると考えております。  また、実行計画におきましては、地域の豊かな人材や資源、我が国でも有数の先端産業の集積、首都圏に位置し、東京や羽田に隣接する地理的条件などの長所や特徴を踏まえた取り組みにより、川崎らしい施策を展開してまいりたいと存じます。  次に、区民会議の設置等について御質問でございますが、初めに、区課題の集約のあり方と区民会議の設置等についてでございますが、区民会議は、地域課題の発見とその解決に向けて、広く区民の意見を集約し検討を進めていくために、設置してまいりたいと考えておりますので、その構成員につきましては、幅広い区民で構成するよう配慮し、できるだけ多様な意見が適切に反映されるよう運営していくことが必要であると考えております。また、区民会議の設置に向けましては、今後、既存組織である区政推進会議やまちづくり推進組織との関係の整理とともに、職務・権限や構成員等の制度設計について具体的に検討を進め、来年度試行をスタートさせてまいりたいと考えております。  次に、区長の総合調整機能の強化についてでございますが、区長の総合調整機能を向上させるためには、事業局との情報の共有を初め、計画の策定、施設建設、事業の実施及び調整等についての区の関与を制度化することが必要であると考えております。その制度化に当たりましては、事業局との調整の実効性をどのように担保できるかが課題でございまして、事業局と区が情報を共有すべき事項の設定、事業局と区との調整事項の設定・調整時期・調整手法、調整の所管局等に留意して制度設計を行うことが重要であると考えております。  次に、神奈川口構想についての御質問でございますが、羽田空港への連絡道路の整備につきましては、国土交通大臣、神奈川県知事、横浜市長、川崎市長で構成いたします、神奈川口構想に関する協議会のもとに設置されました空港アクセスワーキンググループの中で、都市再生予定地域の基盤整備を推進するための、京浜臨海部幹線道路網整備検討会議と連携を図りながら検討することとなっておりまして、具体的な着工時期や工法などにつきましても、その中で検討することとなっております。検討状況につきましては、逐次、情報を提供してまいりたいと存じます。  次に、地域の都市計画についてでございますが、当地区につきましては、神奈川口構想実現に向けた取り組みを行うとともに、緊急整備地域や都市再生総合整備事業の特定地区の指定を受けておりますので、これらの整備方針などに即して進めることとなります。新たな都市計画につきましては、土地利用計画の検討とあわせ、土地所有者や国、県などとの十分な連携のもと、検討してまいりたいと存じます。  次に、タウンミーティングについての御質問でございますが、総合計画の策定に先立ち、川崎市の現状と課題などについて説明するとともに、市民の皆様の御意見をいただくため、昨年の11月に東京都内における1回を含め、4会場においてタウンミーティングを開催したところでございますが、今回のタウンミーティングにつきましては、9月下旬から10月中旬にかけて各区ごとに開催するとともに、土曜を含め曜日や時間帯を分散して開催を予定しているところでございます。また、市民の皆様への広報につきましては、市政だよりの特別号の発行を初めとして、区役所や公共施設へのポスターやチラシの配置など、効果的な方法によりお知らせをし、より多くの市民の皆様の参加をお待ち申し上げております。  次に、十分な説明と意見要望を伺うための配慮についてでございますが、参加された皆様に御理解いただき、多くの御意見がいただけるよう、説明方法を工夫し、効果的な会議運営に努めてまいります。次に、いただいた市民意見につきましては、内容ごとに分類・精査した上、基本構想や実行計画に反映してまいりたいと考えております。以上でございます。 ◎髙阪三男 市民局長 市民局関係の御質問にお答え申し上げます。  初めに、川崎らしい文化・芸術の振興についての御質問でございますが、文化・芸術は人々に生きる喜びをもたらし、豊かな人間性と創造的な感性を育て、人生を豊かにしてくれるものであります。本市におきましても、現在、音楽のまち・かわさきを目指して、音楽を核とし、そこからさまざまな文化・芸術を発展させ、そのすそ野を広げるまちづくりを進めているところでございます。そうした文化・芸術を創造していく役割を担うのは、市民の皆様の自由で自主的な活動が基本であると認識しておりますので、行政は市民の皆様方の活動をトータルな観点から支援し、その環境条件を整備していく役割を担っているものと考えております。  また、文化・芸術活動は社会全体で振興を図っていく必要があり、地域社会を構成する企業もメセナ活動など文化・芸術活動の支援に大きな役割を果たしておりますので、新総合計画の基本方向であります、市民・行政・企業がそれぞれの役割を踏まえ、パートナーシップに基づき、これからの新しい川崎の文化・芸術をつくり上げていくべきものと考えております。したがいまして、これらの考えを踏まえ、川崎らしい文化・芸術振興のための条例を制定してまいります。  次に、区における地域の課題への対応についての御質問でございますが、区行政改革につきましては、本年5月に取りまとめられました区行政改革検討委員会の報告書「区行政改革の基本方向」を踏まえまして、現在、地域の課題をみずから発見し、解決できる区役所の機能強化につきまして、検討を進めているところでございます。この中で、区で解決を図る地域の課題につきましては、区長がみずからの権限と組織で解決できるものを基本的な考え方として、区役所を整備していくこととしております。したがいまして、こうした区役所整備の取り組みとあわせて、来年度から順次、区長への権限強化を図ってまいりたいと考えております。  また、地域の課題への取り組みについてでございますが、地域の課題の中には、1つの区にかかわる課題だけではなく、複数の区にかかわる広域的な課題も多くございます。そうした課題につきましては、事業局が中心となって、関係区と十分に連携をとりながら取り組んでいく必要があると考えてございます。以上でございます。 ◎植松了 経済局長 経済局関係の御質問にお答え申し上げます。  初めに、新たな福祉関連産業進出についての御質問でございますが、アビリティーズ・ケアネット株式会社は、本市進出決定の要因の一つといたしまして、市の福祉産業振興に対する取り組みに共感したことを挙げております。このような福祉関連産業の進出をより促すためにも、これまでの川崎市福祉産業研究会を発展させ、その会員企業だけでなく、広く産・学・公による福祉産業創出ネットワークを構築し、定期的に出会う場を設けていくことが重要と考えております。この出会いの場により、さまざまな福祉機器の開発や福祉サービス等に関して、それぞれ関心のあるグループが生まれ、新たな事業にもつながることが期待されるところでございます。  さらに、このネットワークへの参加を市外の関連企業にも積極的に呼びかけることによりまして、本市進出の呼び水としてまいりたいと考えております。また、市内中小企業等の高い技術・技能を生かした、川崎発福祉機器製品の創出を図るため、福祉機器メーカーや販売事業者と市内中小企業等との商談の場を提供する逆見本市を開催する予定であり、既に参加依頼のため、市内外の福祉機器メーカーや販売事業者への訪問を始めたところでございます。こうした機会をとらえまして、本市への進出についても積極的に働きかけてまいりたいと存じます。  次に、先進的環境産業の誘致についての御質問でございますが、本市の経済社会が持続的な発展を続けていくためには、環境分野の産業振興を新たな産業の柱として明確に位置づけ、必要な施策の展開を行うことが重要と認識しております。現在、市内には再利用再資源化、大気浄化、水質浄化等のすぐれた環境技術を有する企業が多数立地しております。これらの企業間のネットワークを形成することにより、情報発信等の機能を強化するとともに、特に臨海部におきましてはエコタウン構想をさらに推進し、排出物や副産物を原料として相互利用を促すことなどにより、地域全体のゼロエミッション化を図っていく中で、先進的環境産業の誘致にもつなげてまいりたいと考えております。  次に、ケイスクエア・タウンキャンパスと市内中小企業との連携についての御質問でございますが、新川崎・創造のもり内のケイスクエア・タウンキャンパスでは、14の研究プロジェクトが進められております。同キャンパスの研究者と市内中小企業との連携につきましては、これまで幾つかのコーディネートをしてきたところでございますが、具体的な事業化に向けた取り組み事例の一つといたしましては、白鳥助教授の分光分析技術を用いて、糖尿病患者の血糖値測定の苦痛を解消するための事業化を目指している市内中小企業がございます。今後とも、大学の技術シーズと市内中小企業の事業化ニーズとの結びつきを図ってまいりたいと考えております。  次に、産業起こしとしての新エネルギー政策についての御質問でございますが、経済産業省では、この6月に新エネルギー産業ビジョンを策定し、太陽光や風力などの新エネルギー産業を、2030年までに基幹産業の一角を占める3兆円ビジネスに育てる目標を掲げております。本市におきましても、持続可能な社会を担う産業の創出・振興として、この新エネルギー産業は環境産業とともに重要な分野と考えております。川崎は、このような新エネルギー産業を支えるものづくり機能の集積がございますし、特に優秀な基盤技術を持った中小企業も多数立地していることから、地域経済の活性化策の一つといたしまして、NEDO等の関係機関とも連携しつつ、新エネルギービジネスの創出育成に、今後取り組んでまいりたいと考えているところでございます。以上でございます。 ◎井野久明 健康福祉局長 健康福祉局関係の御質問にお答え申し上げます。  初めに、出生率についての御質問でございますが、平成14年の川崎市の合計特殊出生率といたしましては、1.27でございます。また、将来の合計特殊出生率といたしましては、国立社会保障・人口問題研究所が算出いたしました神奈川県における合計特殊出生率の仮定値を採用しておりまして、平成17年から平成22年までの間を1.25とし、平成22年から平成27年の間を1.26と推計しており、今後も全国平均を下回る傾向が続くものと考えております。  次に、「安心して子育てできる環境づくり」についての御質問でございますが、核家族化や地域における人間関係の希薄化の中で、子育てに自信を持てなくなり、相談を求めている親がふえている状況がございます。こうした中で、「安心して子育てできる環境づくり」は、子育てに対する親の不安や孤立感を解消するため、具体的な施策の展開の一つとしてお示ししたものでございます。したがいまして、これにより、まず安心を確保し、実際の施策展開の中で、御指摘のような前向きな取り組みとして、子育てに喜びや楽しみ、生きがいを感じられるよう、相談する場の充実や、地域における子育て支援の拠点づくりなど、各種施策を進めてまいります。  次に、新総合計画と第2期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画との整合性についての御質問でございますが、第2期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画は、老人福祉法、介護保険法等に基づき、平成15年度から19年度までの5年間を計画期間として策定したものでございます。新総合計画の策定に関しましては、この計画との整合性を図りながら、新たな課題への対応を含めてお示しすることとなっております。  次に、介護予防事業等についての御質問でございますが、高齢者が介護を必要としたり、状態が悪化することなく、生き生きとした生活を送ることを目的とした介護予防の取り組みは大変重要でございます。したがいまして、地域における多様な支え合いの仕組みづくりを基礎として、パワーリハビリテーションなど、効果的な介護予防プログラムの普及、地域での介護予防の具体的な取り組み、介護予防事業の評価など、積極的に位置づけてまいりたいと存じます。  次に、在宅介護サービスの充実につきましては、介護や支援を必要とする高齢者、虚弱傾向にある高齢者、健康・元気な高齢者など、すべての高齢者が、住みなれた地域で、尊厳を持ち、それぞれの状態像に応じて、自立した生活を送ることができるよう、在宅生活を支援するサービスの充実を図り、施設サービスとの連携による地域の介護力の充実を図ってまいりたいと存じます。  次に、施設介護サービスにつきましては、特別養護老人ホームや介護老人保健施設といった基盤整備に加え、ケアハウスや痴呆性高齢者グループホーム等の居住系サービスの推進、さらには高齢者が住みなれた地域の中で、通い、訪問、泊まり、入居等の多機能なサービスを、状態の変化に応じて利用することができる、いわゆる小規模多機能サービス等の充実を図るとともに、利用者の幅広い選択が可能となるよう、介護サービス全体の中で施策の充実を図ってまいりたいと存じます。これらの具体的な目標につきましては、新総合計画の3カ年実行計画でお示しするとともに、平成17年度に策定する第3期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画で位置づけてまいりたいと存じます。以上でございます。 ◎木下真 まちづくり局長 まちづくり局関係の御質問にお答え申し上げます。  初めに、武蔵小杉の新駅についての御質問でございますが、小杉駅周辺地区は、小杉駅南部地区、同東部地区、中丸子地区などの地域におきまして、市街地再開発事業や民間開発事業が具体的に動き出しており、商業業務や都心居住などの都市機能の高度な集積が具体化してきております。したがいまして、同地区は、川崎駅周辺地区とともに本市の広域的拠点と考えておりまして、そのためには、公共交通機能の強化は重要なものと認識しております。新幹線新駅につきましては、品川に新駅が開業したこともあり、非常に難しい状況ではございますが、引き続き要望してまいりたいと考えております。  次に、横須賀線の新駅につきましては、本市といたしましては、拠点機能の強化や市民の利便性向上のため、ぜひとも必要なものと考えており、JR東日本に対しまして、今までさまざまな機会をとらえて要望をしてきたところでございます。現時点では、まだ御理解をいただいている状況ではございませんが、引き続き強く要望を行ってまいります。また、新総合計画での位置づけにつきましては、市民の皆様の御意見などを十分踏まえ、今後の作成作業の中で検討してまいりたいと存じます。  次に、住宅基本計画と公営住宅ストック総合活用計画の位置づけ等についての御質問でございますが、川崎市住宅基本計画につきましては、総合計画を上位計画とする、住宅及び住環境の整備に関する基本方針を示すものとして位置づけております。川崎市住宅政策審議会から行財政改革プランの方針を踏まえた答申をいただき、住宅基本計画改定素案を作成し、広く市民意見を伺うため、パブリックコメントを実施するなど、新総合計画の策定に合わせ、現在、住宅基本計画の改定作業を進めているところでございます。住宅基本計画の具体的な実施目標及び実施計画につきましては、今後、関係各局等と十分調整を図りながら、新総合計画の実行計画において定めることとしております。  なお、公営住宅ストック総合活用計画につきましては、住宅基本計画に基づき、市営住宅の整備を効果的・効率的に進めるため、既存施設の総合的活用を図る計画として位置づけております。  次に、市営住宅のバリアフリー化についての御質問でございますが、川崎市公営住宅ストック総合活用計画において、全面的改善事業及び個別改善事業を活用手法として、バリアフリー化を進めております。まず、全面的改善事業につきましては、初めての事業として、中原区内の住宅を対象に現在居住者と協議中でございます。また、個別改善事業としてのエレべーター設置につきましては、これまでに高津区内で5基設置を行い、現在、宮前区内で1基の設置に向けた手続を行っております。以上でございます。 ◎脇領成明 建設局長 建設局関係の御質問にお答え申し上げます。  治水・雨水対策の推進についての御質問でございますが、本市では平成4年度に、学識経験者による、川崎市総合雨水排水対策検討委員会を設置しまして、総合的な雨水対策のあり方について答申をいただいておりまして、治水対策につきましては、この答申にもありますように、将来計画では、30年に1回程度発生が想定される時間降雨量90ミリへの対応を目指すこととされておりますが、現在、市内河川では時間降雨量50ミリに対応できる施設整備を進めているところでございます。一方、雨水対策につきましては、雨水滞水池や雨水貯留管などを設置し、時間降雨量52ミリから、10年に1回程度発生が想定されます時間降雨量58ミリに対応できる整備を進めているところでございます。  このたび新潟県や福井県を中心に発生した時間降雨量80ミリを超える豪雨につきましては、本市の現在の整備水準をいずれも上回るものでございまして、浸水被害の発生は避けられないものと考えております。しかしながら、集中豪雨から市民の貴重な生命と財産を守るため、多摩川や鶴見川の河川管理者であります国土交通省と連携を密にするとともに、河川、下水道の整備に加え、雨水貯留管、雨水流出抑制施設の設置など、総合的な雨水排水対策を引き続き推進し、浸水被害の軽減を図ってまいりたいと存じます。  なお、現在、多摩川、鶴見川及び市内河川を対象としまして、浸水のシミュレーション、避難場所及び情報の伝達方法等を表示しました洪水ハザードマップを作成しているところでございますので、水害発生時に市民が円滑かつ迅速な避難が行えるよう、今後、周知を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。 ◎君嶋武胤 川崎区長 川崎区役所関係の御質問にお答え申し上げます。  区長の総合調整機能の強化に関しまして、所見についての御質問でございますが、地域課題への的確な対応のためには、市民に身近なところで、できるだけ速やかに解決を図ることが求められておりまして、そのために区長の権限強化や、総合調整機能の強化という方向が打ち出されてきたものと考えております。昨年度から、本市におきまして、予算要求に当たって、地域課題を区役所として提起できるようになり、今年度は企画調整担当の組織が設置されましたが、地域課題の内容によりましては、関係局の持っているさまざまな施策や予算、また、市民の力を総合的に活用する必要があり、区長としての調整力が試される、そういう状況になってきているというふうに考えております。  しかし、地域課題解決へ向けた調整局面におきまして、区長の権限が明確になり、各局と区が地域課題解決へ向けて、それぞれの持つ情報を共有し、予算、施策の面で協力するという風土ができていかなければ、区長による総合調整機能は十分には発揮できないのではないかと考えております。そのために、今後、区役所におきましても、各局におきましても、具体的事例での取り組みを通して、総合調整のあり方について経験を重ねる必要があると考えております。こうした経験の積み重ねを経て、区役所・各局の役割分担がより明確になり、区長の総合調整機能の強化がなされていくと、そのように考えております。以上でございます。 ◆岩崎善幸 議員 おのおの答弁ありがとうございました。それでは再質問をさせていただきます。  まず、風水害対策でございますが、建設局長から、今回の新潟、福井を中心とした時間降雨量80ミリを超える豪雨については、浸水の被害は避けられないとの答弁がありました。地球温暖化の影響で、本来数十年に一度であるべきはずの豪雨が、近年多く発生する可能性が非常に高まってきたわけであります。被害が避けられないのであれば、その損失を最小限に食いとめなければなりません。そこで伺いますが、避難勧告は、だれが、どのタイミングで判断し、発動するのか、地域住民に対する周知徹底への取り組み、災害弱者に対する避難誘導体制など、具体的に盛り込むべきと思いますが、市長の見解を伺います。  教育に関してであります。先般、NHKの「課外授業ようこそ先輩」というシリーズが放映をされておりまして、手品師のマギー司郎さんが出演をした番組が放映されました。その内容に感動したのは私ひとりではないと思います。さまざまな分野で一流と目される人々が母校の小学校の教壇に立ち、御自身の体験を通して、人間同士の触れ合いや日々の努力などから、生命のたっとさがにじみ出るこの番組、子どもたちに、生きる力を取り戻すには、このような「体験的人間教育」の実践が今求められております。また、この実践こそ、素案にあります家庭・学校・地域のつながりを深めるキーワードになると考えます。川崎版「課外授業ようこそ先輩」の実践について、市長に見解を伺います。  基本構想素案でありますけれども、これも今、私も質問をし、そして答弁もいただきました。よく練られた構想と思いますが、しかし、苦言を呈せば、余りにもフレームといいますか、枠組みにこだわり過ぎる嫌いがあります。それはなぜかと言えば、例えばISO9000のように、意識改革を伴うシステムが新計画には組み込まれておりません。あるいは見えません。新計画の実行、実現へリーダーシップをとるのは行政の役割の一つであります。それを実践するのは、市職員一人一人であります。その職員の意識改革なくして新総合計画は成り立ちません。具体的に意識改革をどのように進めていくのか、市長の取り組みを伺います。以上です。 ◎阿部孝夫 市長 まず、災害対策についてのお尋ねでございますけれども、新潟・福島豪雨や福井豪雨で、そのおくれについて指摘されております避難勧告の発令や災害弱者の避難対策につきましては、重要な課題と認識しておりまして、本市の地域防災計画におきましても具体的に定めているところでございます。今後、被災地からの報告等を検証の上、本市の状況に照らし、新総合計画の理念を踏まえて、地域防災計画を再点検して、見直しを図ってまいりたいと考えております。  次に、地域の人材を生かした教育活動についてのお尋ねでございますけれども、本市では、学校を卒業した後も地域社会で活躍している先輩や、技能、技術を持っている方々が多くおられます。この方々を学校にお招きして、学生時代の学びのことや、社会での体験や専門的な話をお聞きしたり、実際に教わりながら体験活動をしたりすることは、子どもたちに感動を与えることと思います。今後も、川崎市内に在住する著名人など、地域の人材を生かした活動を一層進めるよう、家庭・学校・地域が連携していくことが、大変重要であると、そのように認識しているところでございます。  次に、職員の意識改革についてでございますけれども、新たな総合計画は、改革によって目指す川崎再生の姿を具体的に示すとともに、それに向けた新たな市政運営の基本方針として策定するものでございますが、この計画を着実に推進していくためには、効果的で効率的な施策の立案、実施に携わる職員の意識改革や人材育成が基本になるものと考えております。職員の意識改革につきましては、私は就任して以来、機会あるごとに、スピーディーな仕事、スリムな体質、シンパシーを持った親切な対応をあらわす3S運動を推進し、市民の立場に立った親切な対応を職員に徹底するよう、努めてきたところでございます。また、「市長への手紙」に時々指摘されておりますので、その都度、確実に対応するようにという指示を出しているところでございます。  具体的には、職員自身が市民の立場に立って、自分自身が実施している事務事業を再点検する川崎再生ACTIONシステムの実施や、今年度から試行実施しております、新たな人事評価制度及び人材育成計画などにより、職員の意識改革に向けた取り組みを一層強化してまいりたいと思っております。新たな総合計画の着実な推進を通じて、川崎に暮らす人々が活力と潤いのある生活を送ることができるまちへと発展させていくためには、問題意識を常に持ち続け、果敢に市民の立場に立って、課題解決に取り組んでいく職員の育成が必要でございますので、なお一層努力してまいりたいと考えております。以上でございます。 ◆岩崎善幸 議員 答弁大変ありがとうございました。  風水害対策でありますけれども、被害を食いとめるために、しっかりとした見直しをよろしくお願いしたいと思います。  それから、地域人材を生かした教育活動、これについても、できれば実行計画の中に入れていただいて、進めていただければと思います。そしてまた、職員の意識改革ですが、なかなかこれも進んでいるようでまだ進んでいない。窓口業務を見ますと、なかなかまだまだ徹底されていない、そういう部分もあります。したがいまして、その辺の意識改革をしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  最後に、新たな計画でございますけれども、これが生活者の視点、そしてまた、市民の目線に合った計画にまとめられるよう、より一層の努力をお願いをして、私の質問を終わります。 ○佐藤忠 副議長 お諮りいたします。暫時休憩いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○佐藤忠 副議長 御異議ないものと認めます。およそ30分休憩いたします。                 午後3時5分休憩                 午後3時36分再開 ○坂本茂 議長 ただいまから全員説明会を再開いたします。  休憩前に引き続き、各会派代表による質疑を行います。発言を願います。 ◆市古映美 議員 私は、日本共産党を代表して、基本構想素案について質疑を行います。  最初に、基本構想素案の考え方では、「民主主義のもとでの人権の尊重と平和への貢献を、構想を貫く根本的な理念」としておりますが、これは、1つは基本的人権の保障、2つは議会制民主主義、地方自治、情報公開、参加、司法の独立など、民主主義を守る、3つは平和主義、この3つの原理を「構想を貫く根本的な理念」とするということと同じ内容と理解してよろしいのでしょうか、お伺いをいたします。もし相違がある場合は、どのように違うのかお答えください。  次に、この間、国でも自治体でも、公務や公共サービスの民間化、規制緩和等が推進されてきました。例えば、建築確認などの許認可や検査・検定業務の民間団体への委譲、さらに指定管理者制度の導入などによって、これまで行政や公務員しかできないと考えられてきた権力的業務さえ、株式会社を含む民間団体に担われるようになってきており、自治体の果たすべき本来の役割、責任が根底から掘り崩されてきています。したがって、自治体の本来の役割は何か、行政や公務員の守備範囲は何かということを改めて確認し、その上に立って基本構想を策定することが大変重要になっていると考えます。そもそも論でいうと、国にせよ、自治体にせよ、行政の役割は、少なくとも国民生活の向上発展、憲法前文にある国民の福利や権利、利益の実現にあると考えます。そして、そのために行政は、社会経済に介入しながら、積極的な活動を多面的に展開しなければならないはずです。その際の行政のなすべき仕事、業務を決める基準は、日本国憲法に求められるもので、特に憲法25条の、生存権を中心とする国民の基本的人権の保障が重要な視点になるものと考えますが、見解を伺います。  次は、計画の前提となる財政状況の分析についてです。基本構想素案では、厳しい財政状況の原因について、「景気変動に伴う単なる一時的な税収減によるものではなく、構造的な経済問題とともに、長年継続してきた行政運営のしくみの制度疲労や、少子高齢化の進行という根本的なところにある」としています。しかし、何が構造的な経済問題なのかについて、詳細な記述はありません。その前段で、バブル崩壊後の景気対策について、「十分にはその効果を発揮せず、その結果、市債残高を増嵩させ、一層の財政の逼迫を招く要因となって」とありますが、これが本市の厳しい財政状況の原因と認識しているのか伺います。  次に、厳しい財政状況の原因として、長年持続してきた行政運営の仕組みの制度疲労と少子高齢化の進行に根本的な原因があるとしています。しかし、ここでも制度疲労の具体的内容については明らかにされていません。行財政改革プランでは、歳出構造硬直化の要因として大幅な扶助費の増加を挙げ、投資的経費については、財政硬直化の要因の一つとして、むだな公共事業、過度な普通建設事業がよく指摘されるところですが、川崎市の状況はさほど単純ではないとしていることからも、制度疲労とは扶助費の増加を示しているのか伺います。その際、扶助費と普通建設事業費に占める一般財源の比較では、バブル崩壊後の1991年度から2002年度までの12年間の決算ベースで、扶助費に占める一般財源が上回るのは1998年度と1999年度の2年間だけで、あとの10年間は普通建設事業費に占める一般財源が上回っており、特に1991年度は約5倍、1992年度も約4倍、1993年度以降も3倍から2倍という水準が4年間も継続したことを念頭に置いて、お答えください。少子高齢化については、65歳以上でも就業している人もあることから、就業人口と非就業人口の対比こそ重要と考えますが、その場合の川崎市の実態について伺います。  政策に反映すべき基本的視点及び基本政策体系について伺います。「新たな時代にふさわしい価値観や行動規範を創造し、これを認め合うことが重要になります」と繰り返し述べられていますが、このことは具体的にどういうことなのか、前回の代表質問においては明確な答えはありませんでした。市民にわかりやすくお答えください。  臨海部エリアについてはその機能を高めるとし、「首都圏における地理的優位性などを活かして国際競争力の強化などに向けた取組を進めるとともに」として、さまざまな施策の展開が示されています。強力な推進の立場です。臨海部の再生には、基盤整備だけでも莫大な投資が必要なことは共通の認識と思います。中間報告では、社会経済環境の変化の中で、「今後は大幅な税収増が望めないことから、将来に過大な負担を残すことのないような取組が必要」と述べています。これは、川崎の行財政運営全般に言っていることと思います。川崎ではこの間、KCT、FAZ事業など、国策に乗って開発を進め、事実上失敗してきました。コンテナターミナルだけでも約300億円のお金をかけて整備し、さらに今明らかになっているKCTの負債総額は80億円にもなっています。このことへの反省も不十分なまま、また大規模開発への投資を聖域にすることは、将来に過大な負担を残すことになり、そのことは基本構想の土台をみずから切り崩すことになると思いますが、伺います。  少子高齢化の進行や人口減少過程への移行が強調されておりますが、自治体としてこのことを少しでも食いとめるために努力することこそが必要と思います。この川崎で、安心して子どもを産み育てていける子育て環境をどうつくっていくのか、出生率が全国平均から見てもさらに低い川崎の状況、事の深刻さから見て、思い切った具体的施策の展開こそが必要と思いますが、伺います。  「相互信頼に基づき自立と自己決定を尊重する」とありますが、中間報告では「市民や地域と行政との間の相互信頼に基づいて、しっかりとしたパートナーシップを確立し」とありましたが、基本的考え方ではここに企業が入りました。あえて企業を入れた理由は何か伺います。  自助・共助・公助のバランスのとれた地域福祉システムの構築が言われています。憲法の人権の基礎には、自分のことは自分で決める自己決定権があり、その上に各自が自由にそれぞれの幸福を求める権利―幸福決定権があります。それを可能にするためには最低必要な条件があり、その条件を欠き、他人や社会の援助を受けざるを得ない人に対して援助し、他者に依存しなくても自由に幸福を追求していける条件を整備することが、憲法25条生存権規定の目的だと思います。素案の考え方に強調されている「相互信頼に基づき自立と自己決定を尊重する」とは、個人でできることは個人で、家族でできることは家族で、地域でできることは地域で、個人と家族と地域でできないことを行政が、という、補完性原理のことと思いますが、本当にこのことを成功させようとすれば、補完性原理を支える補助制度を行政としてきめ細かに対応していくことこそが必要と思います。  具体的に伺います。地域のことは地域で解決しようということですが、それに見合った仕組みづくりと予算化をどうするかにかかっています。2003年度予算では、道路補修費は区長権限にいたしましたが、予算は減らされたため、煩雑になったのは手続で、肝心な地域要望にはこたえられなかったという、笑うに笑えないことが起きました。各区では、この間、まちづくり推進委員会などが設けられて、区民委員がまちをウオッチングし、改善すべきところ、こんなふうにしたら住みやすくなるのではなど、地図に落としたり映像化して発表しています。しかし、その提案を生かすシステムはできておりません。区民会議も議論はされておりますけれども、それだけでなく、住民のさまざまなまちづくりの提案にコーディネートシステムをつくること、このコーディネート代を補助して、まちづくり提案を受けとめる行政としての窓口を含めたルールをつくることが必要ではないかと思いますが、伺います。  同時に、地域の経済をどう活性化させていくのかに本格的に取り組むことが、自治体としての責務です。例えば、まちの大工さん、建設業の人たちが、リフォームや地震対策で積極的な役割を果たすことができる仕組みづくりを進めることも、小さな予算投資で大きな効果を生み出すわけですから、補完性原理を支える補助制度として大切な視点と思いますが、伺います。  南武線の連続立体交差事業についてですが、京急大師線の同事業との関連も含め、新たな総合計画の中でどのように位置づけられるか検討するとの市長見解が示されていました。政策の基本方向「基幹的な交通体系を構築する」の中で「南武線の利便性の向上に向けた取組の促進」とありますが、南武線連続立体交差事業の位置づけについて伺います。  「市民が実感できる効果的な政策を経営的視点に立って創造する」ということについてです。住民を「顧客」としておりますが、これは行政が公共サービスを売り、顧客がそれを買うこと、つまり受益者負担が前提にされていると言えるのではないでしょうか、伺います。さらに、国民・住民は主権者・納税者・顧客の3つの顔を持つと言われておりますが、顧客のみが強調され、一番大切にされなければならない主権者の視点が極めて弱いのではないかと思います。主権者としての位置づけを明確にすべきと思いますが、伺います。  「施策展開の着眼点を画一性重視から多様性重視へと転換しながら、身近な日常生活圏における課題解決に向けてきめ細やかな取組」が必要としていますが、身近なところを見ても、保育園や特別養護老人ホームの圧倒的不足、毎年何十倍に応募倍率が上がる公営住宅の不足など、基本的な基盤整備も追いついていないのが現状です。多様性重視という言葉でカムフラージュすることはできないと思いますが、伺います。  セーフティーネットについて伺います。基本構想案では、中間報告の基本的視点のところにあった「安心な暮らしを守り、保障するセーフティネットを将来にわたって維持していくことも大変重要である」という文章が消えて、基本政策に移行しています。憲法25条では、一人ではなかなか生活できない人に、自己決定、幸福追求をする前提条件をつくり出すことを行政の責任だとしています。個人の自立・相互扶助を強調して、行政の責任を後退させることは憲法の精神に反するものです。この行政としての責任、セーフティーネットについてどのような検討がされているのか伺います。行政評価、民間評価ですが、市民参加はどう保障され、どうチェックできる仕組みをつくるかについて見解を伺います。以上で質問を終わります。 ◎阿部孝夫 市長 それでは、私から、ただいまの共産党を代表されました市古議員の御質問にお答えいたします。  まず、まちづくりの基本目標の考え方についてのお尋ねでございますけれども、この考え方は、基礎的自治体である川崎市において、今後のさまざまな環境変化に対応するとともに、地域の課題を適切に解決しながら、総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想に掲げるべきまちづくりの基本目標として述べさせていただいたものでございまして、御指摘のように、民主主義のもとでの人権の尊重や平和への貢献という我が国全体が追求すべき基本的な考え方を、川崎市という地方自治体の立場から、構想を貫く根本的な理念として位置づけていくことを表現したものでございます。  次に、行政のなすべき仕事の基準についてのお尋ねでございますが、憲法に規定される生存権を保障するための具体的な仕組みとして、さまざまな社会保障の制度がつくられており、時代状況や社会環境の変化に対応しながら、こうした制度を維持していくことが行政の責任であると考えております。一方で、このような制度に基づきながら、市民福祉の増進や、よりよいまちづくりに向けて取り組むさまざまな施策につきましては、行政を取り巻く厳しい財政状況や環境変化の中にあっても、多様なニーズや価値観にこたえながら、その効果を最大限に発揮していくために民間部門の力を活用するなど、最適な手法を選択していくことが重要であると考えております。  次に、財政状況についてのお尋ねでございますが、日本の経済成長に合わせ、右肩上がりに増加を続けてまいりました本市の市税収入も、平成5年度に、指定都市移行以来初めて前年度割れをし、その後平成9年度に一時的な増収が見られましたものの、現在まで低迷を続けている状況にございますが、これは景気悪化のみならず、産業の空洞化等による影響もあるものと考えております。これに収益事業などの低迷による繰入金の減などが重なって、本市の歳入構造は近年大変厳しい状況に置かれております。  一方、歳出におきましては、バブル崩壊後の景気対策や、市民生活の向上に向けた道路・街路事業、廃棄物処理事業、公園整備事業などに活用した市債の償還による公債費の増や、高齢者人口の急速な増加や景気の低迷等による生活保護扶助費等の扶助費の増、さらに市民サービスを直営事業で実施する割合が高いことに起因する人権費比率の高さなどにより、本市の歳出構造は大変硬直化している状況にございます。したがいまして、これら歳入歳出両面における構造的な要因が相まって、本市の厳しい財政状況を招いているものと認識いたしております。  次に、新たな時代にふさわしい価値観についてのお尋ねでございますが、我が国全体が本格的な少子高齢社会に突入するとともに、低成長経済への移行が進み、また、今後は人口減少過程へ移行することが明らかになる中、市民の方々の安全で安心な暮らしを確保していくためには、今までの成長を前提としたさまざまな価値観から、持続型社会を目標とする新たな価値観へと転換し、これを市民の方々と分かち合い、共有していく必要があると考えております。このような考え方の例といたしましては、自助・共助・公助のバランスのとれた地域社会をつくり上げ、その中で、市民の方々が地域の主役として、課題解決や身近なまちづくりに取り組んでいただくことや、高齢化が進行する中にあっても、シニア世代の方々が豊かな経験と知識を生かして、地域で活躍できるような仕組みをつくり上げていくこと、さらに、産業活動の中に地球環境配慮の考え方を組み込むことによる、新たな産業モデルの創出などが挙げられるものと考えているところでございます。以上でございます。
    ◎砂田慎治 総務局長 総務局関係の御質問にお答え申し上げます。  制度疲労についての御質問でございますが、右肩上がりの経済成長が終えんし、低成長経済への移行や少子高齢化の急速な進行、さらには人口減少過程への移行など、かつて経験したことのない大きな社会経済環境の転換期を迎える中、税収の高い伸びなど、今までの、成長を前提としてつくられたさまざまな制度や施策を抜本的に見直していくことが求められております。このように制度疲労は、かつての高度経済成長を前提として形づくられたハード・ソフト両面にわたる施策、制度全般に及んでいるものと考えております。  こうした中で、本市におきましても、かつての豊かな税財源を背景に進められてきた諸施策やサービス提供のあり方を見直すことは、今日の危機的な財政状況を克服し、安定した財政基盤の確立によって市民生活を守るために不可欠であると認識しているところでございます。したがいまして、行財政改革プランで掲げた「行政体制の再整備」、「公共公益施設・都市基盤整備の見直し」及び扶助費を含めた「市民サービスの再構築」の3つを柱に、今後とも継続して改革を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。 ◎北條秀衛 総合企画局長 総合企画局関係の御質問にお答え申し上げます。  初めに、就業人口と非就業人口についての御質問でございますが、国勢調査における総人口は、平成7年では120万2,820人、平成12年では124万9,905人であり、そのうちの就業人口及びその総人口に占める割合は、平成7年では65万979人、54.1%、平成12年では64万9,403人、52.0%であります。また、15歳未満人口を含む非就業人口及びその総人口に占める割合は、平成7年では55万1,841人、45.9%、平成12年では60万502人、48.0%であります。これを比較しますと、平成12年における就業人口では1,576人減少し、非就業人口では4万8,661人増加していることから、就業者は0.24%減少し、非就業者は8.8%増加しております。  次に、臨海部再生についての御質問でございますが、臨海部の再生につきましては、産業再生、都市再生、環境再生を基本の取り組みとして、立地企業の活性化・国際競争力の強化を支える新産業分野の誘致、新たな産業を生み出す研究開発拠点の形成を目指し、雇用の場の確保や税源培養を図ることとしております。これら臨海部の再生に必要な都市基盤施設整備につきましては、羽田空港再拡張・国際化への対応や、民間事業者による土地利用転換などの動向を見きわめながら、基盤施設について整備してまいりたいと考えております。具体的な整備の検討に当たりましては、民間投資の促進の誘導や整備に伴う開発者負担、国と地方の負担のあり方など、新たな整備手法、整備主体の導入について検討を行うとともに、事業評価を実施するなど、効果的、効率的に臨海部の再生が図られるよう、総合的な観点から積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、パートナーシップ確立に関し、企業を入れた理由についての御質問でございますが、近年、企業には、社会的責任を果たすことや環境配慮の取り組み、法令遵守などが強く求められており、地域社会におけるよりよいまちづくりに向けた役割を担うことや、持続型社会の実現に貢献することが期待されているところでございます。こうしたことから、少子高齢化の急速な進行や低成長経済への移行など社会経済環境が変化する中にあって、多様なニーズや新たな地域課題に対応していくためには、市民や地域とともに企業の持つ知恵と力を生かし、力を合わせて取り組んでいくことが必要であり、しっかりとしたパートナーシップを確立し、協働の取り組みを進めていくことが重要であると考えているところでございます。  次に、「顧客」という表現などについての御質問でございますが、地方分権の流れの中で、市民、企業、行政等のさまざまな主体が協働しながら、地域の特性を踏まえたまちづくりを進めていくことは、ますます重要な課題となってきております。本市におきましても、市民本位の自治のまちづくりを進めることを基本方針としながら、川崎市民のだれもが生きがいと幸せを感じられるような取り組みを推進してまいりたいと考えております。市民本位の自治のまちづくりを進めていく上では、主権者としての市民が基本であると考えておりますが、一方で「市民」は、地域社会におけるパートナーシップの担い手であり、地域での自立的な活動の主役であり、行政サービスの受け手でもあるといった多様な側面を有しております。基本構想素案では、行政サービスの受け手としての「市民」の側面をとらえた場合に「顧客」という表現を用いておりまして、行政サービスの顧客としての市民の満足度や実感を重視した施策展開を行っていくことが重要であると考えております。  次に、施策展開の着眼点についての御質問でございますが、市民一人一人の状況や価値観、生活様式等の違いにより、市民ニーズは多様化・複雑化してきており、こうした多種多様なニーズに的確に対応していくためには、今まで行政が主体的な役割を担い、均一的かつ一律のサービスを提供することに力点を置いていたサービス提供手法から、行政を初め民間事業者、NPO、市民ボランティアなどの地域におけるさまざまな事業主体や担い手との協働により、市民の求める多様で質の高いサービスを提供していく手法へと転換していく必要があるものと考えております。したがいまして、保育や高齢者介護、居住環境の整備などにおきましても、将来にわたって持続していくために、限られた資源や財産を有効に活用し、行政を含む多様な提供主体が、効率的で効果的なサービスを、市民の選択によって提供できるよう転換してまいりたいと考えております。  次に、セーフティーネットについての御質問でございますが、憲法に規定される生存権を保障するため、社会保障を初めとする制度を、安心な暮らしを守るセーフティーネットとして維持していくことは、行政の責務であると認識しております。こうした制度のもとで取り組むさまざまな施策につきましては、少子高齢化の急速な進行や低成長経済への移行など社会経済環境の変化に伴い、行政だけではなく、市民活動団体やNPO、ボランティアなど多様な団体・組織や民間企業とのパートナーシップに基づく取り組みを進めることにより、よりよい成果を共有でき、市民が安心な暮らしを実感することができるものと考えております。また、市民の個人としての尊厳を最大限に尊重し、市民自身や地域コミュニティーなどの小さな単位でできることはその単位での自助・共助にゆだね、小さな単位では解決できないものや非効率的なものを公助として、行政が補完していく仕組みをつくり上げていくことが必要であると考えております。こうした自助・共助・公助のバランスのとれた地域社会に向けて、公助としての行政の役割、責務をしっかりと果たすことにより、市民の安心な暮らしを保障するためのセーフティーネットを維持してまいります。  次に、行政評価に係る市民参加についての御質問でございますが、評価制度につきましては、現在、庁内で取り組んでいる川崎再生ACTIONシステムを土台として、総合計画の的確な進行管理、評価が行えるよう、新たな施策体系に沿ったシステムとして構築してまいりたいと考えております。評価に係る市民参加につきましては、評価の要点である目標や成果指標等を可能な限り具体的に設定し、評価結果を議会に報告するとともに、市民に公表し御意見をいただくなど、市民にわかりやすい評価制度の構築、運営を目指してまいります。以上でございます。 ◎髙阪三男 市民局長 市民局関係の御質問にお答え申し上げます。  区民提案をまちづくりに生かすシステム等についての御質問でございますが、これまでも、地域課題を発見し、解決できる区役所づくりを進めてきたところでございます。平成16年度の予算編成からは、従来の区要望反映システムに加え、区民からの要望、地域団体やまちづくり推進組織などで取りまとめられました意見や提案を踏まえた、地域課題調書による予算要求を実施したところでございます。この地域課題予算要求システムにつきましては、魅力ある区づくり推進事業とは別に、各区のまちづくりに関する課題を解決するための新しい取り組みでございまして、平成16年度には7区で合計10事業を実施するものでございます。今後、市民と行政が協働し、地域課題の解決に取り組むことが、より一層重要になると考えておりますので、区民提案をまちづくりに生かす最適な仕組みを構築してまいりたいと存じます。以上でございます。 ◎植松了 経済局長 経済局関係の御質問にお答え申し上げます。  リフォーム等にかかわる補助制度についての御質問でございますが、住宅リフォーム助成制度につきましては、地域建築業振興策の一つといたしまして、現在、建築業振興策研究会の中で検討を行っているところでございます。これまでの研究会の中では、安全で高品質な住宅の普及といったまちづくり上の意義はあるものの、大手企業を中心に工事費の大幅な値引きが行われている現状や、地元建築業者の経営革新を図る面から見ますと、その効果を疑問とする意見も聞かれているところでございます。したがいまして、具体的な制度の検討に当たりましては、施策の目的をよく議論し、市民の共感を得る必要があるものと考えております。以上でございます。 ◎井野久明 健康福祉局長 健康福祉局関係の御質問にお答え申し上げます。  子育て環境づくりについての御質問でございますが、本市におきましては、平成10年にかわさき子ども総合プランを策定し、すべての子どもと家庭を対象とした総合的な子育て支援策の推進を図っているところでございます。また、国におきましては、次代の社会を担う子どもが健やかに育成される環境を形成するため、昨年7月に次世代育成支援対策推進法を制定し、各地方公共団体に行動計画の策定を義務づけております。本市におきましても、現在、かわさき子ども総合プランの実施状況や子育て環境の変化などを踏まえ、行動計画の策定に取り組んでいるところでございます。具体的な施策の展開につきましては、「安心して子育てできる環境づくり」、「子どもが健やかに育つ環境づくり」、「子どもの育成を支援する体制づくり」を基本に、子育て環境の整備を目指して、新総合計画の実行計画及び次世代育成支援対策行動計画の中に位置づけてまいりたいと存じます。以上でございます。 ◎脇領成明 建設局長 建設局関係の御質問にお答え申し上げます。  JR南武線連続立体交差事業についての御質問でございますが、連続立体化による交通渋滞の解消、交通の円滑化による環境改善、地域の一体化の促進などは重要な課題であると認識をしており、工法、費用対効果の分析、次期区間の選定等の課題の検討を行ってまいりました。しかしながら、JR南武線を立体化するには多大な事業費が必要となるため、現在事業を進めております京浜急行大師線連続立体交差事業と同時に事業を行うことは、現在の財政事情を考慮いたしますと、大変厳しい状況と考えております。今後、京浜急行大師線連続立体交差事業の進捗を見据えるとともに、社会経済状況を視野に入れながら、調整を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。 ◆市古映美 議員 それではまず、意見ですけれども、「社会経済環境の変化に対する認識」の中で、これまでの仕組みを見直す根拠として、「人口の総数や年齢構成が大きく変化し、いわゆる「支える人」と「支えられる人」とのバランスが変わる」ことを強調しております。このことを殊さら印象づけるために添えられた資料では、「今の制度のままでは、世代間の役割分担や負担に大きな影響を及ぼすことになり」とも強調しております。しかし、総人口に占める就業人口の割合は、答弁であったように、1995年の54%が2000年の52%と、さほど大きな変化はなく、むしろ支える人をふやすための若者の不安定雇用の解消と男女の賃金格差の是正こそ、重要な課題に位置づけるべきであることを指摘しておきます。  それでは、市長に再度伺います。財政状況についてですが、歳入歳出両面における構造的な要因が相まって本市の厳しい財政状況を招いている、とのことですが、コンテナターミナルの基盤整備に約300億円、川崎縦貫道路の市費負担は既に517億円を上回っております。また、汚職の舞台となった縦貫道路の代替地取得費と利息を含めた諸経費の合計は234億円に上っております。市長は、これらについても構造的な要因と認識をしているのか伺います。また、福祉施策は、国の施策が不十分なために、市として市民生活を支えるために実施してきた経過がありますが、福祉施策の中で、成長を前提としてつくられた制度や施策とはどのようなものがあるのか伺います。コンテナターミナルや川崎縦貫道路こそ、成長を前提とした施策の典型と考えますが、伺います。  引き続き伺います。行政の言う新しい価値観は、今の答弁でわかりました。しかし、さらに、市民に対して行動規範を創造し、これを認め合うことが重要としています。行動規範とは「行動などの拠るべき基準」ということですが、こういうことまで市民に対して明示をすることは、価値観の押しつけになると思います。ここまで行政が踏み込んでいいのかお伺いをします。  総合企画局長に伺います。臨海部再生についてですが、雇用の場の確保や税源培養を図るために行うとのことですが、コンテナターミナルとFAZ事業も雇用の創出、税源培養のためと推進され、その結果KCTは破産手続に踏み切らざるを得なくなり、ファズも固定資産税は2分の1減額、権利金も借地料も免除という実態であり、税源培養の金看板のメッキはもろくもはげ落ちています。このことの総括はどのように行ったのか伺います。臨海部再生にかかわる都市基盤整備の規模は、コンテナターミナルとファズの比ではありません。この二の舞にならないと断言できるのか、また、その根拠についても伺います。  企業の社会的責任について、特に大企業ではリストラや合理化が進められ、あげくの果ては勝手にこの川崎から出ていってしまう。商店街に加盟もしないで、商店街の街路灯の電気代も支払わない企業が存在する中で、もっとその責任を明確にして指導できるシステムをつくることに行政として責任を果たしてほしいと思いますが、伺います。利益を目的とした事業を行う企業と、主権者である市民とを同列のパートナーとして位置づけることはできないのではないかと思いますが、伺います。  「顧客」という表現ですが、いろいろ言っても、これは行政が公共サービスを売り、顧客がそれを買うということ、つまり受益者負担が前提になっているということです。経営的視点と、この「顧客」という言葉が大変強調されております。市民本位の自治のまちづくりを進めていく上では、主権者としての市民が基本であると考えている、と今答弁がありましたので、基本的視点のところにこのことをきちんと明記すべきと思いますが、伺います。  施策の展開の着眼点についてですが、例えば、入所させようと思っても保育園が不足して入れない。特別養護老人ホームも、保険料はきちんと払っているにもかかわらず、申し込んでも入れない。市民は選択のしようがないのではないでしょうか。高齢者を見ても、ショートステイなど在宅サービスの多様なニーズにこたえていくためにも、基盤整備が不足していることが矛盾の根源になっています。市民が選択できたり、多様なニーズにこたえていくためにも、不足している基盤整備を行政の責任で早急に進めることこそ重要ではないかと思いますが、伺います。  子育て環境づくりについて伺います。本当にこれは思い切った施策の展開をしないと、大変なことになってしまうと思います。川崎市の民生支部が昨年行った、3歳未満児の子どもを持つ世帯2,000件を対象にした保育要求地域実態調査の中でも、「保育料や教育費が高過ぎる」59.7%、「子育てにお金がかかり過ぎる」36.5%と、費用面で最も負担を感じていることがわかります。「子育てしにくい社会だ」34.9%、「住宅が狭い」28.3%、「子育て機関・保育所が少ない」24.9%など、子育て環境の悪さと子育てをしながら働く条件がないことを訴えていると思われます。「年収600万円以上の家庭でも決して生活は楽でない。夫は深夜にならないと帰宅しない。マンションのローンや高い家賃が大変で」と訴える世帯がたくさんいます。こういった子育て世帯の要望にどうこたえていくのか。例えば、所得制限なしで就学前までの医療費の無料化を実現する。幼稚園の保育料補助も、所得制限なく思い切って実施をし、ふやす。学校給食でも父母負担の軽減支援などを行うなど、思い切った施策の展開こそ求められていると思いますけれども、お伺いをいたします。 ◎阿部孝夫 市長 財政状況等についてのお尋ねでございますけれども、地方自治体は、福祉施策、教育施策あるいは都市基盤整備等、市民生活を向上させるためのさまざまな施策を行っておりますが、本市においてもそれら施策間のバランスを図りながら、効率的、効果的な事業選択により自治体運営を進めていくということが重要であると考えております。こうした中にあって、港湾施設や道路施設などの基盤整備も、地域の発展を支える社会資本整備として大変重要な役割を担っているという考え方に基づいた政策判断の中で、事業決定されたものでありますけれども、その後に到来をした低成長経済のもと、その整備に要した市債の償還に係る公債費が、結果として義務的経費の割合を高めたという点において、構造的な要因であったと考えております。また、福祉施策につきましても、税収や人口の増加など成長を前提として形づくられ、今日まで市民サービス向上のために推進してまいりましたが、いわゆる、支える人と支えられる人との構成割合の変化や、低成長経済への移行などの要因により、これまでのサービス提供のやり方や内容では、将来にわたって維持することが構造的に困難になってきているものと考えております。いずれにいたしましても、ハード・ソフト両面において検証し、時代状況の変化に的確に対応した施策の再構築を進める必要があると考えております。  次に、行動規範についてのお尋ねでございますけれども、社会経済環境が変化する中、「誰もがいきいきと心豊かに暮らせる持続可能な市民都市かわさき」を実現していくためには、今までの発想や考え方から転換しながら、市民、地域、企業、行政のパートナーシップに基づく協働の取り組みを進めていくことが不可欠となると思います。川崎に暮らし、あるいは存在、立地しているそれぞれの主体が、よりよいまちづくりや地域の課題解決に向けて責任ある諸活動を行い、共通の社会的目的を達成するためには、力を合わせて取り組むためのよりどころとして、こうした行動規範を認め合うことが重要であると考えております。以上でございます。 ◎北條秀衛 総合企画局長 臨海部再生についての御質問でございますが、工業統計によりますと、川崎区における事業所数は、ピーク時の昭和44年の1,156事業所から平成14年の593事業所と563事業所、49%減少し、従業者数は同じく昭和44年のおよそ10万8,000人から平成14年のおよそ2万7,000人と8万1,000人、75%減少しております。さらに、製造品出荷額等につきましては、同じく昭和56年のおよそ4兆3,000億円から平成14年の2兆5,000億円と1兆8,000億円、42%の落ち込みが見られるなど、都市活力の低下が大変危惧されております。その再生は、雇用や地域経済、まちの活性化などの面から、本市において喫緊の課題となっております。再生に係る基盤施設整備につきましては、開発者負担、国と地方の負担のあり方など、整備手法、整備主体について検討を行うとともに、効果的、効率的に臨海部の再生が図られるよう、総合的な観点から積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、企業の社会的責任とパートナーとしての位置づけについての御質問でございますが、企業の社会的責任とは、企業が社会に対して自律的に当然果たすべきと期待されている役割のことであり、それが果たされなければ、業績や融資の拡大が図れなくなったり、社会的に批判されるなどの動きが強まっております。また、企業には社会的責任だけではなく、環境配慮の取り組みや法令遵守も強く求められているところでございます。こうしたことから、地域に立地、活動しているものとして、企業みずからが社会的責任を率先して果たしていくことが必要であります。  次に、パートナーとしての位置づけについてでございますが、企業は地域に存在し活動するとともに、社会的責任を果たす主体として、よりよいまちづくりや地域における課題解決、さらには地域貢献のためのパートナーシップの担い手として位置づけられるものと考えているところでございます。  次に、「顧客」という表現等についての御質問でございますが、基本構想素案におきましては、「誰もがいきいきと心豊かに暮らせる持続可能な市民都市かわさき」を目指すことを基本目標として掲げ、民主主義のもとでの人権の尊重と平和への貢献を、構想を貫く根本的な理念とした上で、市民本位の自治のまちづくりを進めることとしております。市民本位につきましては、構想全体の基本方針として明確に位置づけております。  次に、顧客についてでございますが、「市民」の多様な側面の一つである行政サービスの受け手としての側面をとらえて「顧客」という表現を用いているところでございまして、一般的な経済活動における顧客と必ずしも同一のとらえ方ではございません。サービスに対する経済的負担を求めるという意味ではなく、むしろ受け手側が何を求めているかをきちっと把握し、サービスを提供する側の改善につなげるという観点から、顧客という表現をしているところでございます。行政サービスの受け手としての「顧客」の視点を意識することによって、より一層市民が求める質の高いサービスの提供が可能になるものと考えております。  次に、施策展開の着眼点についての御質問でございますが、保育や高齢者介護などにおきましては、市民の選択性を確保しながら、公平なサービスが利用できるよう、行政を初め民間事業者、NPO、市民ボランティアなどの地域におけるさまざまな担い手が協働し、それぞれの役割分担に応じて適切に対応していくことが求められていると考えております。したがいまして、地域で活動するさまざまな担い手による地域社会での支え合いや、課題解決の取り組みを進めるとともに、限られた資源や財産を有効に活用し、行政の責務としても必要なセーフティーネットはしっかりと維持・提供することによって、市民生活を支援する効果的できめ細やかな施策を展開していくことが重要であると考えております。以上でございます。 ◎井野久明 健康福祉局長 子育て環境づくりについての御質問でございますが、少子高齢化がますます進展する中、次代の社会を担う子どもが健やかにはぐくまれる環境づくりを進めていくことは、大変重要なことと存じます。そのためには、安心して子育てができ、子育てに楽しみや夢が持てるような施策の展開や地域社会を構築していくことが大切であると考えておりますので、その具体的な施策の展開につきましては、新総合計画の実行計画及び次世代育成支援対策行動計画の策定の中で、十分検討してまいりたいと存じます。以上でございます。 ◎永野幸三 港湾局長 臨海部再生についての御質問でございますが、我が国の大都市の多くが港湾を活用した産業政策等により、都市づくりや都市運営を行っていることからも、港湾の重要性は明らかであると考えているところでございます。川崎港におきましても、このような重要な都市基盤として時代の要請にこたえ、将来にわたっての発展を続けるため、産業構造の転換や海上物流におけるコンテナ化の急速な進展を踏まえ、工業港としての機能だけでなく、商業港としての機能を強化するため、コンテナ及びFAZ事業を展開しているところでございます。かわさき港コンテナターミナル株式会社につきましては、本年1月に破産を申し立てましたが、同時に保全管理申し立てが認められましたことから、ターミナル機能維持が図られ、破産宣告後の現在も引き続いて既存船社が寄港を継続するとともに、地元港運事業者を中心に荷役作業が行われ、公共ターミナルとしての供用をされているところでございます。こうしたことから、本年度におきましても、前年度に近いコンテナ貨物が取り扱われ、同ターミナルにおける地元事業者の営業継続と就業者の雇用が確保されるとともに、荷主・利用者の安定的な物流活動を支えることで、地域経済の活性化に貢献しているものでございます。  また、かわさきファズ株式会社につきましては、昨年度における経営安定化策の構築により、平成15年度決算において経常黒字を達成し、経営の安定化が図られたところでございます。さらに、入居率100%を維持しつつ加工物流型企業への転換を図ることにより、新たな雇用創出がなされているところでございます。今後とも、同センターのコンセプトである高付加価値、加工物流に資する洗浄・滅菌や排水施設といった総合物流センターの特色を最大限に発揮する運営を行うことにより、収益力の向上を図るとともに、さらなる雇用を創出し、川崎港における物流機能強化の先導的役割を果たしていくものでございます。  いずれにいたしましても、臨海部の活性化は、川崎の再生への最も重要な課題と認識しておりますことから、本市におきましても港湾を有する自治体として港湾を最大限に活用し、産業経済の発展はもとより、港湾を基軸とした臨海部の活性化に向けた政策を的確に行っていくものでございます。以上でございます。 ◆市古映美 議員 それでは、意見を述べさせていただきたいと思います。  今までのやりとりから基本構想素案を総括的に見ますと、何よりも厳しい財政状況ということが根底に置かれていると思います。その厳しい財政状況の根本的な原因が、構造的な経済問題とともに制度疲労や少子高齢化の進行などにあるとして、今までの、成長を前提としてつくられたさまざまな制度や施策を抜本的に見直していくことが求められている、ということを強調しております。しかし、そもそも福祉は、市民の切実な願いや必要性などを行政が受けとめて、また、憲法が求めている基本的人権の保障を具現化するために努力して積み重ねてきたものではないでしょうか。これを、成長を前提とした制度や施策などとして、見直し、削減、市場化していくことを当然視する態度というのは、行政の本来の役割からして、私は見過ごすことができない重大問題であると思います。  その一方で、反省することなく推進してきたのが、臨海部を初めとする不要不急の大規模開発ではないでしょうか。この大規模開発こそ成長を前提として取り組んできたものであり、その結果は税源培養どころか、このツケと破綻が市財政悪化の大きな要因になっていることは歴然たる事実です。結局、基本構想素案では、このような大規模開発の破綻やツケに対する真摯な反省もなく、さらに臨海部開発などを大規模に推進していく立場に立っているものと言わなければなりません。その財源を生み出すために、市民には自助・共助を勧めながら、受益者負担のもとに、市民サービスのメニューはあっても、お金がなければサービスが受けられない状況や、我慢しなければならない状況に、市民をますます追い込んでいくことになるのではないでしょうか。  こうした疑念を払拭できないことを強く指摘をするとともに、引き続き9月議会でも取り上げていくことを表明いたしまして、質問を終わります。 ◆佐藤喜美子 議員 私は、神奈川ネットワーク運動川崎市議団を代表し、新総合計画基本構想素案について伺います。5番目ということで、重なる質問もあると思いますが、よろしくお願いいたします。  地方自治体における総合性、計画性を確保するために地方自治法に定められている総合計画ですが、国の三位一体改革が進まず、財政危機などの全国の自治体財政問題が深刻化する中で、多くの課題も指摘されています。そのような中、川崎市新総合計画の基本構想素案が示されました。  初めに、市長に、基本目標や基本方向などについて何点か伺います。新しいプランを立てるためには、これまで行われていた計画がどうであったか点検評価し、次のプランに生かすものでなければなりません。まず初めに、2010プランを市としてどのように検証されたのか伺います。この点については、他会派の質問と同様の趣旨ですので、お答えは結構です。  また、2010プランの基本構想には、「人権の尊重と国際平和の追求」、「自治と分権の確保」、「市民生活最優先の原則の堅持」というような3つの理念が示されていました。しかし、新総合計画には理念が示されていません。実行性のある計画とするために、まちづくりの基本目標と3つの基本方向としたとのことですが、理念とは川崎のまちづくりの姿勢を示すものであり、目標とは異なるものであると考えます。理念を明確に示すことが必要であると考えますが、伺います。  また、実行性のある計画とするために、Plan-Do-Check-Action、計画・実行・評価・改善のPDCAサイクルを確立することが示されています。多くの自治体が5年という実行計画である中、情勢変化等に的確に対応していくためにも、3年間の短い期間としたことについては評価するものです。しかし、3年間のサイクルの中で検証し、次の実行計画を立てることに追われてしまうのではないかと懸念される点もあります。実行計画における検証の時期、手法について伺います。検証方法については、現在ACTIONシステムにより事業評価が行われています。しかし、ACTIONシステムは各事業の評価であり、実行計画全体や基本政策としての検証も必要です。今後の検証はどのように行われるのか伺います。また、計画時に市民参画が行われたように、進行管理や計画の評価にも市民が参加していくべきと考えますが、伺います。  次に、総合計画の課題として挙げられるものに予算との関連があります。地方分権における税源移譲が先ほど申しましたように進まず、市としての財政収支見通しが難しい中、10年の総合計画、3年の実行計画の財政的裏づけをどう確保していくのか伺います。  次に、まちづくりの基本目標として「誰もがいきいきと心豊かに暮らせる持続可能な市民都市かわさき」を掲げています。今後、全国的に、また、川崎においても超高齢社会がやってこようとしています。2030年、川崎の高齢化率は30%にも上ることが資料にも示されています。人口の3人に1人が65歳以上の高齢者という社会が現実のものとなって迫ってきました。このような超高齢社会を支え、持続可能なまちづくりとしていくためには、地域に住む市民が主体となり福祉のまちづくりを進めている、福祉NPOなどの市民事業を広げていくことが必要です。このような市民セクターが地域の福祉力を高め、すそ野を広げる力となっていることは、これまでの実践でも明らかです。これからの超高齢社会に対応する持続可能な地域づくりを進めるためにも、NPOなど市民事業を明確に位置づけ、支援体制を整えることが必要と考えますが、伺います。  また、まちづくりの基本目標として、広域的視点で、近隣自治体等との協調や機能分担・補完を適切に行うことが示されています。最近、市境、県境におけるトラブルが多発している現状もあります。市民の暮らしを自治体としてとらえるのではなく、市民の生活圏としてとらえることが必要であることは、これまでも申し上げてきました。今後、隣接する自治体と連携したまちづくりが必要と考えますが、伺います。  政策に反映すべき基本的視点として、市民と対等な立場で協力し、ともに働く協働を基本目標として大きく掲げながらも、一方では行政サービスの顧客と位置づけています。一体いつから市民はお客様となったのでしょうか。「市民」を市長はどのようにとらえておられるのか、改めてお考えをお聞かせください。  今回示された総合計画は、基本構想と実行計画の2層構造となっています。ほとんどの自治体の総合計画が基本構想、基本計画、実施計画の3層構造で策定されている中、なぜ2層構造としたのか伺います。また、2層構造にしたことで考えられるメリットについてお示しください。この点については総合企画局長に伺います。以上です。 ◎阿部孝夫 市長 それでは、私から、ただいまの神奈川ネットを代表されました佐藤議員の御質問にお答えいたします。  まず最初に、新たな総合計画における理念についてのお尋ねでございますが、今回お示しをいたしました基本構想素案では、まちづくりの基本目標として「誰もがいきいきと心豊かに暮らせる持続可能な市民都市かわさき」の実現を掲げたわけでございます。これは、民主主義のもとでの人権の尊重と平和への貢献を、構想を貫く根本的な理念に位置づけるとともに、こうした理念に依拠しながら、市民本位の自治のまちづくりを進めることを基本方針として、人々の地球市民としての責任ある諸活動のもと、川崎というまちが都市としての自立と持続可能性を確かなものにしていくとともに、自助・共助・公助のバランスのとれた地域社会の中で、川崎市民のだれもが生きがいと幸せを感じられるような取り組みを推進するということを意図したものでございます。  次に、実行計画の進行管理及び評価に関するお尋ねでございますけれども、初めに、実行計画における検証の時期や方法についてでございますが、現在、事務事業評価として取り組んでいる川崎再生ACTIONシステムを土台として、総合計画の3年の実行計画の的確な進行管理、評価が行えるよう、新たな施策体系に沿ったシステムとして構築してまいりたいと考えております。計画・実行・評価・改善のいわゆるPDCAサイクルにつきましては、実行計画の進行管理及び評価を一体のものとして毎年度行うことによって、評価結果を施策展開に適切に反映してまいりたいと考えております。  次に、市民参加についてでございますが、評価の要点である目標や成果指標等を可能な限り具体的に設定し、評価結果を議会に報告するとともに、市民に公表し御意見をいただくなど、市民にわかりやすい評価制度の構築、運営を目指してまいりたいと思います。  次に、予算との関連についてでございますが、新たな総合計画は、従来のような右肩上がりの経済状況や税収増を背景としたものではなく、改革によって目指す川崎再生の姿を具体的に示すとともに、それに向けた新たな市政運営の基本方針とするものでございまして、3カ年の計画を定める実行計画や重点戦略プランの作成に際しましては、財政収支見通しとの整合性を図ってまいります。したがいまして、その前提として、行財政改革の取り組みを着実に進めるとともに、限られた財源を有効に活用するため、工夫を凝らしながら、効果的、効率的な事業選択を行うことなどにより事業を計画してまいりますことが必要であると考えております。あわせて、さまざまな取り組みにより、自主財源の確保に努めることも大変重要であると認識いたしております。  次に、NPOなどへの支援体制の整備についてのお尋ねでございますが、少子高齢化の進展など社会経済環境が変化する中、多様な市民のニーズに適切にこたえるためには、従来の行政による取り組みだけでなく、福祉を初めとするさまざまな分野において、市民活動団体やNPO、ボランティアなど、多様な団体・組織や民間企業とのパートナーシップに基づく取り組みが一層重要になっていると考えております。このため、市民のだれもが生きがいと幸せを感じられるような市民本位のまちづくりに向け、市民と行政の信頼関係を構築しながら、NPOなどとの協働型事業の拡充や市民活動の支援体制づくりを含めた展開を図ってまいりたいと考えております。  次に、隣接する自治体と連携したまちづくりについてのお尋ねでございますが、御指摘のとおり、市民の生活圏域は、鉄道沿線を中心とした通勤通学、購買、余暇活動など、広域的な広がりを持って営まれるようになってきております。一方、環境への取り組み、防犯対策など、一自治体では対応できない課題も発生してきております。こうした広域的課題に対しましては、例えばディーゼル車対策では八都県市の連携した取り組みを進め、一定の成果を上げてまいりました。また、多摩丘陵の緑地保全では、川崎市、横浜市、町田市の3市の連携した取り組みを進めているところでございます。今後、広域的課題の解決に向けて、近接する自治体とより一層の連携を深めてまいりたいと存じます。  次に、「市民」をどのようにとらえるかについてのお尋ねでございますが、地方分権が本格化し、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現が求められている中で、地域社会を構成する市民、企業、行政等のさまざまな主体が協働しながら、地域の課題を解決していくことがますます重要になってきております。こうしたことから、市民本位の自治のまちづくりを進める中で、市民につきましては、川崎に暮らし、働き、学び、活動している方々を対象に、幅広く考えているところでございます。  一方、市民と行政との関係から市民ということを考えますと、分権の時代にふさわしいパートナーシップの担い手としての市民や、地域での自立的な活動の主役としての市民、さらには行政サービスの受け手としての市民など、それぞれの場面において多面的でありまして、基本構想素案では、行政サービスの受け手としての「市民」の側面をとらえた場合に、「顧客」と表現したものでございます。今後とも、多様な市民ニーズに対して、より満足度の高いサービスを効果的に提供していくことが必要と考えており、行政サービスの受け手としての市民を顧客という視点で意識しながら、市民が何を望んでいるのか、解決すべき課題に対して施策が有効に機能しているかなど、常に受け手である市民の立場に立って効果を実感できる、きめ細やかな施策の展開を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。 ◎北條秀衛 総合企画局長 総合企画局関係の御質問にお答え申し上げます。  計画の構造などについての御質問でございますが、新総合計画の2層構造につきましては、社会経済環境が急速に変化する中で、市民生活を取り巻く多様な課題に対し迅速かつ適切な対応を図るため、現行の2010プランの3層構造から変更したものでございます。市政運営の基本方針や政策の基本方向を掲げる具体性を持った10年程度の基本構想と、原則的にすべての施策・事業を対象として、具体的な取り組み内容や成果目標を明示した実行計画から構成される2層構造とすることにより、市民にとって、まちづくりの基本目標とこれを実現する施策の関連性がよりわかりやすくなるとともに、課題の解決に向けて重点的、機動的な取り組みが推進できるものと考えております。以上でございます。 ◆佐藤喜美子 議員 ありがとうございました。初めに伺いました基本目標に基づく基本政策について、何点か各局長に伺います。  初めに、多文化共生施策について、市民局長に伺います。川崎が全国的に誇れる施策として多文化共生があります。専門家や他都市の市民から高く評価されているのが、外国人市民代表者会議を初めとした川崎の多文化共生施策です。しかし、政策の基本方向施策には「共生」としか書かれておらず、「多文化」という言葉は展開例としてしか示されていません。川崎が全国的に誇れる多文化共生施策をより大きく推進するためにも、多文化をはっきりと明記することが必要と考えます。伺います。  次に、都市農業施策について、経済局長に伺います。中間報告に示されていた「都市農地の保全」の記載がなくなり、「都市農地の多面的な機能の活用」と変わっています。毎月、毎年減り続ける農地の保全こそが、今、川崎に一番必要な農業施策ではないでしょうか。農地保全を政策として明確に打ち出すことが必要と考えますが、伺います。  次に、「参加と協働による市民自治のまちづくり」について、総合企画局長まちづくり局長に伺います。区によって地域の個性・特徴には違いがあります。地域を生かした暮らしやすいまちづくりの実現には、区ごとに施策の違いが出てくるのではないでしょうか。分権が進められたとき、区ごとの施策が必要と考えますが、伺います。また、現在においても、各区では、20年後のまちづくりを目指した都市計画マスタープランを、市民が参画し、作成しています。区ごとにつくられているこのプランについても、総合計画策定に当たっては計画に反映させていくと伺っています。どのように反映されたのか伺います。また、作成中の区については今後どのように反映されるのか、伺います。  次に、子ども施策について、健康福祉局長に伺います。次代を担う子どもの総合的な育成環境の整備について、今までの保育基本計画になぞらえたものが主に書かれています。川崎市の特徴として、結婚または出産を機に引っ越してくる人も多くいることを踏まえ、就労だけではなく、さまざまなニーズに対応できる保育の新たな仕組みが必要と考えます。今までの保育基本計画になぞらえた計画では、待機児童は一向に減ることはなく、子どもの権利条例を持っている川崎市でありながら、子どもが、健やかに育ちの権利を奪われたままの時間を長引かせることになると考えます。30年前までは、子どもを産んだら川崎に引っ越すと言われたように、今の子どもの育ちの確保やニーズに合った子育て支援ができるようにするための大きな変革が必要ではないでしょうか、見解を伺います。以上です。 ◎北條秀衛 総合企画局長 区ごとの施策の必要性についての御質問でございますが、本格的な地方分権時代を迎える中で、個性豊かな地域社会の実現に向けて、参加と協働による地域主体のまちづくりを進めていくことが重要であると考えております。このため、地域の課題を発見し、解決できる区役所づくりを推進することを政策の基本方向とし、市民との協働により、日常的なまちづくりに迅速、的確に対応していくための整備を進めるとともに、そのための仕組みとして、区民みずからが地域課題の解決に向けて、区政に関する方針、区に関する諸計画、区の予算に関することなど、区における重要事項について審議する区民会議の設置等について、検討を進めているところでございます。こうした取り組みを進めることにより、御指摘のような、区によって異なる地域の個性や特徴を踏まえた課題解決が図られ、その推進に伴い、区の実情に応じた施策が構築されることになるものと考えております。以上でございます。 ◎髙阪三男 市民局長 多文化共生施策についての御質問でございますが、本市では、平成12年に市の人権施策の基本方針となる、川崎市人権施策推進指針を策定し、人権・共生のまちづくりに取り組んでいるところでございます。この取り組みにおきましては、外国人市民や障害者、子どもなど、すべての市民が人間としての尊厳や人権を尊重され、それぞれの違いを認め合い、ともに生きる地域社会の実現を目指しております。近年、外国人市民の増加、多国籍化などの傾向は著しいものがあり、多文化共生施策の重要性はますます高まっているところでございます。したがいまして、多文化共生施策につきましては、現在、仮称川崎市多文化共生社会推進指針の策定に向けて取り組んでおりますので、この指針に基づき、推進してまいりたいと考えております。以上でございます。 ◎植松了 経済局長 都市農業施策についての御質問でございますが、市内の農業・農地につきましては、農産物を供給するという産業としての役割とともに、緑地など環境保全の役割や防災機能、レクリエーション、教育など、市民生活に重要な役割を果たしているものと認識しております。したがいまして、基本構想素案におきまして、農地の保全施策につきましては、貴重な環境資源である都市農地の保全に向けた取り組みを進めると位置づけているところでございます。本市といたしましては、農家の方々が環境保全型農業や地産地消などに意欲的に取り組めるよう積極的に支援を行うとともに、農体験をする場・機会など、市民が農に親しむ仕組みづくりを進め、農業・農地の保全活用についての市民的な合意形成を図ってまいりたいと考えております。さらに、庁内関係局との連携強化を図り、農ある風景の保全、農業公園づくりなどによる都市農地の保全と活用を推進してまいりたいと考えているところでございます。以上でございます。 ◎井野久明 健康福祉局長 子ども施策についての御質問でございますが、核家族化の進行や近隣関係の希薄化などを背景とした子育て環境の変化は、親の育児不安や負担感などを増大させている状況にございます。特に、母親が家事専業の場合にはこの傾向が強いと指摘されております。本市におきましては、これまでも、子育てと仕事の両立支援としての保育所整備を進めるとともに、家庭で子育てをしている方が安心して子育てができるよう、一時保育やふれあい子育てサポート事業の充実、子育て支援センターや子育て広場の整備、地域子育て自主グループ支援事業の実施など、施策の推進を図ってきたところでございます。したがいまして、すべての子どもと家庭への支援を基本に、安心して子どもを産み育て、子どもたちが健やかに成長することができるよう、子育てを地域社会全体で支える総合的な支援体制づくりと、個々の子どもが持つ特性に応じて伸び伸び育つことのできる健全な環境づくりにつきまして、新総合計画の中に位置づけてまいりたいと存じます。以上でございます。 ◎木下真 まちづくり局長 まちづくり局関係の御質問にお答え申し上げます。  都市計画マスタープランと新総合計画についての御質問でございますが、都市計画マスタープランは、平成10年7月に全体構想素案を公表して以降、川崎区、宮前区、中原区、麻生区で、区別構想の区民提案が取りまとめられております。各区の区民提案では、各区の特性を生かし、持続可能な都市づくりを進めていくことが提案されています。この間、関係局の間で調整を図り、基本構想素案では、持続型社会を形成する「広域調和・地域連携型都市構造」の考え方をお示ししたところでございますが、区民提案の基本的な考え方は反映されていると考えております。また、区民提案に掲げられた個別の提案に関して、早期に着手する必要のある事業につきましては、関係局区とも十分調整を図り、実行計画に位置づけるよう努めてまいります。さらに、高津区、多摩区、幸区につきましては、現在、区民提案を作成している最中ですが、提案の骨格が明らかになってきておりますので、これら3区につきましても同様に、関係局区と調整を図ってまいります。以上でございます。 ◆佐藤喜美子 議員 最後に、再び市長に伺います。総合企画局長から、区民会議の設置に向けて検討を進めている、とのお答えがありました。5月に区行政改革検討委員会から提言された基本方向では、「区民会議の構成員は、区内に住所を有するものの中から、市長が任命する」と示されています。具体的には、「地域を代表するもの、活動分野別の区民代表、公募による区民代表、市会議員、県会議員等」とされています。私たちは、構成メンバーに、世代間のバランスや、地域で介護や子育て支援、環境などの活動をしている市民も含まれることが必要と考えます。伺います。また、メンバーを任命するに当たっては、なぜこの人なのかという、選任に当たっての説明責任を果たすことが必要と考えますが、伺います。また、任期は4年以内とされ、再任も認められていますが、長期にわたって担うことによって、組織の硬直化を招くのではないかという懸念も生じてまいります。任期についても伺います。以上3点について、現段階での市長のお考えをお聞かせください。 ◎阿部孝夫 市長 区民会議の構成員等についてのお尋ねでございますが、本年5月に取りまとめられました区行政改革検討委員会の報告書におきましては、構成員について、その構成が区域の中の多様な意見が適切に反映されるものとなるよう配慮する必要があるとされ、「具体的には、町内会・自治会等の地域を代表するもの、活動分野別の区民代表、公募による区民代表、市会議員、県会議員等」とされております。この提言を踏まえまして、例示にあるような構成を基本に一定の基準を定めたいと考えておりますが、活動分野別の区民代表の中には、御指摘のような、地域でさまざまな活動をされている方々も含まれるものと考えております。また、具体的な選考に当たりましては、世代間や男女のバランスに配慮するとともに、選考基準に照らした選考を行い、その結果につきましては十分な説明を行いたいと考えております。  あわせまして、構成員の任期につきましては、地方自治法の区地域協議会の規定を踏まえ、4年以内とすることとしておりますけれども、具体的には、今後市議会の皆様や市民の方々の御意見を伺いながら検討を進めてまいりたいと存じます。また、在任期間につきましては、附属機関等の設置等に関する要綱の規定を踏まえながら検討してまいりたいと考えております。以上でございます。 ◆佐藤喜美子 議員 お答えをいただきました。ありがとうございます。  それでは、意見を申し上げます。今後、タウンミーティングなどで市民の声を聞きながら基本構想案をまとめていくとのことですが、これまでのタウンミーティングでも、残念ながら若い人の参加が少ない状況です。市長がきょう冒頭で言われたように、川崎の未来像を示す計画であるなら、若い人の声も取り入れることが必要です。他の自治体では、総合計画策定時に、高校生など若い世代へのアンケートなどを実施しているところもあります。このような手法も取り入れたらどうかという提案をさせていただきます。  「市民」についてですが、市民はお客様になりたがっているのでしょうか。市民が望んでいることは、適切な行政業務が行われているかどうかということではないでしょうか。市民の立場に立ち、業務をすることは当然です。異論を述べるものではありません。しかし、多面的視点から「顧客」としてとらえるのではなく、市民と情報を共有しながら、対等の立場で議論を重ね、合意形成を高めながらまちづくりの施策を展開する、主体者として市民を明確に位置づける、このことこそ、川崎の未来像を示す計画となるのではないかと考えます。これを意見として申し上げたいと思います。  もう一点意見を申し上げさせてください。「市民はもとより、川崎に集い、活動するすべての人の、人間としての尊厳、人権の確保をあらゆる施策の基本とします。また、平和のうちに生存するという市民一人ひとりの根源的な権利をあらためて認識し」「恒久の国際平和の創造に向けた地域からの貢献を続けます。」、これは抜粋ですが、2010プランの基本理念の1として掲げられた「人権の尊重と国際平和の追求」の項の文言です。人権や平和施策に危機感を覚える今こそ、このようなことが必要ではないかと考えます。民主主義のもとでの人権の尊重と平和への貢献を、構想を貫く根本的な理念に位置づけた、とのことですが、それならばなおのこと、文章の中ではなく、特筆して掲げることが必要であると考えます。私たちの川崎を、誇りを持ち暮らすまちとするためにも、目指すまちづくりの理念を掲げ、それに向かう施策を行う総合計画とすべきことを意見として申し上げまして、私の質問を終わります。 ○坂本茂 議長 以上をもちまして、各会派代表による質疑等は終了いたしました。  お諮りいたします。新たな基本構想に関する全員説明会を終了したいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○坂本茂 議長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決定いたしました。  これをもちまして、新たな基本構想に関する全員説明会を閉会いたします。                 午後4時55分閉会...